印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 4 -
 定子さまは伊周さまの妹君で、おふたりは藤原道隆さまのお子さまで、ついでに帝の従兄弟だ。一条天皇の生母は道隆さまの妹、詮子(せんし)皇太后だから。藤原氏と天皇家はべったりで、ずっと親戚同士で結婚しているようなものだが、遺伝子的に大丈夫なのだろうか。
 帝は元服されたのだから、奥さんをもらうことになる。それが定子さまで、数え十四歳で入内、それから半月ほどして女御となられた。まだ、女御はおひとりである。つまりは、九歳と十二歳で結婚、今年十歳と十三歳になるご夫婦なのだ。凄いな。
『いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり』
 源氏物語、第一段、桐壺の冒頭、ここに女御というのが出てきている。女御・更衣は、帝と寝所を共にする人、いわば側室だが、親の位によって女御か更衣かが決まり、上位の女御から中宮、つまり正妻が選ばれることが多い。
 こんな文章だと意味が分からないぞ、という人のために、俺なりに訳しておこう。
『何天皇の時か知らないけど、女の子がいっぱいいる中に、そんな大した貴族じゃないのにすっごいイケメンがいたの』
 さやはもしかしたら、定子さまのお世話をする係なのかもしれない。そういう世話係を、女房というんだ。現代では奥さんの意味で女房を使うが、こっちが元々だな。有名なのは俺の好きな清少納言という女房だろう。清少納言という名前こそ女房名で、本名は不明なのである。なお、奥さんというのは奥方のことで、これは江戸以降の公家や武家の言い方だ。
 閑話休題。
「あの、どういう字で、さや?」
「清いという字です」
「もしかして、女御定子さまの女房ですか?」
「いえ、お世話はしていますが、女房という訳ではありません」
 まあ、私室はなさそうだから女房じゃないのは分かる。女房は部屋持ちだから御局さまということになるが、普通の女官は私室がないだ。
 ふと、定子、女房、清……もしかしてという考えが浮かぶ。
「あの、お父さんってもしかして清原元輔ですか?」
「え? そうですけど、ご存じなのですか?」
「いや、そうじゃないけど」
 定子の世話をする清原元輔の娘といえば誰だ?
 清少納言だろ!
 確か清少納言の生まれは九六六年頃とされている。見た目だと十八歳くらいかと思ったけど満で二十三歳くらいか。お父さんも歌人として有名で、親娘で百人一首に歌が入っている。来月お父さんが亡くなるのは言わない方がいいよな。
 ちなみに、清少納言や藤式部(紫式部は後世での通称)などの女房は、朝廷から公的に雇われたんじゃなくて、藤原家に私的に雇われて中宮の世話をしていた人である。多分、さやも雇われて世話しているのだろうから、正式な女房としての地位ではないのだが、やっていることは同じというところなのだろう。
 食事が運ばれてきた。二人分のお膳があるから、さやも食べるらしい。
 いや、それにしても狭いな。四畳弱しかないから、納戸で飯食ってるようなものだ。
 お膳には、蒸した米、つまり強飯と、何かの漬け物、何かの焼魚だけだが、量はそれなりに盛られていた。さやの飯は少なかったけど。
 そういえば、宮沢賢治の雨ニモ負ケズで一日四合の飯と書いてあって、そんなに食べるのかと思って驚いていたら、当時は普通に五合くらい食ったらしい。四合というのは少なくて良いという意味なのかもしれない。
 米質はどうあれ、水も空気も綺麗な時代だからか、かなり美味かった。腹が相当減っていたからってのもあっただろうけど。
 さやは上品に食っていて、落語の『たらちね』を思い出した。ちんちろりんのざっくざく、だ。強飯だからかき込めるはずもないが。
 食い終わるとふと思い出したのが、人間の三大欲というやつ。それは食欲、睡眠欲、性欲だという。思い出して欲しい。さっき膝枕で寝たし、今は飯を食った。
 さて、残りは?
 とはいえ昼日中、隔てるものはスダレだけ。しかも、周りから視線を思いっきり感じる。さやが妙な男を連れてきていると知れ渡ったらしく、かなりの人が周りに集まって来ていたのだ。分かった、何もしない。
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