印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
携帯・スマホからもご覧いただけます⇒

第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 19 -
 現代から平安時代に跳んで、しばらく過ぎた。
 一週間ほどだが、もちろん週という概念はないし、休日というのもない。
 それなりに知り合いもでき、結構楽しく暮らせている。知り合いといっても、天皇、関白、女御(もうじき皇后)という凄いメンツだ。
 俺って何様?
 しかし、我ながら人間って適用力が凄いな。ホームシックにならないのは、やっぱり周りの人、特に女の子がいつも傍にいるからかもしれない。キリンだからこっちの方が好待遇だったりするし。ちなみに、KIRINって彼女いない歴イコール年齢のことな。
 枕部の準備も進んでいる。
 伊周さまを別当に、俺としずか(陰陽師として参加を依頼)だけなのだが、当然のように、ゆかりもオマケでついてきている。正式メンバーに加えると伊周さまが言ったので、いいのですかと聞くと、光の望むようにせよと父から言われていますとのこと。いつ俺がゆかりを入れてくれと望みました? まあ、嫌って訳じゃないけど。
 後は建物ができれば正式に始動できる。
 敷地は、宮城の中で内裏にできるだけ近い場所にしてもらったので宮城のど真ん中になってしまった。こういう作りの建物にしたいと願い出たので、平安建築の中にちょっと異質な建物ができつつある。板ガラスがないのが痛いけど、まあ仕方ない。
 裏設定の馬鞍部のこともあるので強い戦士も欲しいのだが、それはまだこれからだ。
 で、今日はというと、伊周さまと方違えで荘園に行くことになっている。
 狩衣にせよということなので、あかねに手伝ってもらって着替えていた。呼ぶといそいそとやってきて、着替えでは必要以上に密着してくるんだよな。
 嬉しいけど。
 あまり話をしなかったあかねだが、ちょっとずつは喋るようになっていた。
「光さまはお気に入りの姫はいらっしゃらないのですか?」
 帯を体に回しながら、上目使いで聞いてきた。
「私は下女ですから、歌などいただかなくても、いつでも光さまと……」
 などと言って赤くなる。
 マジすか!?
 でも、朝だし、すぐに荘園に行くのでそうもしていられないか。
「さ、お支度が済みました。伊周さまをお待たせしてはいけませんから、参りましょう」
 俺じゃなくて、いや俺だけど、変化しつつあった体の一部をガン見してそこに話しかけられた。
 荘園というのは金持ちや寺院が私的に開墾した土地のことである。七四三年の墾田永年私財法によって、開墾した土地は自分のものになるというものだ。
 だが、誰でも開墾できる訳ではない。
 まず、開墾には金がかかるし、開墾して自分のものになると、輸租田(ゆそでん)という税金も課されることになる。
 つまり金がないとダメ。
 こういった荘園を初期荘園といい、あまり発達もしなかったし現に衰退しつつある。
 藤原氏だから、荘園があって当然かもしれない。税金というのは国に納めるのだが、摂政・関白ともなれば、自分を非課税にするくらいできるかもしれない。
 実際どうなのかは知らないが。
 出立ですと諾まで迎えに来たので、早起きして用意した風呂敷包みを持って出た。
 伊周さま、俺、諾、あかねの四人が荘園へ行くメンバーだった。
「おはよぉ、さあ出発よ!」
「……早すぎよぉ」
 いや、何も見ていないし、聞こえていない。
「伊周さま、おはようございます。ささ、牛車へ」
 伊周さまと牛車に乗り込もうとした。
「無視すんな、光!」
 気のせいか、名前を呼ばれたようだ。
 疲れているのかなぁ。
「……きっと悪鬼のせい。調伏する」
 しずかが何かを取り出した。安倍晴明を上回るという陰陽師に何かされたら一大事だ。
「ま、待て、早まるな。大丈夫だから!」
 ぷんすか怒るゆかりと、くすっと笑うしずか。
 しずかのやつ、わざとだな。
「おう、おはよう、気づかなかった。どうしたんだ朝っぱらから?」
「何すっとぼけてんの? 分かってて無視したくせに」
「……無視はだめ」
 まあ、ばればれだよな。
「伊周さまと俺たち、これから方違えで荘園に行くんだ。悪い、また今度な」
 しゅたっと手を上げ、牛車に向かおうとした。
 ぎゅっと狩衣の袖をしずかに掴まれる。
 危っぶね、転びそうになったじゃないか!
「……行く、一緒に」
「え、伊周さまの荘園だから勝手に行っちゃだめだろ!?
「何言ってんの? あたしたち伊周さまに誘われたんだけど?」
「マジ?」
 なんでですか伊周さま。
 ほぼ毎日こいつらに部屋に押しかけられてるから、ひさびさ平穏な日になるかと思っていたのに。
「さあ、出発よ!」
 え? えっ?
第1巻:page 20 < 次  枕部之印  前 > 第1巻:page 18

【お知らせ】
広告のお申し込み・当ページプログラム販売など承ります。委細メールにて。
(著作表示より送信)
 
▽ 基礎知識 ▽

平安用語の基礎知識
 
関連用語の基礎知識