印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 23 -
 料理方向に爆進中だが、ここで急展開を迎える。
 また牛車に揺られての帰り道のこと。もちろん、配車は同じメンバーだ。
 牛車、というか牛が止まったので外を見ると、道の脇に人が倒れていた。牛を牽く小太りオヤジが気づいて止めたのだろう。
 俺はすぐに飛び降りた。向こうの牛車からも諾が降りて来ている。もう後ろ乗り前降りなんて牛車の常識は完全無視だな、俺たち。
 見ると倒れていたのは初老という感じだが、顔立ちは悪くない男だった。
 イメージ的には、宮本武蔵から無骨さを取って、男前にした感じ。ただ、ちょっと歳は食ってるけど。
 その男は肩に怪我をしていて、火傷もあり、気は失っているが命に別状はないようだ。
 ただ、ね。
 着ているのが、この時代のものではなくて、白い、どうみても着物だったし、髪は、バーコードの人がザンバラ髪になった感じ、つまり月代があったのだ。だから宮本武蔵が出てきたのだけれどさ。とにかくこの時代の人ではなさそうだった。
 現代なら警察か救急車を呼ぶところだが、検非違使を呼んでどうなるものでもない。
 肩の傷を見ていると、諾が「これは矢傷ですね」などと言う。よく見ると腕にも傷があるようだ。
 と、しずかが寄ってきて言った。
「……治してみる」
 そんなことまでできるのか?
 呪を唱え、お札を背中と手に置いた。呪術というやつだろうが、治るわけがないと思って見ていたのだが、最初にびっくりしたのは、そのお札がすっと消えたことだ。布で血を拭いてみると、出血は止まっていて、傷も塞がっている。腕もほぼ完治。
 す、凄いんですね。
 陰陽師の範疇を著しく逸脱していると思うが、実際に目で見たのだから疑いようもない。こいつだけは敵に回さないようにしようと心に誓った。
 傷は治ったが、意識は戻らなかった。伊周さまが、連れて帰るしかありませんねといわれたので、諾と俺で牛車に乗せる。
 かなりデジャビュ。
 ここでメンバーの交代があった。
 一号車、伊周さま・あかね・他二名、二号車、俺・諾・謎の男。一応、危ない男だといけないからだ。謎の男はいるが、うるさいのがいないので、精神的にはゆったりと牛車の旅である。
 俺が手でほほを支え、結構だらけていられるのは相手が諾だからだろう。
「諾ぃ、お前、真名も仮名も読み書きできるよなぁ」
「えっ? あ、はい。普通にできますけど」
 諾はきちんと座っている。
「俺、真名は分かるんだけどぉ、仮名ってぇ、どのくらいで覚えられるぅ?」
「仮名は真名の草書で、ある程度は決まったものを使いますから、何百かありますけど、読むだけなら真名を覚えるよりずっと簡単です」
「……あぁ、そぅ」
 多分、覚えられない。
「諾ぃ、お前、いくつぅ?」
「十六です」
「そっかぁ」
 十四、五ってとこか。予想が当たった。
「あの、光さま」
「ん?」
「光さまって、未来から来たって本当ですか?」
 あれ? 知ってるの? と、ちょっとしゃっきりする俺。
「それって、誰に聞いた?」
「お嬢さまが、そんなことをあかねに言っているのを聞いたんですが」
 俺はゆかりにも言ってないけどな。っていうか、まだお嬢さまって言ってんだな。俺のせいだけど。
「そっか、ゆかりか。諾には教えとくな。未来から来たってのは本当さ。でも人には言うなよ」
「はい、もちろんです。未来のことって聞いてもいいですか?」
「ごめんな、言っちゃいけないって言われるんだ」
「そうですか……」
 がっかりすんな、可哀想に思うじゃないか。
「まあ、あれだ。お前の進むべき道を教えるくらいならいいけどな」
「あの、私ってどうしたらいいんでしょうか」
 漠然だな。
「そうだな。まず伊周さまの言う通りのことができるようになることかな」
「そうですか。光さまって、私が女だってのも分かってるってことですよね」
 なん……だと?
「女だってのは、伊周さまは知ってるのか?」
「はい、もちろんです」
「なら、問題ない。そうだ、諾、お前も何か書いてみろ、日記とか」
「書くってお嬢さまみたいにですか」
「そうだ。あったこと思ったことでも書いてみな。女で、男の視点も分かるだろ? これは強みだぞ」
「分かりました、やってみます」
「ああ。紙なら俺んとこに山ほどあるから取りに来るといい。書けたら見せ……いや、内容を教えてくれ」
「はい」
 そんな話をしながら、牛車に揺られ、屋敷に着いた。
 俺の部屋に運び込んで、諾と一緒に様子を見る。交代で夕食にし、諾も遅くまでいたが、出仕に差し支えるので休むように言い、俺はひとりで、看護というか見張りというかを続けた。
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