印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 24 -
 この男、いったい誰なのだろうか。何となく武将って感じもするんだが。
 と、「む、ここは?」という声。
 意識を取り戻した謎の男と目が合った。
 ドキッ!
 ときめいたのではないので、勘違いしないで欲しい。
 道隆さまのオーラもハンパなかったが、この男はそれ以上、ゲーム序盤にラスボスに出会った感じと言えば……分からないか。とにかく強いというのが分かってしまうオーラだったのだ。
「案ずるな、何もせん。お主、儂を介抱してくれたのであろう」
 怯えているのが分かったのか、あるいはこの男の前ではこうなるのが当たり前のことなのか、安心させようという声だった。
「あなたは?」
 普通、最初にどこの誰なのか聞くだろうが、この時代の人間ではないと踏んでいたので中途半端な聞き方になった。
「儂か、儂は織田信長である」
 え? ……オダ……ノブ、ナガ?
 どどどど、どうしよう!?
 多分、この人、時間跳躍したんだ!
「名を聞いて驚くとは、敵方ではあるまいな」
 とりあえず、本当のことを伝えた方がいいだろう。人を呼ぶのはそれからだ。
「信長さま、心して聞いていただきたいのですが」
「何だ、許す、申してみよ」
「ここは平安時代の京の都で、今の帝は一条さまです」
「儂を愚弄するつもりか? ならば切って捨てるまで」
 信長を名乗る男は、そう言って刀を探そうとするが、そんなものはもちろんない。
「ち、違いますって。信長さまは時間を超えて、平安時代に来てしまったんです。俺も信長さまよりずっと未来から来た者で、藤原伊周さまに面倒を見てもらってるんです」
 喋り方が普段に近くなっているのは、焦ったせいだろう。
「その喋り、確かに妙だ。一条天皇、藤原伊周なら聞いたことがある。その話、真か」
「後で伊周さまと会ってもらいますし、都も案内しますから、ご自分で確かめてください」
「であるか」
 あんまりびっくりしないのは大物だからだろうか。
「驚かれないんで?」
「是非に及ばず」
 喋ると、昔の人(未来人だけど)で歳も四十九歳だから、歯がかなり抜けている。戦で無くしたのもあるだろうし、歯周病もあるだろう。歯医者もフッ素入り歯磨きもない時代だからな。
 信長の声が高いという説があるが、実際に聞いてみると、低くはないが甲高くもない。実際に会ったルイス・フロイスの『日本史』が証拠とされてるんだが、そこには『中くらいの背丈で華奢な体躯であり、髯は少なく、はなはだ声は快調』とあり、声が高いという記述はない。誰かの誤解から広まったものだろう。大きな声を声高というが、これを声が高いと勘違いした者がいたのではないだろうか。
 声が大きくなるのは耳の聞こえが悪いことが原因となることがあり、加齢もあるだろうし、何しろ種子島(鉄砲)を多く使っていたのだから、耳だって遠くなると思う。
 俺のイメージ的には、今川義元あたりは声が小さく高そうだし、斎藤道三や武田信玄あたりは声が太くて大きそうだ。
「信長さまのは太くはないが大きいし……」
 ヤバ、声に出しちゃったじゃないか。
「黒坊主、弥助の方がデカい」
 いや、そっちの話じゃなくて。
 信長が黒坊主と呼んでいた、名前を弥助という身の丈六尺二寸(約187cm)の黒人をよく連れて歩き、本能寺でも最後まで付き従っていたらしい。まあ確かにデカそうだが。
 ちなみに織田信長の身長は170cmよりちょっと下くらいで引き締まった体をしている。
「もしかして、信長さまは本能寺で光秀の襲撃に遭われたのですか?」
 誰でも知っている本能寺の焼き討ち、火に囲まれ、ひとり部屋に入り、残ったとされる。その後は誰も事実を知らない。後日、いくら探しても信長の亡骸は骨一本見つからなかったらしい。
 本能寺はまだない。室町時代に建立されたものだからだ。ちなみに、現代の本能寺は秀吉によって移されているので、信長が焼き討ちに遭った場所なら本能寺跡に行かないといけない。
「そうだ。お主が知っているのは未来とやらの知識か」
 正解は、タイムスリップして平安時代にやってきた、でした。
「はい。あなたは向こうで焼け死んだことになってるはずです」
「儂は生きておるぞ。帰ることはできぬのか?」
「俺も帰りたいんですが、どうやって帰るのか方法が分からなくて」
「であるか。何にしろ、方法が見つかるまではこの時代で生きることになるな。お主、儂の面倒を見てはくれぬか」
「もちろんです! と言いたいところですが、私もまだ来て間もなく、どれほどのことができるか分かりません。伊周さまに居候の身ですし。ですが、信長さまも俺と同じ境遇、一緒に帰る方法を見つけるまで、できる限りのことはさせてもらいます」
「うむ、よろしく頼む」
 信長さまに頭を下げられてしまった。
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