印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 25 -
「で、お主は、誰で、ここでは何をしておるのだ」
「私は一条光または光源氏と呼ばれています。何をというのは仕事のことでしょうか? 一応、新しく仕事を作ってもらうことになってますけど」
「光源氏か。儂は征夷大将軍にでもなってくれようかという時だったが、ここでは無位無冠、ならばお主、儂を雇え」
「へ?」
「ここへ来たはお主が先達、ここはサルを見習ろうて、わらじ取りからでもしようではないか」
「信長さまは確か正二位でしたよね、俺の時代には正一位ですよ。そこまで謙らなくても」
「良い。誰の下にも付いたことがない儂だ。光秀の謀反も、此度の件も何かの報いかもしれん。儂がそうしたいのだ」
 そういえば案外信心深い人だった。信長さまは、拝火教だという話もある。火を崇拝するもので、ゾロアスター教もその一種だ。
「もしかしたら、焼き討ちに遭っても、火は信長さまにとっては神なので助かったのかもしれませんね」
「ならばなおさらのこと。神の意志に従うのみ」
「この時代でも天下布武とか言われるかと思っていたのですか」
「兵も種子島もなく、何が天下布武か。まずは生きること、そして元の時代に帰ることだ」
「分かりました。信長さまのよろしいように」
「であるか。ならば、まず儂にさまを付けるのは止めよ。お主に仕えるのだから」
 呼び捨てしていいの?
「の、信長?」
「それで良い」
 信長さま、いや信長は俺を信用してくれたらしい。
「そうそう、あなたの名前、どうしましょう?」
「織田信長ではいかんか」
「多分、歴史に残ってしまうと思うんですよ、あなたがすぐに台頭を顕すのは目に見えてますし、そうなると、平安時代に織田信長がいたことになって、かなりややこしくなると思うんで」
「であるか、何とすれば良い」
「あなたは最初、藤原氏を名乗って、後に平氏を名乗っていましたが、実際はどうなんですか?」
「儂にも分からん」
 それにしても良く存じておるな、と信長は感心している。
 守護大名(大名の代理)だから秀吉とは違い、それなりの家系だとは思うが。
 藤原氏は色々まずいから平氏の方だよな。信長の長は道長の字で嫌だから、道隆さまからもらって、『平信隆』とか。でも信長の子供に信孝っているからイマイチか。
 サルを真似てって言ってたな。
 猿と言えば馬、馬小屋を守るのが猿とされ、孫悟空が弼馬温にされたのも猿だからだ。馬守と書いてバースってどうだろう、関西人の好きそうな名前だし。いや待て、信長って尾張名古屋だからダメだろ。
 武士の刀とゾロアスター教で、快傑ゾロを連想した。あれって、イタリアとかフランスのイメージがあるけど、原作はアメリカの小説なのな、題名は忘れたけど。
 そこから『ゾロ』っていいんじゃないかと閃いた。
 漢字は……難しい字を知らないのが情けないが『壮呂(ぞろ)』ってどうだろう。
「タイラノゾロというのはどうでしょう。ちょっと待ってくださいね」
 紙と筆なら完備されているので、さらさらっと下手っぴな字を書いた。
「字はこれです。士も入っていますし、この字には勇ましいという意味があって、呂は背骨のことですが三国志に『呂布』という英傑がいます」
「良いな。字もいい。壮呂か」
 決まっちゃいました、平壮呂。
 俺が源氏で信長が平氏だけど、源平合戦までまだ二百年くらいあるから争いは起きないだろう。というか、戦う気もないけどな。ガキの頃、日本がアメリカと戦争したって聞いて、絶対に嘘だって思ったのと同じ理由だ。勝てるわけがないから。その後にアニメで、男は負けると分かっていても戦わなければならない時があるってのも知ったけど。
 字を書いたついでに、新しい紙を信長の前に置いた。
「あの、花押を書いてもらっていいですか」
「なぜだ」
「伝記で信長公が大好きなもので、欲しいのです」
 ファンなのは本当だが、伝記は読んだことがない。ドラマとゲームくらいだが、好きで調べたりしたのは本当だ。
 信長は花押をさらさらっと書いてくれた。
 家宝にしますと言って、仕舞っておく。花押は本当にサインと同じ役割なんだ。ハンコもあって、信長は『天下布武』という印を持っていたんだが、今はないだろうな。
 夜明けまでまだかなり時間がある。
 眠いが、たっぷり寝て元気な信長から、朝まで腹を割って話そう、という提案。
 是非もなし。
 なので、お茶を淹れることにした。日本初、多分、世界でも初かもしれない緑茶と紅茶である。
 それを俺と信長で飲もうという、もの凄い展開。お湯を沸かすにも火を焚かなくてはならないから結構大変だ。だから本来、湯水のように使うは、大事に少しずつ使うという意味である。
 ともあれお湯を沸かして、まず、緑茶だ。
 急須なんてないから、適当な入れ物で淹れて、適当に濾して飲む。
 お、普通にお茶だ。
 信長は抹茶の時代の人だが、飲みやすいと言ってくれた。
 次に紅茶。
 これも紅茶そのものと言っていいだろう。
 信長は紅茶を飲んだことがあるという。南蛮渡来が好きな人だからな。
 お茶はいい。
 眠気は飛ぶし、口の回りも良くなる。茶飲み話がどこぞの歴史好きと同じように桶狭間だの長篠だの、浅井長政の裏切りとか信長上洛とかだが、本人が語るのだからたまらない。
 話すうちに気心が知れてきて、信長も楽しそうだった。聞きたいことが山ほどあったが、聞いた内容を書くことはしないでおく。
 ただ、初期、中頃、終盤の逸話では性格が違うことが分かった。初期のうつけなどは自らが意図的に演出したものだが、中盤では他の人がやったことでも信長のせいにされ、終盤のは何者かが意図的に本能寺の変に向かう理由付けとして作ったもののようだった。
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