印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 26 -
 そうこうするうちに夜が明け、伊周さまが様子を見に来られた。
「気がついたようですね」
「藤原伊周殿とお見受けする。儂は平壮呂と申す。お助けいただき忝い」
 信長の逸話に、王侯を軽蔑し下僚に対するように肩の上から話をしたというのがあり、心配していたのだが杞憂だったようだ。
「その話し方、もしかして、未来から来たのですか?」
「ああ、主と同じ境遇らしい」
「主とは?」
「儂はここでは無位無冠、生きるにも縁者もなし。源氏を主と決め、帰る方法を見つけるその日まで共にいると誓ったのだ」
 未来人慣れしているのか、伊周さまはあまり驚かなかった。
「光はどう思っているのですか?」
「ゾロは、ちょっと知っている人なんです。同じ未来人ですし、力になりたいと思っています。それに……」
「それに、なんです?」
「それに、きっと伊周さまや道隆さまのお役に立ちます。未来からふたりも同じ時に来るのは、何か意味があるとしか思えません」
 武将としては超一級品だもんな。強さは分からないが、少なくとも俺と伊周さまでは太刀打ちできないのが直感で分かる。
「そうですね。私もそう思います」
「ゾロもここに置いてもらえないでしょうか」
「いいでしょう、部屋を用意させます。壮呂とやらは、未来で何をしていましたか?」
「武士(もののふ)だが」
「そうですか、その方、主上に尽くすことはできますか?」
「帝にというなら、もちろんだ。そうでなければ何の武士か」
「武芸の方も確かなのでしょうね?」
「そのつもりだ」
 伊周さまの言葉に、信長からピキーンとか、キュイーンって感じでプレッシャーのようなものが放たれた。これって殺気ってやつかな?
 伊周さまと信長が話をしているので、その間にちょっと武士のことに触れておく。
 内裏の警護に、滝口武者というのがいる。これは、涼殿殿北東の御溝水(みかわみず)の落ち口近くにある渡り廊、通称滝口を詰め所にして宿直をしていたことから滝口武者と呼ばれた内裏の庭を警護する蔵人のことだ。分かる人だけに言うと、清涼殿の脇を奥に行って、弘徽殿の前の廊下んとこな。そこを更に奥に行くと、定子さまの私室、ゆかりの言う本部がある。ちなみに、清涼殿内は殿上人の四・五位の蔵人が警備してる。
 庭の警備って、まあ、お庭番だな。
 英語で言うとガード。
 英語のガーデンは古代ユダヤ語のガル(囲う)エデン(楽園)からで、庭園というところだが、ガードの語源も同じだろう。ガーディアンとなると保護者・守護者という意味になる。ガードマンは和製英語で、英語ではガードだな。
 侍は控えているという意味のさぶらうからで、それが武士として正式に認められたの十年余り前のこと。だから伊周さまは武士というのが理解できたのだろう。有名な滝口武者にあの平将門がいて、平将門の乱から半世紀ほど経つ。内裏はその時も燃えた。史実では一条天皇の世でも三回内裏が焼失してるくらいよく燃えているんだが、夜間警備のかがり火のせいってのもあるらしいが、それは今はいいか。
 もしかすると、今後、平壮呂こと織田信長が台頭を顕すかもしれない。征夷大将軍とかになったらどうしよう。
 日本史への影響力が、俺と信長でレベルが違うのは仕方がないだろう。俺って、従五位下だけど、信長は正二位(大正時代に正一位)、本能寺の変がなければ天下人になって生前正一位になっていたかもしれないくらい凄い人だからな。少なくとも、秀吉よりは上だって、家康や秀吉ですら認める人だと思うから。
 信長については、伊周さまから道隆さまと帝に話をしてもらって、どうするか決めてもらうことになり、俺としては、新しく作る職に入れたいとお願いした。ついでに道隆さまに、料理を作るという約束も、今度果たすので都合を聞きたいと伝えてもらう。
 俺の用事って、レベル低すぎ。
 しばらくして朝食を食べ、部屋で信長と待機。
 信長と話しているのは実に楽しい。これは、信長が主と決めてくれているからだろう。信長を家臣にしたのは、歴史上俺だけだ!
 だが、ここで俺は、最も恐れていた事態に直面することになる。
「来たよー、って、あ、あんたなんかに会いたくて来た訳じゃないんだからね」
 ゆかりだ。
「ツンデレか? ってか、俺に会いにじゃなきゃ、誰のとこに来たんだ?」
 どうやら、そういう喋り方をすると俺が喜ぶので、ある程度計算している節もある。
「また訳の分からない言葉使って! そっちのおじさんに決まってるでしょ」
「……それはウソ」
 お、またしずかも一緒か、仲いいな、お前ら。
「何だ、源氏の女か?」
 信長、そういうこと言うと大変なことになるんですよ。
「はぁあ? 何言ってんの、このおじさん」
 天下の織田信長をおじさん呼ばわりである。見た目ちっちゃい子の言うことだから、信長も目くじらは立てないようだ。
「……なりたいのはホント」
「ちょっと、しずかまで何言ってくれちゃってんのよ」
「あの、私が光源氏さまの女なんですけど……」
 突然入って来て、あかねがとんでもないことを言った。
「あんた、身分を考えて喋りなさいよ」
「……身分違いも燃える」
「ちょっと、ストップ! あかねはまだ俺の女じゃないから。あかねも変なこと言うのよせ」
「すみません。お召し替えのお声がかからなかったものですから、心配で来てしまいました」
 状況が状況だから、ストップという言葉に反応がなかった。
「そ、そうだ紹介する。昨日倒れてて連れてきたゾロだ」
 ジャジャーンという感じに平手で示す。
 英語で言うとタダー。
「……まだ、俺の女じゃないって言った」
 蒸し返すなしずか、頼むから。
 ゾロの怪我を呪術でしずかが治したと言ったら、信長はもの凄くびっくりしてお礼を言っていた。
 多少のどたばた、もとい、多々のどたばたがあったが、都の中を見物に行くということで話がまとまった。そういえば、俺も御所との行き来くらいしかしていないので、見て回りたいとは思っていたんだ。
 あかねに信長の着替えを用意してもらう。
 信長を平民と同じ姿にはできないので、ふたりとも狩衣にした。俺のはちゃんと仕立ててもらったものがあるが、信長のはないので俺のを貸した。身長的には伊周さまが信長と同じくらいなので、着てみてダメなら伊周さまのを借りることにしようと思う。
 心配するまでもなく着れたけど。着物の場合、大は小を兼ねるみたいだ。
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