印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 28 -
 などと考えながら、俺たちパーティーは狩衣だろうが誰が一緒だろうが、お構いなしに内裏に入る。誰何もなし。俺はともかく、ゆかりとしずかを知らないならそいつの方がモグリだ。どこでもすいすい何事もなく歩いていると、敵が出てこないアイテムを装備したパーティーみたいだ。
「ゾロがいて、しずかがいれば、どんな敵が現れても勝てそうだよな」
「あたしだっているじゃない」
「ゆかりに何ができんんだよ」
「ふっふっふっ、あたしには百八の近接格闘技があるわ!」
「嘘つけ!」
 まずはさやを探し、定子さまのところへ誘うつもりだったのだが、見つけられなかったのでまあいいかと本部へ向かう。もう、勝手知ったる内裏だ。
「定子さまいらっしゃいますか? ゆかりです!」
 一応という感じでゆかりが声をかけ、返事がないので勝手に入る。
 いいのかよ!
 返事はなかったのに、中には定子さまとさやがいた。
 ん? 何やってんの?
 定子さまがむーむーうなってるが、分からないので座って待っていることにする。
「負けてもうたわー」
「すみません」
 などと言い合ってる。どうやら定子さまが負けたらしい。不思議そうに見るみんなの視線に気づいたのか、さやが説明を始めた。
「定子さまが考えられた遊びをしていました。紐を咥えて、ただし歯で噛んではダメで、引っ張って抜けた方の負けです」
 なるほど、よっぽど暇なんだな。
「光の君もやらへん?」
「え、遠慮させていただきます」
 残念そうにしている定子さまである。その紐を使うということは、どちらかと間接キスになるのだが、それはいいのだろうか。
「定子さま、連れの者を紹介してよろしいでしょうか」
「ええよ」
「この者は、私の身内となりました……たいらぁのぉ……ゾロです」
 名前を自分で考えたのに、普段は信長と言っているもんだからすぐに出て来なかった。
「間ぁのある名前やね」
「違います。平壮呂です」
 ちゃんと言い直した。
 定子さまが信長を見ると、信長は自ら名乗り始めた。
「それがし、平壮呂と申す。今は無位無冠の武士にて、拝謁を賜り恐悦至極に存ずる」
「言葉が難しゅうてよう分からへんけど、よろしゅうにな」
「ははっ」
 信長ってこういうキャラだったっけ? まあ、朝廷を倒すとか言ってないとは思うけど。
「何か、最初に光の君も似たようなことゆうてたなぁ」
「ですね。俺のはどちらかというと、ゾロとかの真似なんですけど」
「そういえば光源氏さまは、未来とやらでの官位は何位でいらしたのですか?」
 無位無冠に反応したさやなりの疑問だろう。だよな、光源氏なんて名乗ったら、殿上人は確実っぽいもん。
「俺の頃には、官位とかがなくなっていたんですよ。天皇はもちろんいらっしゃいますが」
 本当は現代にも官位はあるけど、形骸化しているのは確かだろう。
「いつもと変わらへん思うけど、ゆっくりしてってな」
「ははっ」
 返事をしたのは信長だけだった。
 そりゃそうだ。
 他のメンバーはほぼ毎日来て、ゆっくりしかしていないのだから。
 で、いつもの展開。
 ゆかりたちは信長にあんまり興味を持たなかったんだが、この時代だと年寄り扱いされる年だもんな。
「源氏、これはいつまで続く?」
 信長、いい質問だ。
「俺が聞きたい!」
 しばらくして伊周さまがいらした。
「やっぱり、ここにいましたか」
 いたくていたんじゃないですけどね。
「父と主上に壮呂のことを話してきました。私に一任するとの仰せでしたので、当面は光と一緒に私のとことで暮らしてもらいます。位については働き次第だそうです」
「忝い」
「で、光、枕部に入れるのも好きにしていい、だそうです」
「ありがとうございます」
 お礼を言うが、ゆかりとかがもう好きにしてる、というか好き勝手しているから当然なのかもしれない。信長は感謝しきりの様子だ。
「私はこれで。ちょっと壮呂を借りてもいいですか? 案内がてら話もしたいですし」
「あ、俺も行きます」
 という俺の袂を掴むやつがいる。
「だめよ、光はここにいるの!」
「……まだ行かないで」
「私もこのところ話しができませんでしたから、お話したいのですが? なんでも珍しい食べ物を作られたとか」
 他のふたりはともかく、さやに言われたら断れないな。
 伊周さまを見て苦笑する俺。それを見てやはり苦笑する伊周さま。以心伝心だな。
「そうそう、光、父の料理の件、早く食べたいが準備もあるだろうから、明後日ではどうかということでした」
「分かりました。どこで作ればいいんでしょうか」
「うちで構いません。光も慣れたところの方がやりやすいでしょうから」
「ありがとうございます」
 この言葉に目をキラーンとさせる四人。
「じゃ、ゾロ、済んだら先に帰ってください」
「承知した」
 結局、いつものメンバーが残されたし。
「どんな食べ物なのですか?」
 さっそくさやは料理について聞いてきた。
「あのね、すっごく美味しいの!」
「……また食べたい」
 というくらいだから、そりゃ興味も湧くよな。
「父さまが食べるならウチが食べてもおかしないなぁ」
「簡単には出歩けないんじゃないですか?」
「なんでやの? 兄さまのところで、父さまも一緒なんやから簡単やわ」
「そうですか」
「では、私もご一緒してよろしいでしょうか。定子さまのお世話もありますし」
「ウチも行く!」
「……もちのろん」
 聞いちゃったからなぁ、当然行くって言うよな。道隆さまも、定子さまに来るなとは言わないだろうし、伊周さまのとこなら大丈夫なのかもしれない。少なくとも俺が決める話じゃないだろう。
「分かりました、皆さんの分も作りますから。定子さまとさやはともかく、ゆかりはちゃんとしないとダメだぞ。道隆さまもいらっしゃるんだから」
「大丈夫に決まってるじゃない」
「……道隆さまは、ゆかりが大好き」
「まさか、ロリコンか?」
「……炉痢痕?」
「ロリータコンプレックス」
「……炉痢痛痕婦裂苦好」
「お前、どんな字を想像してんの?」
 このままいると料理の準備だってできやしない。
 よし、ずらかるか。
「では、料理は明後日のお楽しみとして、ちょっと準備がありますので、俺もこれで」
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