印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 31 -
 お茶の支度をしますと言って、準備に向かった。
 料理をするのに、中華鍋のようなものしかない。お茶を淹れるのが結構大変なのだ。鉄器を作る技術はあり鋳物技術も伝来しているが、薬罐みたいなのはまだない。そのうち鋳物で薬罐を作りたいと思う。
 とりあえず、お茶を淹れ、ういろうを切って、皿に盛る。碁石がべたべたになると困るので、箸も持っていこう。
 その前にういろうを試食。うるち米のういろうはざっくりしているが、これはやっぱり柔らかい餅だな。
 まあいいか。
 部屋に戻ると、まだ碁を打っていた。碁石が汚れると悪いから、箸を使ってくださいと言って、お茶とういろうを出す。
「ういろうみたいにしてみたんだけど、食べてみてください」
 で、信長がぱくり。
「ういろうというのは知らぬが、これは美味い」
 そういって食べてくれた。そうか、戦国時代にはまだないんだな。信長は歯があんまりないから、この時代の食べ物は苦手で、ういろうは柔らかいから食べやすいらしい。
 囲碁は白黒の石だから、夜の明かりの下でも打てるからと、終わりが見えない。
 と、そこに諾が急いでやってきた。
 諾は宿直だと言って出て行ったはずだが?
「伊周さま、知らせに参りました。至急おいで頂きたいと、あ、光さまも壮呂さまも」
「諾、落ち着きなさい。どこに参れというのですか?」
「す、すみません、伊周さま。検非違使庁です。外に出るかもしれないので狩衣でとのことです」
「分かりました、すぐ参ると伝えてください」
 諾が出て行くと、伊周さまはふたりに言われた。
「何かは分かりませんが、来るように言われましたので、皆で行くとしましょう。狩衣に着替えてください」
 分かりましたと出て、着替えに自室に行くと、あかねが既に待っていた。
 急いで着替えて検非違使庁へ。検非違使は警察のようなもので、以前は左右の衛門府内にあったが、九四七年に統合され左検非違使庁のみとなっている。そのうち弾正台とかの職掌も奪うようになっていく。信長も名乗った時期があるけど、弾正の役を名乗る人って戦国時代に多いような気がするな。
 それにしても伊周さまは蔵人で検非違使とは無関係なのだが、なぜ呼ばれたんだろう?
 検非違使庁に入ると検非違使の別当、つまり長官が待っていた。
「夜分、お呼び立てして申し訳ない。我々ではどうしようもないことが起きてしまいまして、で、思い出したのが、訳の分からないことがあったら枕部に知らせろとのことでしたので」
「誰がそのようなことを」
 伊周さまはもっともなことを聞かれた。
「関白さまです」
「ならば、仕方ありませんね」
 まだ建物は出来ていないけど、仕事はしろということだな。
「で、何事が起きたのでしょうか」
「実は……」
 別当が言うには、京に九尾の狐が現れたのだとか。伊周さまと信長は驚いているが、俺としては、そんな訳あるか、だった。
 とはいえ左京三条あたりに出たというのだから、とりあえず行ってみるというのはやぶさかではない。
「あの、伊周さま、ゾロに何か武器を貸してやってください」
 丸腰では伊周さまを守れないと思って、俺はお願いしてみた。
「いいでしょう、別当、ここのものを借りていいですね」
「もちろんです。こちらへ」
 武器が仕舞ってあるところへ案内された。
「ではこれと、これを借りるとしよう」
 それは小刀と槍だった。
 昔、それこそ日本人がマンモスハンターだった時代からずっと槍は主力武器なのだが、平安時代からしばらくは薙刀に取って代わられる。その後に、薙刀は主に女性の武器となり、槍が復活していくのだ。まあ、槍が九尾の狐とやらに効くかどうか分からないが、信長に槍が似合っているから良いだろう。
 弓を持った検非違使の何人かと、我らモンスターハンターチームは三条に向かった。
 途中、こんな夜中だというのに、しずかがいた。
「……九尾の狐がいる」
 えっ!? 本当にいるの?
 しずかが言うと真実味を帯びるな。ここで待っていたことも、本当ならありえないのだし、どれだけの力を持っているのだろうか。
「……ちょっと待って。これ、みんな胸に仕舞って」
 そう言って渡されたのは何かのお札だった。
 何? これ。
「……乳帯符(にゅうたいぷ)、これがあると離れても声が聞ける」
「しずかがそう言っているので、懐に入れておいてください」
 俺はそう言いながら、乳帯符というのを伊周さまと信長に渡し、自分も懐に入れておく。
 検非違使がこちらですという所まで来た。
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