印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 37 -
 デレモードの破壊力はハンパない。元から可愛いと思っていたし、もちろん嫌いじゃないし。
「なあ、男が女の家に行くもんじゃないのか?」
「ほとんどがそうだけど、行っちゃダメってことでもないわ」
「ちなみにだけど、お前、浮気とかどう思う?」
「あ、あんたを殺して、ウチも死ぬ」
「なんで、俺なんだよ」
 日本に古くからあるのは一夫一婦制ではない。形式上は夫婦となっても、事実上は集団婚、多夫多婦制と言っていいだろう。子供ができないと困るからというのもあるかもしれない。
 この平安時代の貴族は母系社会である。婿取り、通い婚と言われるが、要はある女性に対して、複数の夫がいるのと同じだ。家長、つまりは娘の母が認めたなら、夫となれるのだから。子孫を残すためには、夫が複数の方が可能性が高いからかもしれない。
 逆に、ある男性について見れば、夫となって良いという複数の女性がいることもありうる。家柄が良く、容姿も良いとなると、あっても不思議ではないだろう。
 そういう形での多夫多婦制なのだ。
 もし、ある男性が複数の女性を妻として、その妻には他の男性を近づけたくないと思ったらどうするか。妻とその母がそれで良いというなら、他の男性が入り込む余地はなるなるはずだ。つまり、地位や権力がある者は、そういう一夫多妻形態になるのである。
 まあ、俺の勝手な解釈かもしれないけど。
 とりあえずハーレムエンドもアリってことだな。
 
 夕食になったが、ゆかりはあかね達と食べるという。
 伊周さまに言わなければ。
「あの、伊周さま。昨日はあんなことの後なのでみんなが泊まったのですが、それを聞いてゆかりがどうしても泊まると言っているのですが」
「そうですか。良かったですね」
「い、いいのですか?」
「この間、私が言ったことではありませんか。ゆかりに男を教えたら、と。そうだ、一緒に風呂に入ってはどうです?」
「風呂ですか!?
「いつもなら、私たちの後に、諾とあかねが入るのですが、ゆっくり入るのに、最後に入るのはどうでしょう」
 どうする?
 断るか、入るか。
 前にも言ったが、風呂といっても裸で入るのではないし、そもそも中は暗くて何も見えない。ゆかりが入らないというなら、あかねたちと入ってもらえばいいか。
「分かりました、そうさせていただきます」
 ニヤニヤ聞いていた信長が楽しそうに言ってきた。
「なんだ、源氏は女子(おなご)を知らぬ体か?」
「そうですけど、ゾロの初めてって幼なじみのお豪の方ですよね、濃姫じゃなくて」
「な、なんで知っておる」
「すいません、勘です。幼なじみだというので、そうなのかなと」
「お主はなんでも知っておるかのと思うたわ」
 で、ここからボーイズトークが炸裂するのだが、内容は秘密である。初恋だの初めての時はだの、まあ色々聞けた。ただ、信長の衆道ネタはちょっと引いたけど。
 食事を終えて部屋に戻ると、ゆかりがそわそわしていた。
「なあ、ゆかり」
「ひゃい!」
 テンパってるらしい。まあ、俺も満貫聴牌だし、って分かりにくいか。
「伊周さまが、ふたりで風呂に入ったらどうだと言われたんだが、どうする?」
「は、入る……」
「そっか、後であかねに用意してもらおう」
 ゆかりの顔がもう風呂に入ったかのように真っ赤になっていた。
 じゃあその前に、ちょっと明日の準備をしてくると言って、厨房に向かった。
 小豆と大豆を水に浸けておく。水を含ませるというより、悪いものを選別するためで、浮くやつは虫がいるのだ。それはゾウムシの仲間で、常温保存だと穀象虫や小豆象虫などが必ずいる。虫がイヤなら十八度以下で保存しておかなければいけない。
 大根を八つに縦割りにして、吊して干しておいたものを塩もみし、洗った後、適当な長さに切り、昆布とスルメの表面を固く絞った布巾で拭いて、細切りにした。これに、御酒、甘葛、塩、名状しがたい醤油のようなもの少々を加え、よく混ぜる。
 松前漬けだ。
 ちょっと食べてみるが、やはり醤油や砂糖がないのが痛い。そのうちちゃんと作ることにしよう。味噌が造られているのだから、醤油も作れなくはないはずだ。実際、実験中だが、いなり寿司試作時から醤油もどきを鋭意熟成中である。まあ、にがりを取った後の塩を水で溶いたのに、味噌と小麦粉を入れて放置しているだけだが。
 名状しがたい醤油のようなもの、というのがそれである。
 部屋に戻ろうとすると、あかねたちが風呂に行くところだった。風呂というのは屋外に建てた小屋である。ただ、風呂というのはずっと後の言葉で、室から出た言葉らしい。
「あかね、伊周さまに聞いたかもしれないけど、後から俺とゆかりが入るから、終わったら支度してくれ」
「分かりました」
 あれ? ちょっと冷たい感じがするのは気のせいだろうか。
 と、諾が驚くことを言ってきた。
「光さま、なんならみんなで入りませんか。お待たせするのは悪いですし」
「い、いいのか?」
「もちろんです。あかねもいいよね」
 あかねは恥ずかしそうにではあるが首肯した。
「じゃ、準備してくれるか? 俺とゆかりの湯帷子」
「こちらに用意してあります」
「そっか。じゃ、呼んでくるから、先に入っててくれ」
 そう言って部屋に戻った。
 俺が部屋に入ると、ゆかりがびくっとした。
 まだ、そのモードなのかよ。
「なあ、お前もふたりだと恥ずかしいだろうから、あかねや諾と一緒に入らないか?」
「ばっ、あんた何考えてんの? 諾っておのこでしょ! 一緒に入れるわけないじゃない」
「え? 諾は女だぞ」
「ま、マジでぇ!?
 お、やっぱりびっくりしているな。
「マジ、マジ」
「だったら、今度めのこの格好させてやる」
「おう、そうしろ」
 やった、諾・ハーマイオニーだ、って、女の子じゃ男の娘にならないか。
「ほら、風呂行くぞ」
「わ、分かったわよ」
 原則、うちで男女が一緒に入ることはないが、湯帷子を着ているので入れなくはない。水着着用のプールが男女一緒なのと同じだ。
 これは江戸時代も一緒で、湯浴み着などを着用していた。明かり自体が少ない環境であり、石榴口という入り口から湯船に入るため、中は暗く湯気も立ちこめ、誰彼の判別すらできなかったらしい。たびたび混浴の禁止令が出されたが、同心は丸腰を襲われるのを恐れてか、女湯を使ったという。そんな狭いところなので、風呂に入る際には声を掛けて入るのだが、それが『ひえもんでござる』で、冷え者ってことだな。
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