印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
携帯・スマホからもご覧いただけます⇒

第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
- 【俺のラノベは平安絵巻】 第1巻:page 42 -
 この時代、ひとつの皿にひと品ずつうず高く盛るのが普通だが、俺は盛り合わせることにした。
 手前の左の皿に、松前付け、雉の皮を揚げたもの、チーズのカナッペ。その右に平らな皿で、萵苣と千切り胡瓜と、ちょっと離して雉の胸肉の薄切り。更に右の小さい皿には冷や奴に降ろし生姜と刻み葱を載せたもの。左奥に、小さないなり寿司五個と唐揚げ三個。中央に煮物、その奥にういろうと栗の剥いたやつ三個。この栗はあかねが何もしないのは悪いと剥いておいてくれたものだ。右奥に、深めの皿に砂を敷き焼けた石を載せ、水を含ませた布でさっと拭き、油を含ませた布でもう一度拭いた。すっごい煙が出たけど、燃えなかったからいいだろう。
 残ったいなりなどは大皿に乗せ、おかわりしてもらう。そういう習慣はないので珍しいはずだ。
 お膳をみんなで運ぶ。二回でいいから楽だな。
 粗相があるといけないので、定子さまと帝には俺がセットしたもの、道隆さまと伊周さまにはあかね、さやと伊佐には諾のにした。
 後は運次第。しずかと飛鳥のはまだよかったっんだが、酷いのもあるな。まあ、人間じゃないのも混じってるから仕方ないけど。お前ら、自分のは自分でやったのに決定な。
 準備も終わったので伊周さまのところへ行く。席をこう考えたましたと、書いた紙を見てもらい、いいでしょうと言われたので一安心だ。
 しばらくすると、おいでになりましたと知らせがあり、俺と伊周さまは玄関に向かった。
 伊周さまが挨拶をして、俺は横で頭を下げているだけである。席にも伊周さまが案内されるので、一番後ろを歩いているだけでいい。
 全員が平身低頭しているところでご着席。
 すっごいメンバーだな。まあ、よく会っているメンバーではあるのだが。
 上座の三人と伊周さまというなら、これはあっても不思議ではない、やんごとない人達なのだが、それ以外は本来同席なんて許されない身分かもしれない。だけどいるんだから仕方がないよな。というか、誰も気にしてないのが一番凄いのかもしれない。
 俺のそんな雰囲気を察知したのか、伊佐が耳打ちしてきた。
「ヒカルがいるから、こんなありえない集まりが実現したんですよ」
 そうなのか?
「本日は主上もご列席賜った。皆、粗相のないように」
 道隆さまの声が飛ぶ。怒ってないですよね。
「ではいただきましょう。枕部佐、大義でした」
 帝からお言葉をいただき、ははぁと頭を下げた。
「では調理しました私からご説明させていただきます。右手前に雉肉の薄切りがございますので、その奥の石に乗せて焼いていただき、萵苣で胡瓜の細切りと焼いた雉肉を包んで食していただきます。石が冷める前に焼いていただきたいので、最初にお召し上がりください。先に肉だけ焼いちゃっておくのもアリです。後のものははご自由に。足りない方はそちらの大皿に少しばかりございますのでお申し付けください」
「で、酒はないのか」
 これは、ちょっと不満がありそうな道隆さま。
 伊周さまを見ると、頷かれたので、あかねに用意してもらう。
 で、焼始めると結構な煙だ。戸は全部開けてスダレを垂らし、蔀も上がっているから、ほぼ野外なので気にはならない。
「自分で焼くのも楽しいなぁ、さや、これくらいでええの?」
「大丈夫です。肉をひっくり返して、もう片面も焼いてください」
「はじめてです。自分で焼くなんて」
「主上のはウチがしてあげよ思たのに」
「自分でするから楽しいんじゃないですか」
 などと帝も仰っていて、帝も定子さまも楽しそうだ。
 あかねが酒を持ってきたので、受け取って俺が行く。
「あかねは自分の席で、まず肉を焼いてくれ。石が冷めるとマズいから」
 酒と杯を持って、上座へ。
 このメンバーだと、帝、道隆さま、伊周さま、伊佐でいいだろう。
「主上にはウチが注ぐから、ここにおいてな」
 というので、御酒は定子さまの前と、道隆さまと伊周さまの間に置き、ここでよろしいですかと聞いた。
「うむ。珍しい料理ばかりで酒が進むわい」
「道隆さま、あまり御酒を召し上がらないための料理なのですが」
 最初にそう言って、作ることになったんだよな。
「良いではないか、こんな酒は滅多に飲めん」
 喜んで貰えるならいいんだけど、ご病気のこともあるからなぁ。大体、この時代の酒は甘すぎるんだよ。アルコール発酵が低くて糖が残ってるのかもしれない。
 ではお楽しみ下さいと一礼して席に戻る。
「信長、お酒飲みたかったですか?」
「いや、儂は飲まんことにしているから」
「さっきの碁ってどうでした? 伊佐って強かったですか?」
「儂に合わせていたらしいので実力のほどは分からんが、恐ろしく強いだろうという感じは受けた」
「そうですか」
 前の席を見回してみると、みんなちゃんと静かに食べている。帝や道隆さまの前では、流石のゆかりでもはしゃげないようだ。どの料理も好評だったが、一番受けたのはやっぱりいなり寿司だった。
 誰が一番いなり寿司を喜んだかっていうと、予想通り玉藻だった。
 キツネだもんな。
「お兄ちゃんの次に大好き」
 しかし、凄い勢いで食ってるな。咀嚼なんかせず丸呑みなんだな、肉食獣って。
 そんな宴は結構長く続いた。
 陽が傾きかけた頃、みんなで帝と定子さま、かなり酔った道隆さまをお見送りすると、後片付けになったが、女の子たちがやってくれるというので、男は集まってまた囲碁である。今度は信長が九子置いて、伊佐と本気で指すらしい。伊周さまが別の碁盤を出してきて、俺を誘ってくれた。
「打ちながら教えますから、とにかくやってみましょう」
「お願いします」
 この囲碁も遅くまで続いた。
第1巻:page 43 < 次  枕部之印  前 > 第1巻:page 41

【お知らせ】
広告のお申し込み・当ページプログラム販売など承ります。委細メールにて。
(著作表示より送信)
 
▽ 基礎知識 ▽

平安用語の基礎知識
 
関連用語の基礎知識