印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page3 -
「信長、どうです?」
「おう、源氏みなもとうじ、ちょうど試すところだ」
 信長が作ろうとしているのは、彼の大好物種子島たねがしま、鉄砲だった。
 俺のうどんとは大違いだ。
 1543年の鉄砲伝来も何もあったもんじゃない。
 ただし、だ。
 唐では百年以上前に飛発というハンドガンのようなものが発明されているし、南宋(唐の後の国)でも銃の生産がされているらしい。つまり、中国にはあったが、日本には教えてくれなかったというだけ。
 俺も銃が好きなので、構造や理屈は知っている。銃器の進化は、威力(マンストッピングパワー)だけでなく、連射と安全性(撃つ側のだ)のためというのも大きいだろう。
 何より、火縄銃は連射ができない。火薬と弾を銃の先っぽから入れ、棒を差し込んで突き固めてから、火縄を付け、火蓋を切ってやっと撃てるのだ。だから、長篠ながしのの戦いでは鉄砲隊を3つに分けて、通常の3倍の速度で撃てるようにと考えたというわけ。
 黒色火薬ガンパウダーの原料は、麻灰(木炭の粉でいい)、硫黄(火山付近で採れる)、それと硝酸カリウム(KNO3)、つまり硝石しょうせきである。
 またカリウム化合物の登場だ。
 黒色火薬は、木炭15%、硫黄10%、硝石75%を粉末にしてよく混ぜるだけでできる。
 ただし、この硝石は入手困難で、日本では天然には存在せず、戦国時代も苦労して調達していたものだった。輸入するか自分で作るしかない。自然界にもあって、チリ硝石(硝酸ナトリウム)が有名だが、チリ自体がまだ発見(住んでる人もいるのに身勝手な言い方だが)もされていない。作るにはアンモニア(尿)を微生物に分解させ、硝酸カリウムになるのを数年がかりで待つらしいが、ならば古い家畜小屋でもいいのではないかということで、信長たちが探していたのである。戦国時代は古いトイレなども探したのだそうだが、トイレ自体が今はないので探しようがない。牛や馬がかなりいるから、そういう土壌を探しては、煮て、して、更に煮詰め、硝酸カリウムの結晶が出るか試す。
 ほどなく見つかったが、これは今でも探し続けているのは大量に必要だからだ。火薬の4分の3は硝石なのである。
 これから、その黒色火薬の実験をするというところだ。
 右京の端の火薬工場である。
 黒色火薬というのは、詰め具合で燃焼速度が変わる。爆発的にすることも、ゆっくり燃焼させることもできる。
 今やろうというのは大きな石の上に火薬を盛って、そこに着火するだけ。怖いから長い棒で火をける。
「では、参る」
 そう言うと、信長は躊躇ちゅうちょなく火を点けた。
 シュワー。
 成功である。
 第二弾として、銃身の強度も試す。
 鉄で作った筒を土に刺し、棒で突き固め、紙を丸めたもの(弾代わり)を入れ、銃身の下の穴から着火する。
 ほぼ花火の打ち上げだな。
 危ないかもしれないので、土嚢どのうに隠れての着火である。
「参る」
 バン!
 凄い音がして、銃身にヒビが入っていた。
 でも、信長は満足そうだった。
「まだ鉄が弱いですね」
「ああ、しかしこれはなんとでもなる。厚みを増して、試して壊れないものだけを使っても良いのだから」
「そうですね。一歩進んだのは良かったです」
「であるな」
 一応の成果を得たので信長に別れを告げ、枕部に戻った。
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