印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
携帯・スマホからもご覧いただけます⇒

第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page4 -
 枕部にはゆかりがいた。
 一応メンバーなのでいても不思議ではないが、やっているのが執筆活動だけなのは困りものである。
 仕事を割り振ってないからだから、悪いのは俺かもしれないが。
「ねえ、凄い音がしたけど、何なの?」
「火薬を試したんだ、里の外なんだけど、そんなに音がしたのか?」
「したわよ。びっくりしたんだから」
「そか」
「よくそんなの作れるわね」
「俺やゾロの時代じゃ普通だぞ」
「そうなんだ、ふーん」
「もう飯時だな、何か食うとするか」
「ねえ、たまにはうちに来ない?」
「いや、たまって言うか、行ったことないんだけど」
「お母さまがあんたを連れて来いってうるさいのよ。みやこで評判の光源氏だから」
「分かった、お邪魔する。って、俺って有名なの?」
「当たり前じゃない。どこからともなく現れて、いきなり茶店作って、あっという間に正五位なんだから、知らない人なんていないわよ」
「そうか、もしかしたらモテるかな?」
「はあぁ? 何言ってんの? その顔でモテるとか言えちゃうわけぇ?」
「悪かったな、こんな顔で」
 ともかく、うちに来いというので一緒に行った。左京四条に入ったあたりの東の外れである。まあ、家は普通という感じか。伊周さまのとことか、普通じゃないもんな。
「お母さま、ただいま戻りました」
 声を掛けると、ゆかりの母親が奥から出てきた。
「おかえりなさい。あら、もしかして本当に連れて来てくれたの?」
 やっぱりだ。
 ゆかりから想像していた通り、明らかに年齢より若く見える。まだ二十歳はたちそこそこという感じの、俺基準での美人だった。
 声も想像通り。ゆかりの声からして、母親はこうでなきゃって感じなんだけど、分かるかな。アニメで言うと、やわらの道に青春をかける女の子ちゃん。
「はい、光源氏さまをお連れしました」
「光さま、ゆかりの母です。どうぞゆっくりしてらしてね」
 俺を見て、にっこりしながらゆかりの母はそう言った。
「は、はい」
 ちょっとどきどき。
 色っぽいし。
「お母さま、お食事に誘ったのですが、よろしかったでしょうか」
「ええ、すぐに支度しますね。ゆかりさん、お部屋にご案内して差し上げて」
「はい、お母さま」
 ゆかりに連れられて家に上がった。
「なあ」
「何よ」
「お前、何でお母さんにはあんなに丁寧なわけ?」
「仕方ないでしょ、そういう風に育てられたんだから」
「いや、その理屈はおかしい。じゃ、何で俺にはこんななんだ?」
「あんただからに決まってるじゃない」
「意味が分からない……」
 まあ、何にせよ、母親の前では良い子でいるってことだな。
「ほら、そこ座ってて。食事の用意するから」
 そう言ってゆかりが出て行った。
 初めて来た家で、ぽっつぅん、である。
 こういう時、何を恐れるか、女性には分からないかもしれない。男にとっては父親が突然現れるのが一番怖い。後、父親とふたりっきりにされるのもヤバい。
 いや、待て。
 俺は曲がりなりにも枕部佐、言ってみればゆかりの上司だ。何を恐れることがある。別にお嬢さんをくださいと言いに来たのでもなし、何も恐れることなどないではないか。
 こういうのを空元気というが。
「光さま、お待ち遠さまでした」
 そう言ってゆかりのお母さんがおぜんを持ってきた。
 ゆかりはまだ来ない。
「さ、し上がってください」
「あの、ゆかりは……?」
「あの子は向こうで食べますので、冷めないうちにどうぞ」
「そ、そうですか。では、いただきます」
 合掌いただきます
 この時代の食事は、原則として自分で味を付けて食べる。現代でもアジアではそういうのも多い。
 だから、どこで食べても、同じような味になるのだが、ここのは違った。
 味が付けてあったからだ。
第2巻:page5 < 次  枕部之印  前 > 第2巻:page3

【お知らせ】
広告のお申し込み・当ページプログラム販売など承ります。委細メールにて。
(著作表示より送信)
 
▽ 基礎知識 ▽

平安用語の基礎知識
 
関連用語の基礎知識