印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page18 -
 翌朝、枕部に行くと、表には市の連中がもう来ていた。
 持ってきたという蕎麦の実を見て行く。手に取り、粒の様子や匂い、割って中がどうかも見た。良いものしか買わないと言ったからだろうか、なるほどちゃんとしたものを集めてきたようだ。全部買ったが、雑穀なので安いものだった。
 ここに置いても仕方ないので、少しだけ残し、後は店の方に運ばせる。
 秋に税として、米の代わりに同量の蕎麦でもいいとしたら、農民は喜んでくれるだろうか。蕎麦が上手く行ったら、伊周さまに相談してみようと思う。直接摂政道隆さまに俺がそういう話をすることはない。怖いからじゃなくて、伊周さまの了承も必要なのと、手柄を伊周さまのものにするためだ。権力欲なんてないし、そもそも藤原氏じゃなければダメなんだから。
 史実では定子さまが中宮になられて、それもあっての伊周さまの昇進なのだが、当然、陰口を叩くものもいたという。しかし、定子さまは女御のままで、伊周さまが手柄によって昇進されているので、文句は出ずに、枕部は凄いという評判になっていたりする。はっきり言って、陰口は『何で若いめのこばかり』というくらいだ。俺もそう思うから仕方ないよな。
 蕎麦を店に置かせて枕部に戻ると、ゆかり、飛鳥と瑠璃が来ていた。
「包丁を作ったのぢゃ、これでよいかの?」
 飛鳥が持ってきたのは、昨日頼んだばかりの麺切り用の包丁だった。
「もうできたのか、早いな。うん、これこれ、持ったバランスもいいし、歯もいい感じになっているな」
「ちゃんと割り込みにしてあるから、切れ味は最高ぢゃ」
「麺は押切にするから、切れないとつぶれてダメなんだ、早速使ってみるな」
 飛鳥も満足そうだ。
「ふたりも手伝ってくれ、今日は蕎麦をやるから、ちょとと大変だぞ」
 小麦は小麦粉にしたものを仕入れているが、蕎麦は殻付きのままだから、かなりの作業量になるだろう。
 それを察知したのか、やることがあるからと飛鳥は帰って行った。
 まず、蕎麦の殻を綺麗にする。
 買ったのは脱穀だっこくしただけの状態だから、かなり大変だ。
 まず、屋外での風選工程、ゴミを飛ばすが(ザルの大きいなものでザルほど隙間がない)であおり、ゴミを飛ばす。フライパンをあおるように、空中に放り、軽いゴミを風で流そうという作業である。唐箕とうみがあると、手動で風を送って、同じような効果が素早くできる。親父の実家、爺ちゃんちで使ったことがある俺は知ってるけど、普通は知らないかもしれない。男の子は絶対好きだと思うな、あれ。
 一応のゴミが取れたら、水に入れて石や土・砂などを沈め、殻を洗う。
 ザルに取り、今度は天日で干して乾燥させる。
 しばし休憩。
 その間に、作るものがあった。
 蕎麦を切るためのガイドになる板である。
 板をかんなで削る。古くから使われてた鉋は槍鉋やりがんなというもので、薙刀なぎなたみたいな形をしたものだから、これでは平らには削れず、ウロコ状の板になる。宮大工はこれを主に使うが、台鉋だいがんなという現代のものに近いものもある。
 ただし、削れる方向が逆。
 西洋も中国も押したときに削る。これはのこぎりもそうで、日本以外のやつは押した時に切れる。
 意味が分からない。
 まあ、日本だけが逆なのだから、日本の方が意味が分からないと言われるかもしれないが。
 いつからそうなったのか分からないが、俺はどうしても馴染なじめないので、飛鳥に引いて削れる鉋と鋸を作ってもらった。大工連中がそれを見て、板が磨いたようにピカピカに仕上がるので欲しがっていたっけ。もちろん、鰹節削りも台鉋と一緒に作ってもらったものだ。
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