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Update 2014-07-01
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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page20 - |
麺を茹でるのはなるべく多くのお湯で茹で、差し水はしない。
ゆっくり鍋の中が対流しているようにするのが良いが、強すぎる対流は擦れて逆効果である。 ザルに取ったら、すぐに水を掛ける、これを面水という。 水に入れ、洗って滑りを取り、ザルに揚げ、化粧水を掛ける。 新しい水に放ち、取りザルに蕎麦を取り、水を切って、これを盛りつける。 二八蕎麦や十割蕎麦のような切れやすいものはこれが正式らしい。 が、俺流はちょっと違う。 ザルに取って、水に放ち、水で滑りを取り、水を替え、蕎麦を一箸分ずつザルに取っていく。 手振りというのだが、新潟の『へぎ蕎麦』の盛り付け方である。 へぎ蕎麦は、『へぎ』という大きな長方形の蒸籠のようなもの(3~4人前)に、一箸分ずつ盛るものだ。 へぐというのは剥ぐという意味で、へぎは剥ぎにあたる。(へぇで:剥いで、などと使う) へぎ蕎麦は、海藻(布海苔)つなぎの緑色をした、コシの強い蕎麦である。 入れ物をへぎだと書いたが、木を剥いで作るからというのを聞いたように思うが、俺は重ねて置いたへぎを1枚ずつに分けることからへぎではないかと思っている。 なお、これらは盛りとかザルの場合であって、今回は汁蕎麦にするのだから、水から一人前ずつザルに揚げるだけ。 何のことはない、うどんと同じだ。 後もうどんと同じ、お湯で温め、つゆを入れ、揚げ玉を載せ、刻みネギを散らす。 やっていることは立ち食いうどん、立ち食い蕎麦と同じだ。 にしても、七味がないのが悲しい。 代わりに焼き海苔を細く切ったものを散らしすと、香りがぐっと良くなる。 まあまあ、かな。 瑠璃は俺より上手く打てたかもしれない。 「これ、たぬき蕎麦な」 「へぇ、たぬき言うん」 「ウチはうどんの方が好きかも、蕎麦は面倒だし」 「まあ、な。でも腹持ちは蕎麦の方がいいんだぜ。うどんはすぐに腹が減るから。俺に言わせりゃ、うどんは飲み物だな」 カレーも飲み物だが。 カレー食いたいなぁ……絶対ムリだけど。マダガスカルとか新大陸とかの香辛料、特に唐辛子がないとできない。 この時代、インドでは何食ってんだろ? 蕎麦を食ったので、朝食も終了。 毎日同じことやってるな。 瑠璃はちゃんとやり方をメモってる。流石、薬師だ。 任せて正解。 本草学は博物学だから、垣根みたいなのは作らないんだろうと勝手に思う。、 しかし、蕎麦粉を挽くのは大変だということを実感した。小麦粉を作っているところに頼むことにしよう。 「ねぇ、今日も定子さまに差し上げよ」 「いや、蕎麦はダメだ。こっちに来てもらうならまだしも、持っていくのは延びてどうしようもない」 そもそも、蕎麦は3タテという。挽き立て、打ち立て、茹で立て、そうでなくては美味くないとさえ言われるくらいなのだ。 もっとも、本当は採り立ての新蕎麦がいいので、4タテかもしれないが。 その後は馴染みの大工を呼んで、唐箕の制作に取りかかった。 手回しで羽根板を回転させ、風を送り、上から少しずつ蕎麦(他の穀物も)落下させることで、飛びやすい藁くずなどは遠くへ、実は中間へ、石などは真下に落とそうというものだ。プロペラと違うのは、羽根の付き方で、水車のように垂直になっているものである。 |
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