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Update 2014-07-01
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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page25 - |
俺の描いた適当な絵だが、それなりに動いて見える。
やっぱり目パチはいいな。 大満足である。 「コンニチハ、ヒカルゲンジサマ、ダイスキ」 操作しながら、声を変えて言ってみた。 バカみたいだが、他に誰もいないからいいだろう…… ゲッ! ゆかりとしずかがジーっと見ていた。 ジトっ、と言った方が近いかもしれない。 「あ、あんた、何やってんの……?」 「……さすがのあたしもちょっとヒク」 「い、いや、違う! これは、あれだ、人形を作って芝居やって子供たちを楽しませようとだな……」 「……人魚と柴犬」 「何? 人形とか芝居って」 「劇だ、分かんないか、人形浄瑠璃が近いんだけど、能とか狂言、もまだないか、うーん、説明できん!」 「やって見せてくれればいいじゃない」 「……人魚の柴犬見たい」 って、人魚とか柴犬って平安時代に通じるのかよ。いや、俺にそう聞こえてるだけで、違うこと言ってるのかもしれないが。 「じゃ、ちょっとやってみるから。人形がひとつだから、反対向いたら他の人だと思ってくれ」 人形ひとつで即席劇だ、悲しい…… 「あるところに、おじいさんと(反対を向けて)おばあさんがいました。ある日おじいさんは山に柴刈りに行きました」 「……それ、おばあさん」 「(反対を向けて)柴刈りに行きました」 てくてく歩いて上手(かみて、向かって右)にハケる。 「(下から出して)おばあさんは、川に洗濯に行きました」 てくてく歩いて下手(向かって左)にちょっと行って下を向かせる。 「どれどれ、洗濯をしましょう……ぷーっと、おばあさんはしゃがんだ拍子にイッパツしてしまいました」 ふたりはくすくす笑ってる。 「するとそれが風に流されおじいさんのところへ」 上手側に行って、人形を出す。 「おじいさんは、柴を刈らずに、草刈った……」 爆笑してくれた。 「何? それ。意味わかんない」 爆笑しながら言う言葉か! 「……草を刈るのと臭かったのこと」 「そうそう、こういうのをシャレっていうんだ、ふたつの意味がひとつの言葉にあるだろ?」 「へぇ~」 いや、ゆかり、そういう平坦な『へぇ~』はあんまり嬉しくないな。 「……草刈ったから、へぇ~」 流石だ、しずか。 「で、それでどうするわけ?」 「だからな、絵はちゃんとしたのをしずかに描いてもらうとして、それを使って、今みたいなのをやって、子供たちを楽しませてやりたいなと思ってさ」 「分かった! 羅述みたいなのを、今のでやるんでしょ!」 「そうそう、ゆかりは賢いな」 「嫌いよ、そういう言い方って。大人っぽくて」 「そうだな、気をつけよう」 「……それも芝居?」 まあ、知っている人は知ってるシーンだな。 「だからさ、しずかは絵を描いて欲しいんだけど、内容が決まったら頼むな」 「……分かった」 「で、どういうのにすんのよ?」 「そうだな……初めて見るんだから、あんまり複雑だと分からないよな。単純なのがいいんじゃないか?」 「……光が書いた羅述がいいと思う」 「そうね、あれのクドいところをなくして、単純に酒を飲ませて戦ったらいいんじゃない?」 「クドくて悪かったな」 「……あれは子供だけじゃなくて、女官にも分からない」 「そっか、じゃあ、イヌとサルとキジをお供にして戦うってのどうだ? 子供でも分かるだろ?」 「そうね。でもイヌとかって喋らないじゃない」 「喋るんだよ。子供向けなんだから」 「そっか、子供は喜ぶかもね」 「だろ?」 「……多分大人も喜ぶ」 「だろ!」 |
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