印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page34 -
 包丁も日本刀に似ていて、良いものでは割込わりこみをしたものもある。
 割込とは、1種類の鉄で作るのではなく、低炭素鋼(軟鉄)と高炭素鋼(はがね)を使い、一方を他方でくるむようにすることだ。
 実は、日本刀と包丁では、これがまったく逆になっている。
 高炭素鋼はたたら製鉄(木炭で鉄を精錬するから当然高炭素鋼になる)などで作る玉鋼たまはがねなどの硬く切れ味のよい鉄だが折れやすく、低炭素鋼は切れ味はあまり期待できないが粘り強く折れにくいという特徴がある。
 日本刀は低炭素鋼を高炭素鋼でくるみ、包丁は高炭素鋼を低炭素鋼でくるむ。貴重なはがね(刃金とも書く)を少量で切れ味よくというのが包丁なのかもしれない。
 ならば、日本刀も包丁と同じにしたらどうかというと、それでは強度が保てず、すぐに曲がってしまうのだそうだ。ただし、刃は低炭素鋼なため、2、3人も切ると切れ味が落ちて切れなくなり、刺すことしかできなくなったという。ちなみに、刀で斬るのは生きるためだが、刺すのは死を覚悟しないとできないのだそうだ。
 終わったのか、飛鳥がふぅと息を吐いて背伸びをすると、こちらに歩み寄ってきた。
「何ごとぢゃ?」
「いや、しずかが用があるとかで」
「……例の鬼切おにぎりが必要になった」
「なるほど、あい分かったのぢゃ」
 分かるのか?
「あ、おれも頼んでいいか?」
「何ぢゃ?」
「いや、おにぎり」
「……まさか、握り飯のことではないぢゃろうの?」
「そう、だけど?」
「鬼切のつるぎは、鬼を切り裂くための劔ぢゃ、食べ物ではない」
 もの凄くバカにした目で言われた。
「じゃ、さ。俺の太刀も頼んでいいか? 反りのあるやつで、ただし割込がちょっと違うのにしたいんだけど」
 紙を持ってきてもらって、図を書いて説明した。
「ふむ、作り方は普通と似ておるが。これで太刀になるかの? しかし、反りとは何ぢゃ?」
 反りについて説明した。
 効用については「ふむ、なるほどなのぢゃ」などと言っていた。
 飛鳥の作る太刀には反りが作られるようになるのだが、それは後の話。
「な、こういうの作ってみないと分からないだろ? 鋼の固さとかを考えて、厚みとか調節して、形にはできるよな。使う鉄の量は同じなんだから」
「まあ、これは最初は太刀にするのはやめて、小刀か、光らしく包丁のようなものにすべきぢゃな」
「ああ、それでもいいから頼むよ」
「いずれにせよ鬼切が先ぢゃな。包丁はその後ぢゃ」
 完全に包丁って言ってるし。
 そういえば、飛鳥の歳も聞いてなかったことを思い出した。
「なあ、飛鳥。お前っていくつ?」
「歳のことか? 14ぢゃがそれがどうした」
「瑠璃っていくつか知ってるか?」
17ぢゃと聞いたが?」
「そっか、ありがとな」
 飛鳥も14なのか。数えだから13になる年ってことだけど。
 普通の日本刀は、⊃型に鋼をして、その中に軟鉄を入れて、軟鉄側が刃先になる。俺が頼んだのは鋼を∋型にして⊂型の軟鉄を組み込むように入れ、鋼側が刃先になるものだった。鋼の切れる方が刃先だから包丁と同じだが、包丁のように単純に中に入れるのではなく、中心と外側が鋼なのだ。実際にどうなるかは分からないが、気持ち的には切れそうだと思うんだけど。
 というか、ダメなら包丁として使うし。
 もしかすると、飛鳥にはダメな予感があって、包丁と言っているのかもしれない。もっとも、俺が太刀で戦うのなんて想像できないのは、俺自身すらそうだから当然ともいえるだろう。包丁を握っているのなら何度も見られてるし、包丁や調理道具しか頼んだことがないのだから。
 飛鳥に、また明日と言って別れた。
 明日には舞台もできてくるから、人形を持っての稽古もできるはずだ。
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