印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page54 -
 喜ばしいことなのだが、茶店は行列ができるほどの超満員だった。
 並びたくないが、他の客が待っているのに優先して座るのも悪い。
「どうする? 茶店は後にして、うどん屋に行ってみるか?」
「まあ、ウチはそれでもいいけど」
「……今日は蕎麦にする」
「えっ!?
 ゆかりとしずか、それに瑠璃、飛鳥、玉藻、諾までいる。
「な、何だ、お前ら、急に現れやがって」
「ずっと後ろにいたじゃない。声を掛けないであげたんだから感謝しなさいよね、にぃにぃ」
「……にぃにぃは話に夢中で気づかなかっただけ」
「今度からお兄ちゃんじゃなく、にぃにぃと呼ふね、にぃにぃ」
 玉藻は久しぶりに少女モードだった。
「にぃにぃはもう少し周りを警戒した方がいいのぢゃ」」
「にぃにぃ言わなあかんの? にぃにぃ?」
 瑠璃は後半が上がってちょっと発音が違うかも。
「あかねと一緒というのは珍しいですね、光さま」
 諾だけだ、にぃにぃって呼ばないのは。
 ってか、そういうの全部聞いてやがったのか、こいつら。
 いつからいたんだ?
「いや、諾、あかねが茶店に来たことがないというから。それからみんな、にぃにぃは禁止な」
「よし、うどん屋に行くのぢゃ」
「ちゅる屋やて教えたやんか」
「何だ、瑠璃、ちゅる屋って」
 当然の疑問だだろう。
「ちゅるちゅる食べるからちゅる屋」
「そっか……言いにくいから、鶴屋にすっか。鶴なら縁起もいいし。よし、うどん屋を正式名称、鶴屋とする」
 きっぱり宣言した。
「だったら、茶店は亀屋ってこと?」
 賢いなゆかり。
「そうだな、茶店の正式名称は亀屋とする」
「……単純」
 こんな簡単に決めていいのだろうか。結構、歴史的瞬間だったりするのだが。後で看板を発注するか。
「あかね、ごめんな、こいつらと一緒になっちゃって」
「えっと、かなり最初の方から一緒でしたけど、まさか本当に気づいてなかったんですか?」
「あ、ああ。あかねに夢中だったからかな」
「もう。そういうこと言われると、嘘だと分かってても嬉しいです」
 できるだけ、あかねの隣を歩くようにした。
 茶店改め亀屋からうどん屋改め鶴屋に移動途中、家を取り壊しているのに遭遇した。
「あれ? ここってどうしたんだ?」
「不幸続きだったんで、もっと下ったところに移るんだそうです」
 諾はそういうの詳しいな。
「じゃ、空き地になるってことか?」
「そう聞いてますけど」
「よし、決めた。ここを万斎家ばんざいや予定地とする」
 また決めちゃった。
 取り壊しを指示しているオヤジに話をしてみた。物の怪か何かの祟りかがあるので、お勧めできないが、枕部佐さまがよろしいならということだった。
「おい、飛鳥、ここをお祓いしてくれ」
「なぜわれなのぢゃ?」
「あ、そっか、巫女じゃなかったな。間違った」
「アホなのぢゃ」
「だったら、しずかと玉藻だな。ここに何かいるのか?」
「……いる」
「お兄ちゃん、あたしに任せて!」
 そう言うと、お札を取り出して、何かを呟いてお札を投げた。
 しゅっと飛んでいったかと思うと、半分取り壊された家の屋根の上ではじけ飛び、強い光を放った。
 どうやら、物の怪か何かにぶつけたのだろう。
 何やら大きなものが屋根の上に現れた。どう言ったら分かるだろうか。不定形のどろどろ、ずるずるな何か。名状しがたいスライムのようなもの、だ。スライムというと可愛いイメージがすり込まれてしまっているが、目の前のはまったく可愛げがない。
「……おに
「え? あれって鬼なのか!?
 あかねが俺にくっついて来た。
 怖いのだろう。
 それを見たゆかりがくっついて来た。
「……鬼に決まった形はない。色んな形の鬼がいる」
調伏ちょうぶくできるか!?
「……ムリ!」
 しずかは言い切りやがった。
「お兄ちゃん、鬼は普通の物の怪と違って、絶対鬼胎きたい領域というのがあるから晴明さまでもムリなんだよ」
「どうすんだよ、じゃあ」
 鬼だというスライム状のものが動き出した。
 そいつは半透明の体なので、取り壊した瓦礫がれきを体内に入れて、更に溶けていくのまで見えている。
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