印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page56 -
 歩幅も運動能力も違うから、俺が着いたときにはやつらはもう接敵していた。とはいえ、鬼切の劔は1本、攻撃できるのは飛鳥だけだ。
「ゆかり、そこの壊れた家の柱で殴れないか?」
 少しでも援護になればと指示した。
『そうね、やってみる!』
 実体を表してから結構経っているが、まだ10メートルくらいしか鬼は進んでいない。
 その代わり、通ったところには何もなかった。家も木も飲み込んで溶かし、地面はぬらぬらとしたナメクジの跡のようになっている。
「飛鳥! 切り込んで見ろ、真っ直ぐに刃を向けて、左手はつかの後ろから押す感じにして!」
『やってみるのぢゃ!』
 飛鳥が真正面から飛び込んだ。
 何でも飲み込んで溶かすのだから抵抗なく刺さってノーダメージとか予想したのだが……
 違った。
 刺さらない。
 劔の先端から火花が飛び散り、ぎりぎりという音は聞こえるが、刺さる気配もない。
 ダメージを与えられないのは予想通りだが。
『……私にも指示を』
「どこかに大きな岩かなんかないか? 試したいことがあるんだが?」
『……それなら知ってる。すぐに取ってくる』
 しずかが向かったのは……うどん屋改め鶴屋の方だった。
 ああ、あるな、俺も知ってる。
 あの石、気に入ってたんだけど、俺の思いつきだから仕方ないか。経費で落ちるかなぁ?
 鬼の後ろから大きな柱を持ったゆかりが殴りかかった。
 大きなベチャっという音がして、柱は鬼の中に飲み込まれていく。やっぱりノーダメージか。
「ゆかり、離せ!」
『分かった』
 柱はずるずると飲み込まれ、中で溶けていく。
 よく考えたら、参謀だとか言われてたが、どうやって戦うのか聞いてないことに気づいた。絶対鬼胎領域とかいうのを壊すか中和するって言ってたけど、それをしないとダメなんじゃないか?
 知っていそうなのは……
「しずか!」
『……んっ?』
「絶対鬼胎領域ってどうやって壊すんだ!?
『……お、重いから、ちょっと待って』
「ゆかり、しずかをフォローしてくれ!」
『ふぉろー? 何?』
「しずかを手伝ってやってくれ。岩を持ってきているんだ」
『了解!』
「飛鳥、鬼切は大丈夫なのか?」
 飛鳥はずっと鬼切で鬼を刺そうとしているが、らちがあかない。
『われの渾身の作ぢゃ、刃こぼれひとつせんのぢゃ!』
 いや、火花が散ってるし。
「足止めにはなってるようだな。何か、気みたいのって入れられないのか?」
『鍛冶のわれに言われても、劔を作るときになら籠められるのぢゃが』
 だよな。
 戦闘訓練なんてしてないし。動かす練習をあの狭いところでしてただけで、いきなり実戦投入ときた。
 手術なんてしたことのない医学生に、いきなり高度な手術をさせてるみたいなもんだ。
 上手く行く方が不思議。
『着いたわよ、光』
「よし、しずか、今度は喋れるか?」
『……大丈夫』
「絶対鬼胎領域ってどうしたらいいんだ!?
『……壊すか中和する』
「どうやって!」
『……まだ聞いてない』
 ぇえーっ!
 ど、どうすんだ?
 そういえば、詮子さまは羞恥心を高めるとか言ってたな。
 そうか。
「ゆかり、これが終わったら、また一緒に風呂に入ろうな、今度は明るいときに」
『な、ま、何ぃ!?
『……また、って言った』
「飛鳥も俺の嫁になるか?」
『そ、それはどうぢゃろな?』
「しずか、愛してるぞー!」
『……知ってる』
 今の反応だと、可能性があるのはゆかりか?
「ゆかり、さっき裸になったのよっく見てたぞ」
 無反応。
「ゆかり、お前って脱ぐと可愛いよな」
 無反応、だが……
『ばっ』
 ば?
『バカモノー!』
 ゆかりは岩を持ち上げると、投げつけた。
 俺にじゃなくて、鬼にだったが。
 初号鬼はオレンジの光をまとい、岩も同じ光を纏っていた。鬼にぶつかる瞬間、ガラスが砕けるような音がした。
「今だ! 飛鳥、そこを突け!」
 一瞬のタメの後、飛鳥の鬼切は鬼を貫いていた。
 鬼の体がでたらめに膨らんだり縮んだりしている。
 ぼこぼこぼこ……
 と、ぎゅーっと縮んだ。
 30センチほど。
 たおした、のか?
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