印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page58 -
 結局のところ、鬼はそんなに出るもんじゃないらしい。
 何十年に一回あるか、ないか。大きいのになると何百年に一回だとか聞いた。
 これをムダと考えるか、備えとして必要だと考えるかは為政者いせいしゃによるだろう。
 地震とかと同じだ。備えあれば憂いなし。
 道隆さまはそう考えているということになる。
 いいことだな。
 その訓練のために土地を買ったというのが凄いけど。
 重い足取りで家路についた。とてもじゃないけど、音流府になんか行く気になれなかった。二日酔いで戦闘って大変だな。
 後で聞いたところによると、あの家は取り壊し予定だったそうだ。しかも、枕部で使うために買ったのだという。どうせ壊すなら派手に、訓練も兼ねてということだったらしい。伊周さまは知っていたし、何と信長まで知っていた。どうりで出張でばってこないわけだ。あんなのが出たら、種子島ぶっ放しに来ないのはおかしいもんな。まあ、良い場所に広い店が出せそうだからいいんだけれど。
 夕食まで部屋でぼーっとして、伊周さまと夕食。
「今日は大変だったみたいですね」
「はあ」
「実戦の前に模擬戦は必要ですよ。知らされずに戦闘するのもいい経験です」
「そうですね」
「そうですよ。ところで光、例のものが準備できました」
「えっと、何でしょう?」
「ほら、カラハナクサや大きな樽とかですよ。荘園に置いてあります。酒殿さかどのにも話を付けときました」
 酒殿というのは酒造りをしているところで、プロの人に手伝ってもらおうという算段である。そうでなければ素人がいきなりやってできるはずもない。
「分かりました。明日にでも行って来ます」
「明日は方違かたたがえですよ、忘れてたんですか?」
「いつものお寺ですよね、覚えてます。ちゃんと帰ってきますから」
「なら結構。私だって早くその酒を飲んでみたいですから」
「はい。それと次の店のことですが」
「あそこが更地さらちになるのはまだ何日もかかるでしょうから、その後すぐに建てられるように計画しておいてください」
「分かりました。思ったよりずっと広いんで、色々やってみたいんですが」
「光の思った通りにやってください」
「ありがとうございます」
 
 翌朝、俺は酒殿に向かった。
 酒は造酒司さけのつかさが管理しているが、実際に作っているのは酒殿だから、ノウハウを持っている者も酒殿のにいる。
 酒は役所かいぎしつで造っているんじゃない、酒殿げんばで造ってるんだ!
 酒殿にも別当とか偉い人もいるが、俺の狙いは酒造りに年季の入った職人である。
 と、見知った顔を見つけた。よく亀屋ちゃみせ鶴屋うどんやで見かける。向こうも俺の顔が分かったみたいだ。
「枕部佐さまですな。酒を造って30年、職人頭の猪尾いのお常造つねぞうです」
「一条光です。よろしく」
 いくつなんだ、この人?
 平均寿命が35歳くらいなのに、酒造り30年って。もしかしたら、酒は体にいいのかもしれない。百薬の長とか言うし。
「よく茶店とかうどん屋に行ってるんです。見覚えはありませんか?」
「ありますよ、毎度ありがとうございます」
「ははは、美味いですからな。ほとんど毎日通っていますよ」
 いい人だな。
「で、どうお願いしてあるか分からないのですが、新しい酒を造りたいんで手伝ってもらいたいんですが」
「ええ、聞いています。私からぜひやらせてもらいたいと別当にお願いしたんですよ」
「そうですか、猪尾さん、よろしくお願いします」
「あ、常造でいいです。というかみんなはつねさんと呼んでますから、よろしかったらそれで」
「分かりました、常さん、よろしくお願いします」
「はい。こちらこそ。で、何をしたらよろしいので?」
「ちょっと相談、というか、まずは色々教えてもらいたいんですが」
「そうですか。立ち話も何ですから、どうぞこちらへ」
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