印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page60 -
「この人は酒殿さかどのの職人頭で猪尾いのお常造つねぞうさんだ。俺がお世話になる人だから失礼のないようにな」
「はい」
 返事したのは諾だけか。
 頷いているのもいたから、分かったのだと思っておこう。
 常さんを先頭に、ずらずらと並んで歩く。そりゃ人目も引くわな。
「母ちゃん、あれ何?」
「しっ、見たらあかんよ!」
 いや、見られても困るようなことは何ひとつしていないつもりなのだが。昨日だって同じように歩いてたし。
 着いたのは河原の傍だったから、すぐにゆかりたちは水遊びを始めた。夏も終わりに近いが、まだ暑いからな。
「これです、光さま」
 直径が3センチくらい、1.5メートルくらいの真っ直ぐな棒状の木が何本も立っている。今は葉が茂っているが、冬には落ちて、春にまた芽が出てくる。
「瑠璃、これって瓶の栓にできないかな」
「瓶の栓て何?」
 俺は目的と、気が抜けないようにすることなどを瑠璃に説明した。
「そっか。針桐はりぎりらかいのんならええかも。どんくらいの間、栓をするん?」
「最低ひと月くらいかな」
「木ぃは乾くと縮んで、濡れると膨らむから、乾かしてから使わなあかんかも」
「そうだな」
 とりあえず試してみるしかないな。
 よし、切って……しまった、切るものがない。
 針桐というくらいだから棘があって、素手で折ろうという気にはならない。
「常さん、何か切るものありますか?」
「あ、持ってきてないですな、そう言えば」
 誰も劔も持ってないし、と見回して閃いた。
「玉藻、ちょっと来てくれ!」
「何? お兄ちゃん!」
 向こうで羅螺ららとにらめっこしている玉藻を呼んだ。
「お兄ちゃんと呼ばせてるんですか、流石ですな」
「いや、常さん、違うんだって」
「大丈夫、誰にも言ったりしませんから」
 かなり勘違いしているな、この人。
「どうしたの?」
「お前、ちょっとこの木を下の方で切ってくれ」
「あ、これくらいなら羅螺ららの方がいいかも。羅螺聞いたわよね、この木切って」
「らーらー」
 羅螺から触手のようなものが伸びたかと思うと、木の根元をヒュっとひとなぎした。
「切れたわよ、お兄ちゃん」
「え、これだけで?」
 木は真っ直ぐに立っている。
 そよと風が吹くと、ゆっくりと倒れた。
 ちびっこいのに、妖怪なんだな。
「なあ、もしかしてそいつは木とか溶かす?」
「うん、この前見たでしょ? おっきくはなれないけど、形はかえられるよ」
「あれって、元からの能力なのか?」
「そうだよ。だからお兄ちゃんは触ったらダメだからね」
「分かった、絶っ対触らない」
「らー、らー」
「あ、そうなんだ。羅螺がね、大丈夫だって」
「何が?」
「お兄ちゃんはなるべく溶かさないって」
「なるべくかい!」
 絶対触らないことにしよう。
「切ったけど、棘があって持てないのだが、何とかならないか?」
「らーらー」
 ぽょんと羅螺が跳ねて行って、切った木の上を這うと、そこだけ皮が剥かれ、つるつるの棒になった。
 これ、手で持って大丈夫なのか?
 恐る恐る触ってみるが何ともない。そっと掴んで、一応川の水で洗った。
「らー! らー!」
「羅螺が失礼だって」
「あ、ごめんな、そういう意味じゃないんだ」
 とりあえず目的は果たしたので、俺は常さんを促した。
「じゃ、戻りましょうか」
「あっちはいいんで?」
「構いません、腹が減ったら帰ってくるでしょうから」
 俺たちと一緒に帰ったのは瑠璃だけだった。一応、最後まで見届けてくれるらしい。
 諾も来そうだったので、監視員として残るように言っておいた。
「瓶が必要なんですが、何かありますかね?」
 俺の問いに常さんが答えた。
「瓶ねぇ、瓶子へいしでしたら色々なのがありますから行って見ますか?」
「お願いします」
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