印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page61 -
 酒殿の隣の建物に入ると、なるほど色々なものが置いてあった。
 このびんというのは、壺の小さなもので、口が狭まっているものを指す言葉である。首が短いのも長いのも全部、瓶子へいしで、花瓶みたいなのもあれば、くしゃみひとつで呼ばれて飛び出る大魔王の壺みたいなのまである。現代ではガラス瓶のことを指すことが多いと思うが、中国では陶磁器もガラスも含め瓶子ビンツというそうだ。ガラスの方はまだ手つかずだったから、早急になんとかしたいと思う。
 内部からの圧力に強そうで、栓がきっちりできて、手頃な大きさのものを選んだ。まあ、簡単な話、ビール瓶状のもの、ということだが。
 酒殿への帰り道。
「この木を切って乾かしてだと、瑠璃、どのくらいで乾く?」
「切って干せばそんなにかからん思うけど、急に乾かすとヒビが入るかも」
「じゃ、それはゆっくりやるとして、試しにひとつだけ、これでやってみるか。常さん、ひと瓶分のもろみを火入れしないで絞ってくれませんか」
「お安いご用で」
 気軽に常さんは応えてくれた。
 栓は俺と瑠璃で作らないといけないな。
「瑠璃、お前、気って分かるか?」
「どの気ぃのこと?」
「水とかから出てくる気、水から泡が出るのって知らないか?」
「ああ、あるなぁ、あれが気ぃか」
「あれを瓶に閉じ込めておきたいんだ。きっちり、ぴっちりの栓をしてな」
「へぇ、変なことすんねんな」
「いいの、それが美味しいんだから」
「美味いん? せやったらちゃんと栓しとかなあかんやん」
「だろ? 枕部に工具があるから、そっち行くか。常さん、俺たちは枕部で栓を作ってくるので、そっち頼みます」
「分かりました、では後ほど」
 常さんと別れ、枕部に向かった。
 関係ないのだが、瑠璃といて思ったことを書き留めておく。
 英語で人を表すのに、~シュ、~アン・ヤン、~ニーズというのがある。イングリッシュ、インディアン、ジャパニーズなど。大阪人って何だろうなと考えて『オオサカヤン』だと思った。
 それだけ。
 
 針桐の皮を何とか剥いて、良さそうなところをのこぎりで切った。
 ちょっと長めにしておく。
 くずが入るといけないので、かんなで削って、ついでに差し込む側の面取りもした。瓶に挿してみると、いい感じにきゅきゅ言っている。
「なあ、これもっときっちりするにはどうしたらいいと思う?」
「そやなぁ、ろうとかで塞ぐんはどう?」
「多分、中の気が強くなると意味がないかもな」
 普通の炭酸飲料で冷蔵庫に入れて置いて確か3気圧くらいだ。
 20℃で4気圧、30℃で5気圧、50℃になると8気圧にもなるので、それに耐えられるようにペットボトルは作られているというのを読んだ覚えがある。
 冷蔵庫なんてないし、いつも常温。
 ふと、別の考えが浮かぶ。試したいが……
 そのためにはガラス瓶もあった方がいいから、ま、それは先の話だな。
 常さんのところに瑠璃と一緒に戻り、瓶をよく洗って、絞った酒を入れ、常さんの甘酒をちょっと入れてからきっちり栓をした。飛び出すといけないので、紐でぐるぐる巻きにしてから、酒蔵の隅の方に置かせてもらう。
「で、話の続きですが、水飴作りができる人もいるといいんですが」
「ええ、さっきそう聞きましたから、呼びに行かせました。もう来る頃だと思います」
 おお、手回しがいいな。
「と、ちょうど来ましたな。おーい、こっちだ!」
 常さんが呼んだのは、年格好が常さんと同じくらいの人だった。
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