印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page62 -
「おお、常さん、枕部の仕事じゃと?」
「光さま、紹介します、こいつが……」
「光さまですか。儂は奥山おくやま楢長ならながっちゅうもんですじゃ。皆はちょうさんと呼びますから、良かったらそう呼んでくだされ」
「分かりました、長さん、一条光です。よろしくお願いします」
「何やら、水飴作りして酒を造るとかなんとか。どういうことですじゃ」
「ええ、説明しましょう」
 長さんに説明した。
「麦もやしで、とは、初めて聞きました」
「やり方は米のと同じですが、甘みが大麦の方がいいらしいです」
「分かりました、すぐにやって見ます」
「で、ですね、その大麦を芽を出させるのですが、実際は芽が出る前の根だけが出た状態で。その根を取って、乾燥して砕いて、水飴は米の粥で作りますが、今回のはそれ自体を使います。ここまでは長さんにお願いしたいのです。その後、カラハナクサと酒母もとを混ぜて醪にして発酵させ、発酵が終わったらそのまま絞ります。ここを常さんにお願いします。それに別に作った少しの水飴を混ぜて瓶に詰めてきつく栓をして、瓶の中でまた発酵させます。ひと月かふた月くらいしたら飲み頃になるはずです」
「光さま、それと同じにして水飴も作ってみたいのじゃが」
「もちろんやってみてください。その水飴も必要なんですから」
「ふむ、光さま、一回で全部を混ぜていいのですか?」
「そうですね……具合を判断してもらいながらになりますが、三段仕込みにしてみますか」
 3度に分けて醪に混ぜるという意味で、一度に混ぜるとどうした具合か、上手く醪にならないとか聞いたことがある。
「分かりました、調子を見ながらやってみましょう」
 ということで、ビール造りが始まった。
 まあ、研究段階だけど。
 前にも書いたし、今の話にも出てきているが、酵母というのはアルコール発酵をして、炭酸ガスを出す。
 その酵母のエサは糖分なのだ。
 だから、ビールは麦芽の糖化酵素を使って、デンプンから麦芽糖を作らせるし、日本酒は麹菌の糖化酵素を使う。当たり前だが、これらからできるのは、水飴であり甘酒でしかなく、アルコールができることはほとんどない。最初に常さんが飲ませてくれた甘酒は、普通に酒造り工程で造って、酒母を入れなかったというだけだろう。
 運が良ければ、自然にある酵母が入り込み、アルコール発酵をしてくれるかもしれない。ただ、酢酸菌が入ると酢になるから、本当に運次第になってしまうが。
 酒蔵には長年の酵母が住み着いているから、何もしなくても入ってくる確率はうんと高いが、もしそうでない場所で初めて作っても失敗するだろう。九里林の荘園では、素人だけでやってもムダなのである。
 だから酵母が必要なのだが、それが分離されるのは19世紀のことだ。
 だが、酒は造られている。
 分離はされていないが、それを使うと酒ができるというもと、あるいは酒母もとというのが知られているからだ。日本酒の酵母はアルコールだけでなく酢も同時に作っているが、酢酸ではなく、クエン酸らしい。多いのはいけないが、ないと日本酒の味にならないという。微妙な酸味、甘み、うま味、アルコール、そういうのが合わさって日本酒になるのである。
 つまり、まず何らかの方法で糖化酵素を得て、デンプンからブドウ糖を作り、それをエサにしてアルコールを作る。
 その際に炭酸ガスも出るのである。
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