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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第2巻:page66 - |
一号車、伊周さま、諾、あかね、モトちゃん。
二号車、ゆかり、しずか、玉藻(羅螺付属)、飛鳥、瑠璃。 そんなとこだろな、俺は白台でひとりのんびり行こうと思う。 「だめよ、返してきて」 「え?」 「あんたも牛車に乗るんだから、馬はいらないでしょ? 返してきて」 「そんなぁ……」 結局白台を返させられた。 一号車に4人、二号車に5人だろうから、俺が乗るのは一号車だな。 「何やってんのよ、早く乗りなさいよ」 「いや、ゆかり、こっちは5人だから、向こうの方に乗ろうと思ってだな」 「向こうは4人乗りでしょ?こっちは6人乗りなんだから、こっちに乗るに決まってるじゃない。伊周さまはちゃんと人数を考えて牛車を用意されたんだから」 マジですか、伊周さま。いい人なんだけど、余計なことまで気配りされるから困る。 6人乗りに6人乗るとどうなるか。 結構狭い。 いや、変だ。 数えてみると、俺以外に6人いるし。ちっちゃいのが顔を背けている。 「モトちゃんか?」 「えへ、分かっちゃた?」 いや、この狭い中で分からない方が変だろ。 「向こうに乗ったんじゃなかったのか?」 「お兄ちゃんに言ったら、こっちに乗ってもいいって」 何でもお兄ちゃんが言ったことにすればいいと思ってやがるな。 「あんた、何でこっちに乗ってるのよ!」 「……枕部専用牛車」 ゆかりとしずかだ。 「え? あたし枕部だもん」 「……嘘」 「ホントだもん、お兄ちゃんがいいって言ったもん」 「ま、まあ、俺が後で伊周さまに聞いとくから。今は乗せといてやろうな」 万が一、道隆さまとか伊周さまがいいと言っていたならどうしようもない。 一条光をオトして我が家族に迎えるのじゃー、とか…… ないな、道隆さまだもんな。『娘に手を出すなよ(ギロリ)』と、出したら命はないと思えくらいな感じで言われたし。 今回行くのは京の中ではなく、ちょっと出たところの寺だ。そんなに離れていないので、小一時間もすれば着くだろう。 「お兄ちゃん、見て見て!」 「何だ、どうした」 「ほら」 玉藻がやっているのは、3センチくらい太さの棒を羅螺に突っ込んで、引っ張り出すということだった。かなり乱暴に見えるが、妖怪だから大丈夫なのだろう。すると、棒は鉛筆削りで削ったかのような形になった。 「凄いな、それ」 「へへ、でしょ? 太さも変えられるんだよ」 そうか、朝に針桐の皮を剥いたりしてたから、その続きでやってんだな。 「……光も食べる?」 しずかが言っているのはいなり寿司のことだ。 「どうしたんだ、これ?」 「亀屋から持ってきたに決まってるでしょ? 牛車の移動となったらこれよ、これ」 前に牛車の中で食べたからだろうか。 「お前ら、ちゃんと金を払ったんだろうな」 「なぜぢゃ、枕部の移動中なのだから、枕部の経費に決まっておるのぢゃ」 「何か、こうゆうのんも楽しいなぁ」 いや、瑠璃まで。 と、玉藻の目が光った。 「こら、玉藻、ちゃんと噛め、いなり寿司は飲み物じゃないって教えたろ」 「はっへ、おいひいひ」 飲まない代わりに頬袋方式に変えたらしい。しかし、どれだけのいなり寿司を持って来たんだ? 「美味しいね、初めて食べた」 「そっか、モトちゃんは食べたことなかったのか」 「……お茶」 「あ、どうも。ってお茶もか!」 などとやっていると、結構すぐに着くものである。 割と気楽にお寺に来たのだが…… まさか、あんなおぞましいことが起きるとは、この時は誰も知らなかった。 |
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