印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page5 -
 草木も眠る丑三つ刻、深夜2時半頃だが、そう書くと雰囲気が出ない。
 実際、カエルの合唱もその頃には眠りに付く。
 日頃の疲れを温泉で癒やしたからか、俺は爆睡していた。
 それは突然の物音と悲鳴に起こされることになる。
 悲鳴は伊周さまのものだったが、真っ暗で何も見えない。
 足音がして、目の前に何かの気配を感じ、手を延ばしてみると、何か柔らかいものを掴んだ。ぎゅーーと力を入れると、ひっという声が漏れ聞こえた気がした。
 掴んだ手を強引に引き離すと、そいつは走り去って行った。
 足音が遠ざかっていく。
「伊周さま! 伊周さま!」
「光、ここです」
「大丈夫ですか?」
「ええ、多分、明かりを付けてくれますか?」
「はい、ただいま」
 手探りで火を点けるものを探す。
 確か、あの辺に……あった。
 火口ほくち(植物を乾燥させ細くして燃えやすくしたもの)に火打ち石で火花を飛ばし、ポッと火花が落ちたら、軽く吹きながらそれを中心になるようにまとめ、手に持ってぐるぐる回す。火が点いたら、すぐに燭台に着火させないと火傷するので注意が必要だ。
 これができるようになるまでかなり練習したなぁ。
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫です。光は?」
「俺は何ともありません。何者でしょう?」
「声は聞きませんでしたからね」
 と、大勢の足音が聞こえた。
「どうしたの? 大きい声出して」
「何ぢゃ、何事ぢゃ!」
「……待って……女の匂い」
 お前は犬か!
「まさか、光!」
「ち、違うって、いや何だか分からないけど。何者かに伊周さまが襲われたんだ」
「大丈夫なのですか? 伊周さま」
「ええ、諾、何ともありませんよ」
 深夜の緊急対策会議が開催されることになった。
 俺は寝たいのだが、爛々と目を輝かせる女性陣は犯人を捕らえたいらしい。
「それじゃ、この部屋には用心棒をしてなかったのね」
「ああ」
「……さっき見たら、この離れと向こうの廊下の戸には、こちら側に用心棒がされてた」
「となると、犯人はここに泊まっている誰かということぢゃな」
 いわゆるクローズド・サークルである。
 しっかし、お前ら、ノリノリだな。
「伊周さまは犯人が誰かお分かりになりませんでしたか?」
 諾だけだな、伊周さまの存在を気にかけているのは。
「ええ、ただちょっと押しのけるときに触りましたが」
「……どこを?」
「お、おしりです」
「お兄ちゃん、もう一度触れば分かる?」
「多分……」
「じゃ、みんなお兄ちゃんに触って確かめてもらえばいいんじゃない?」
 モトちゃんの提案にどよめきが起こる。ほとんどが抗議のものだったが、部外者の4人には歓喜も混ざっていたと思う。
 これは伊周さまに触られてもどうということのない、モトちゃんだからこそ提案できることだよな。
「何よ! 触られるのがイヤというのは犯人だからじゃないの?」
 そう言われ、うちの連中もしぶしぶ了承した。
 
 ということで、被害者による犯人特定が始まった。
 題して『おいど捜査網』……死して、しかばね、拾う者なし。
 他の泊まり客も巻き込んでの大捜査が繰り広げられることになった。
 伊周さまは犯行現場と同じ状態にするために真っ暗な部屋にいて、そこに女の子がひとりずつ入って、ただおしりを触られてくるというもの。
 本当に分かるのだろうか。
 中からは時折、「ひぃい」だの「あはぁ」だのという声が聞こえる。
 もちろん、声の主は伊周さまだ。
 状況はまったく想像できないが、伊周さまはあんまり楽しそうじゃないかもしれない。
 ほどなく全員が終わった。
「どうでした? 伊周さま」
「さっぱり分かりませんね」
「あ、やっぱり」
 ということで『おいど捜査網』失敗。
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