印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page8 -
 翌朝、というかあれから寝てないので、単に明るくなっただけだが、すぐに出立である。伊周さまは出仕されるからだ。
 まあ、俺たちもはっきり言えば仕事なはずなのだけれど、それはあえて誰も口に出さない。朝廷に仕えるいわば国家公務員なのだが、自由業に近いかもな。
 なので、伊周さまとあかねだけが牛車で帰ることになった。
 4人乗りに2人だから余裕だ。逆に、俺たちの方は6人乗りに8人という過密状態が予想される。
 もちろん、道交法なんてないし、検非違使が文句を言うはずもない。もし見られでもしたら「あ、光さま、いつも大変ですね」くらい言われる、というか前に言われた。揶揄やゆじゃなくて、羨望せんぼうだろうみたいなことを信長は言っていたけど。
「じゃ、どこに行こうか?」
「いや、ゆかり、一応は帰るそぶりくらい見せろ」
淡海あわうみに行きたい。船遊びしたーい」
「モトちゃんは帰らなくていいのか?」
「……あたしは帰りたい、帰って馬に乗る」
「何それ?」
「……この前約束した」
「あたし、昨日乗ったもん」
「それにする! 光、帰るわよ」
「えぇー、淡海に行くのー。ちょっと遊んでそれからでも馬は逃げないから」
「それもそうね」
 いや、納得すんな、ゆかり。
 なお、淡海とは何かというと、淡水の海、湖のことである。
 京から近い方を近淡海ちかつあわうみ、遠い方を遠淡海とおつあわうみといい、これは近江おうみ遠江とおとうみの元となった言葉だ。近淡海(単に淡海ともいう)は琵琶湖びわこ、遠淡海は浜名湖はまなこのことだ。この時代は琵琶湖という名ではなく、かつ現代より大きく水位も高く、周りに数多くの内湖が存在している。もっと言えば、この湖は古代からあるが、もっと名古屋よりにあったという。現在琵琶湖のあるあたりには山脈があり、鈴鹿のあたりは平野だったのだそうだ。まあ、何十万年か前のことだが。亜炭が出るのはその移動によるものだろう。
 牛車は狭いからと、諾は歩くことにしたらしい。
 ならば俺も。
 俺が歩くならと、みんなが歩くと言い出したので却下した。
「あのな、お前ら、どんだけ非常識なんだ? 歩くのは4人までって知らないのか?」
「初耳だけど、そうなの?」
「ああ、『信じる心』が大切だ!」
「……じゃ、阿弥陀籤いつもの
「あ、俺と諾は決定で、他に2人な、途中で交代してもいいから」
 また順番決めてるし。
 もちろん、これは某有名RPGでのことなのだが。
 
 玉藻と瑠璃が最初か。
 じゃ、踊り子と占い師な、お前ら。
 諾は神官かな、お嬢さまを守るって感じだから。
 本当は牛車の前後左右を歩きたかっただが、そうもいかない。
 まあ、いいけど。
 当たり前だが、何の敵も出て来ない。
 つまらんな。
 前に羅螺でも置いて、気分だけでも味わうか?
 でも緑のスライムっていないんだよな、単独のは。
 ま、いいか。
『羅螺スライムが現れた!』
「らーらー!」
 怒られた。
 
 しばらく歩いて、ゆかりとモトちゃんに交代した。
 微妙に、喧嘩の質が変化しているようで、じゃれ合っているようにさえ見える。
 このふたりだと、遊び人か。
 フォーに遊び人っていたっけ?
 というか、もしかすると俺って商人? 金庫を担がないといけないのか、重そうだな。
 いつも思うのだが、女の子ってどうしてこんなに喋ることがあるのだろう。
 話は飛ぶし、よく会話が成立するものだ。
 
 またしばらくして、飛鳥としずかに交代。
 さっきまで賑やかだったのが嘘のようだ。
 彼女たちを並ばせて歩かせ、俺は一歩後ろを歩く。左から、犬・猿・雉をやってる3人である。
「(ぶつぶつ)解禁っ!」
 右手を上に伸ばしてポーズを決めてみた。
「……何?」
「また妙なことをやり始めたのぢゃ」
「大丈夫ですか? 光さま」
「いや、こっちの話」
「……ひとり言を叫ばないで欲しい」
「なあ、お前らって俺のこと名前で呼ぶよな。一回だけ、うじの方で呼んでみてくれ」
「源?」
「……源」
「源さま?」
「ん? どうしたお前たち?」
「いったい何の遊びぢゃ!」
「……にぃにぃより意味不明」
「光さま、お疲れでしょうから、牛車でお休みください」
 そうこうするうちに、淡海あわうみに到着した。
 よし、遊んで来るがいい。
 俺は寝るから。
 牛車に乗って、本当に眠ってしまった。
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