印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page9 -
 どのくらい寝たのだろう。
 目を覚ますと、他にも寝ているのがいる。諾と玉藻だ。羅螺は牛車の中を行ったり来たりしていた。
 がたごと聞こえるから、牛車は動いているようである。外を見ると、他のやつらは歩いていので、顔を出さずに耳を澄ましてみる。
「あんた、ホントに光兄ちゃんが好きなんだ」
「そうよ、悪い?」
「ううん、応援するよ」
「そ、そう? 何だ、悪いやつじゃなさそうね」
「でも、3番目だから」
「何がよ」
「さや姉ちゃんがいるなら、あたしが1番で、さや姉ちゃんが2番。だからあんたは3番目」
「ふっ、光がね、あんたとは夫婦になれないって言ってたわよ」
「な、何で!?
「ガキ! だからじゃないの?」
 言ってねぇ!
 ま、ダメなのは本当だけど。
 反対側も聴いてみるか。
「なあ、光に黙って行ってええのん?」
「心配いらぬのぢゃ」
「……多分、喜ぶ」
「そうぢゃ、そうぢゃ」
「せやろか」
 いったい、どこに行くつもりなんだろう?
「……大丈夫、3日もあれば着くから」
 何ぃ!?
「ちょっと待てぇい!」
「なんや、起きたんか」
「お前ら、今、どこに向かってるんだ!?
「……若狭」
「瑠璃が、新鮮な刺身が食べたいと言うものでな」
「ちょ、あたしのせいにせんといて!」
「俺だって食いたいけど、また今度にしろ。ちゃんと準備してからじゃないとダメだ」
「……仕方ない」
「で、ここはどこだ?」
「もうすぐ京ぢゃな」
「どういう道を通るとこうなる?」
「最初はな、明石へ行くつもりやったんよ」
「ゆかりたちが若狭がいいって言い出したのぢゃ」
「タコが食べたかったんやけどな、若狭の刺身でもええか思たんよ」
「なんというムダなことを」
 まあ、そのおかげでもうすぐ京なのだが。
 つまり、だ。
 京の北の寺に泊まったのに、今は北上して京に向かっているのである。寺から東に淡海あわうみまで行って、淡海沿いに南下して、それからまた北上しているのだ。どれだけ無計画なのかが分かるだろう。
 
 京に着いたのは昼近くだった。
 なので鶴屋に向かう。
 ゆかりたちは若狭を主張して文句を言うが、この後白台に乗せてやると言ったら引き下がった。
 京都と大阪は現代人から見るとそんなに遠くないし、若狭もそれほどでもないだろう。だが、牛車では気が遠くなるほど遠い。まだ船の方が速いかもしれないな。
 鶴屋では冷たいうどんと蕎麦を頼んだ。
 つまり2人前。
 昨日の夕食が質素で、朝食が遅いから腹が減って仕方なかったのだ。
「あたし初めてだ」
「モトちゃん、伊周さまとかに連れてきてもらってないのか?」
「茶店は行ったことあるんだけど、こっちはまだ。向こうって甘いものもあるじゃない? お兄ちゃんはいつまでもあたしが子供だと思ってるから」
「そうか」
 子供だよな。
「で、何頼んだんだ?」
「ほら、あれ」
 モトちゃんが指さした先に書かれていたのは、『名物 けつねうろん』だった。
 ただ、達筆というかデザインチックというか、あるいは意識してのことか、『きつねうどん』にも見える。『け』の筆を置いた勢いでか『き』のようだし、『ろ』の上の部分が点々なので『ど』みたいになっている。
「きつねうどんって言ったら、店の人にけつねうろんですねって言われちゃった。ホントは何て言うの?」
「け、けつねうろん、かな?」
 いらぬ混乱は避けよう。
 全員が食い終わるのを待って、希望者だけを連れて白台のところへ行くことにした。仕事や用があれば帰っていいと言ったのだが、誰ひとり欠けることはなかった。
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