印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page14 -
 実際、衛姥えいばのことはよく分からない。
 知らされてないことも多いし、もしかすると晴明さまだって分かっていないことも多そうだ。
 ただ、衛姥が存在しているという事実だけは否定しようもない。
 あるなら使ったっていいよな。
 ちょうど道隆さまがいらしたのでいい機会だと思った。普段なら道隆さまに俺から直接頼んだりすることはないのだが、この件については伊周さまはほとんどからんでいないからいいだろうと、やりたいことを話してみようと思ったのである。
「あの、摂政さま、お話があるのですが」
「うむ、お前の話はいつでも聴く。言うがよい」
「衛姥をお貸しください」
「何がため、何に使う?」
 突然のこんな話にも表情ひとつ変えないのは流石の胆力というところだろう。
「道を作ります。京を発展させるため、峠を切り崩し北陸道を更に通りやすいものとします。また、食料確保のため道や川を整備し、若狭、逢阪、伊勢という三方から京までを近くします」
「今の北陸道、東海道、山陽道ではだめだというのか?」
「ダメですね。モノを運ぶのに大切なのは時間です。いかに早く荷物を運ぶかが鍵でしょう。人が歩くのと、馬が走るのではまったく違います。ですから馬車を使える道にしたいのです」
「それをなぜしていないかは考えなんだか」
「道を良くすると乱が京へ近づきやすくなる、京を攻めやすくなるということでしょうか? 無意味でしょう、為政者の杞憂とさえ思えます」
「心配は要らぬと申すか」
「はい。まず、その道は衛姥で作ります。それを見て、なお朝廷に刃向かおうという者が多いとは思えません。戦を仕掛けようとした者が、衛姥を見て逆に取りやめる方が多いのではと想像します。もし、通りやすくなったからと乱を仕掛けるとしても、一本道では衆目の知るところとなるでしょうし、それを避けようと道を使わないなら、道があることの不利とはなりません」
「なるほど、道理だ」
「かつての七道は朝廷の威光を示すために作られたとも聞きました。この事業は朝廷の威光を更に増すことと思います」
「よかろう、思うようにやってみよ」
「はは、ありがとうございます。それともうひとつあるのですが」
「何だ?」
 話の流れから、道隆さまは怒っていないはずだとは思うんだが、なぜこんなに怖いんだろう。
「伊周さまにもお願いしてあるのですが、糞尿の始末と、手洗いについてなのですが」
「ああ、聞いたが、それが大事なこととも思えぬが」
「いいえ、最重要でそれも最低限必要というものです。これは疫病を広げないようにする手立てなのですから」
「疫病だと!?
「はい。幾度となく疫病は京を襲っていると思いますし、これからも襲うことでしょう。疫病の多くは、病にかかった人から移るのですが、目に見えないほど小さな病の元がその人から出ているからで、それは糞尿と共に出たり、咳や唾と共に出たりします。手は色々なところに触りますから、手に病の元が付くことも多く、これを石鹸で洗うことで病を遠ざけることができるのです」
「流石は未来人じゃが、それはもののけの類いか」
「もののけではなく、小さな生き物です。摂政さまや伊周さまならご理解いただけるでしょうが、無知蒙昧な者たちにはいらぬ不安や誤解を招くかもしれません。単にそうすることで疫病になりにくいというだけでも、やってみようという者もいるかと思います。摂政さまや伊周さまが実践されたなら、真似ようという者が現れるのは必定でしょう」
「うむ。それで疫病が防げるならやらねばなるまい。お前の言うことでもあり、わしとて疫病にはなりたくないからな」
「なられては困ります。いずれ詳細は伊周さまにお話いたしますので、伊周さまを疫病と戦う大将としてその関連についての全権を与えていただければと存じますが」
「分かった。あい変わらずお前は伊周に手柄を渡そうとするのだな。伊周がそれほど好きか?」
「えっと、人としてという好きというならそうですが、色恋というなら、俺は普通に女の子が好きですけど」
「では原子もとこはどうだ、妻とする気はないか」
「それこそ畏れ多いことです」
「嫌いということはないのだな?(ギロリ)」
「め、滅相もございません」
「よかろう」
 うぅ、ここににモトちゃんがいなくて良かった。
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