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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page23 - |
気を利かせたつもりなのだろうか、みんなと部屋が一緒である。また誤解されたが、いつものことなので、もう慣れた。
そういえば見慣れない着物を着ている3人だが、よく考えたら着替えを持ってくるように言った諾は牛車での移動だから着替えがなかったのだ。石鹸だけは俺が持って来てたから白台に積んであったが。 衛姥から出る際に玉藻から人払いしてもらい、そのまま温泉に直行、一緒に入って来た女の子たちに事情を話して、着物を調達したという。 しばし話をしていると眠くなってきた。 「ま、部屋はここだというのだから、寝ようぜ」 「し、仕方ないわね。あ、あんたと一緒に寝たいんじゃないんだからね」 「……いや、そんなとこ、らめぇ!」 「へたれな光と寝ても何も起きないのぢゃ」 「言いたいことはそれだけか? じゃ、もう寝るから、お休み」 草木も眠る丑三つ時。 突然の悲鳴に起こされた。ゆかりたちの声だ。 絶対に何か仕掛けてくると思い、枕元に火付け道具を置いて寝たので、すぐに火を点け、明かりを灯す。 「な、何だ、これは?」 もう犯人が判ってしまった。もしドラマにしても、1分もあれば十分かもしれない。 羅螺だな。 その光景はファンタジー世界のようだった。服だけを溶かすモンスターっているよな。まさに、それだ。 アニメとかでそういうモンスターが現れると、不自然に大事な部分だけが残り、後は綺麗さっぱり服がなくなるのだが、ご丁寧なことに、胸と足の付け根部分という大事な部分だけはなぜか残されていた。 「玉藻。お前の仕業か?」 「いいえ、多分、羅螺が寝ぼけたのかと思いますが 迷惑なやつだな。 玉藻も同じように服が溶かされているのだから、嘘を言っているとは思えない。俺が無事だったのも偶然なのだろう。 「光、いいかげんにしてよね」 「……ぶ~ら、ぶ~ら」 「われは隠した方がいいと思うのぢゃ」 何? 見ると、俺のは股間の辺りだけ、つまり大事な部分だけがなかった。丸見え。 羅螺を見ると、明かりと物音で目を覚ましたようだ。 「らー? らー!」 その後、説教したのは言うまでもない。壺にでも入れて寝ないと危なくておちおち寝てもいられないと、羅螺を部屋にあった花瓶の中に入れ、もう一度眠りに着いた。土系のものなら溶かさないはずだから。 何事もなく朝を迎えられたのだが、今度は花瓶から取り出すのが一苦労だった。トラブルの多いやつだな。 「昨夜はいかがでしたか?」 ニヤリとした顔がいやらしい国司がやってきた。 「本日は、もしお時間があれば、海の方をご案内したいと存じますが」 「だってさ。どうする?」 「時間があるなら、行ってみたいけど」 「……もちのろん」 「異存はないのぢゃ」 「ご主人さまのよろしいように」 「らーらー」 「えっと、お願いできますか?」 羅螺が喋るのを聞いて、羅螺と同じくらい目を丸くしている国司にそう頼んだ。 「は、はい。かしこまりました」 昨日は人形か何かだと思っていたのかもしれないな。 「牛車で送り迎えいたしますので、馬は置いていかれませ。私どもで面倒は見させていただきますゆえ」 「え、ええ、じゃあお願いします」 当然だけど衛姥も置いていくことになるよな。馬はともかく、衛姥なんて置いていって大丈夫なのだろうか。 「……光、衛姥なら大丈夫」 「何?『……私が守るもの』とか言うんじゃないだろうな」 「……違う、衛姥三原則があるから」 「衛姥三原則ぅ? 分かった、最後まで聞いてやるぞ」 「……一、衛姥は人に危害を加えてはならない.またその危険を見過ごすことで危害を及ぼしてはならない」 あ、もう元ネタが分かっちゃった。 「……一、一度主人と認めた場合、他の人の命令を受けてはならない」 あれ? ちょっと違うか。 「……一、光が嫁と認めない場合は、その限りではない」 「何だそりゃー! 最後まで聞いて損したわ!」 |
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