印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page26 -
 いいことを思いついた。スペインに牛追い祭というのがある。死者も出る凄まじいものだが、それの名前を真似て『牛食い祭』というのはどうだろう。日頃お世話になっている牛が、あの世で転生できるように祈って牛肉を食べまくるというものだ。そうだな、この辺りだと、伊勢の方に降りたところに松坂がある。『松坂牛食い祭』って美味そうだ。断られたら、但馬の方にでも話してみるか。
「なぁ、諾、その牛って食っちゃだめかな?」
『牛って!? 死んだ牛を食べちゃうんですか!?
 生きてる牛を食う方が残酷だと思うのだが、まあいいか。
『あの、いいそうです』
「え?」
『伊周さまが牛を食べてもいいと仰ってます』
 やった! マジすか?
「よし、飛鳥、牛を運べ!」
『牛車はどうするのぢゃ?』
 あ、そうか、忘れてた。
「じゃ、飛鳥は牛車を頼む。ゆかり、牛を運んでくれるか?」
『いやよ、死んだ牛を運ぶなんて』
「しずかは?」
『……論外』
「待った、飛鳥は運べるか?」
『別にどうということもないのぢゃ』
「なら、飛鳥は牛を、他のふたりは牛車を頼む」
『『『了解』』』
 
 初めて衛姥を見た人がどうなるか、幾度となく実際に体験してきた。
 だが、それ以上のパニックがあることを知った。
 衛姥が牛を片手にぶら下げ、他の衛姥が牛車を持っていたら、普通は襲われたと思うよな。次に襲われるのは自分かもしれないと考え、パニックにもなるだろうさ。
 いや、俺たちだってバカじゃない。伊賀国府にそんな状態で行くのは止めた方がいいだろうと、離れたところに行って話をすることにしたのだが、そしたらなぜか結構な人数がパニクっているという状況なのだ。
「玉藻、降ろしてくれ」
 羅螺の痛がる声がして、地面に降ろされ、羅螺は元に戻った。玉藻は元の大きさに戻ったが、まだ本性のままなのは威嚇するためだろう。
「ご主人さま、壮呂さまの匂いがします」
「ゾロの? どっちだ!」
「あちらに」
 やっぱり人間の姿で指さすとすぐに分かるものだ。岩に穴を穿ち、丸太を何本も立てて囲いをして牢に仕立ててある。近づくと中から声が聞こえた。
源氏みなもとうじ面目めんぼくない。妙な盗賊に捕まってしまった。役人風だったので手出ししなかったらこのザマだ」
「いえ、ご無事で何よりです。ちょっと下がってください。羅螺、ちょっと来てくれ」
「らーらー?」
「この丸太を溶かしてくれ」
「らーらー!」
 羅螺は体を丸太にまとわりつかせると、何本もをあっという間に溶かしてしまった。まあ、衛姥もいるし、玉藻もいるので、どんな牢でも簡単に壊せたのだが。
「よくやった、羅螺、ありがとな」
「らーらー」
 羅螺は得意げにしている。
 逃げて、遠くから見守っていた盗賊たちは口々にバケモノだなどと言っている。盗賊なら捕まえた方がいいよな。
「諾、盗賊って捕まえた方がいいか伊周さまに聞いてくれ」
「聞くまでもなく、捕まえなきゃいけませんよ!」
「あ、やっぱり」
「みんな、盗賊たちを捕まえてくれ。なるべく殺さないようにな」
 盗賊たちに聞かれていると思ったからわざとそう言った。そして大声で盗賊に言う。
「お前ら、大人しくするならいいが、逃げると踏みつぶされるぞ! こっちへ出て来い!」
 命ばかりはと、盗賊たちは前に集まってきた。
「頭目は誰です?」
 伊周さまも降りて来られた。ここからは蔵人頭というプロの仕事である。狩衣だが禁色なので身分の高さが誰にでも分かるだろう。
「あ、あっしです」
「お前たちは、ここで何をしていたのですか?」
「あっしらは盗賊なんかじゃございません。こんな山の中ですから、大した作物も取れませんが、その代わりに足腰と腕っ節には自信がございまして、どこぞの受領ずりょうさまや豪族の末裔とかに兵として雇われております。その訓練場にその方が入られたもので、てっきり敵かと捕らえた次第です」
「その受領や豪族では悪事に手を染めたということはありませんか?」
「あっしらには判断できません。言われるまま動くのが兵でございますんで」
「さて、どうしたものでしょう」
 伊周さまはそう言って俺を見られた。
 ここで俺っすか!?
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