印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page27 -
 一歩前に出て言った。
「この方は藤原伊周さまだ、名前くらいは聞いたことがあるだろう。どうだ、この人のために働く気はないか」
「何でもいたします。お指図に従います」
 身分は高そうだと思っていただろうが、それが伊周さまだと聞かされ、頭目は両手をついた。それに倣い、全員が手をつく。
「ゾロ、こいつら助けていいですか?」
「伊周様の手の者となるなら是非もなし」
「伊周さまも俺に一任してくださいますか?」
「ええ、任せましょう」
「では、申し渡す。これからは伊周さまを筆頭とする枕部のために働くこと! お前らの親方はこのゾロとする。なお、子々孫々、朝廷ならびに尾張に楯突くことを禁じよ。さすれば末代まで伊賀は安泰である!」
「な、なぜ尾張でございますか」
 頭目は恐る恐る聞いてきた。
 信長に目配せする。ここからは丸投げでいいだろう。というか、伊周さまから丸投げされたのだが。
「源氏も意外に悪よのう」
 って信長、悪代官?
「尾張は今後、朝廷の重要拠点となる。尾張に楯突かば伊賀は根切りにするのみ! よいな!」
 有無を言わさぬ信長の宣言だった。ちなみに、根切りとは根絶やしのことで、粛正と言った人もいたっけ。
「「ははぁ」」
「されば、各国に散らばる仲間を呼び戻せ。理由は言うてはならん」
「分かりました」
 伊賀のやつらは一斉に散って行き、頭目だけが残った。流石は忍者のご祖先だ。
「ゾロ、捕まって頭にも来ていたでしょうし、何より伊賀です。これで良かったですか?」
「うむ。尾張に楯突くなは面白かったぞ、はっはっはっ」
「何か、ついでに甲賀も引き入れたいくらいですね」
「ん? そうか言うてなかったか。甲賀は既に儂の手の内となっておる。源氏にならって、尾張に楯突くなと言うておくか、はっはっはっ」
 まあ、信長が怒ってないならいいのだけれど、伊賀と甲賀両方って流石だな。忍者というのはかなり時代が下ってからの言い方で、歴史的には鎌倉時代以降に伊賀が、室町時代以降に甲賀が現れるようだが、この時代にもそのハシリがいたということだろう。
「では、参りましょうか」
 あ、そうか国府に行くために来たんだっけ。用事は終わっちゃったけど。
 
「なあ、頭目、牛っていない?」
「もちろんおりますが、どうされますので?」
「牛車を牽かせたいんだが、できるか?」
「お任せあれ」
 牛を連れてきて、死んだ牛から取り外したのを付けて、牛車に繋げた。
「じゃあこの牛を貸してくれ、帰りに返すから」
「はい」
「伊周さま、牛車へ、夕月さんも。先に行っててください。すぐに追いつきますから。ゾロ、ちょっと猴と狗を借りていいですか?」
「ああ、構わぬ」
「じゃ、猴と狗は牛車を牽いて、伊周さまを国府までお連れしてくれ」
「「分かりました」」
 すぐに牛車は動き出した。
「さて、ゾロって牛を食べる人ですか?」
「食ったことはあるが」
「頭目は?」
「あっしですか、もちろん、食いますが」
 肉食は禁じられているとはいえ、そんなことを守っているのはほぼ貴族だけで、庶民は食べているのである。
 それよりも、だ。
「いや、つまらないな、その喋り方」
 ほとんど言いがかりの域なのだが、命を助けた張本人に言われているのだから口答えもできない。
「あっしじゃなくて、拙者せっしゃと言って欲しいし、言葉の最後はござるを付けてくれ。たまにニンニンとか入れると満点だ」
「意味が分からないのですが」
『また初めおったのぢゃ』
『光、先行ってていい?』
『……面白そうだから最後まで聞く』
「しょうがないなぁ、諾、ちょっとやってみてくれ」
「突然何ですか? 私にも意味が分からないのですが」
「んー、じゃあ、頭目は練習しておくこと。で、頭目たちの中で牛が解体できるやつっているか?」
 やっとまともな話になったと、頭目は安心したようだ。
「せ、せっちゃ、拙者ができますでござる」
「いや、そこは『できるでござる』、だ」
 頭目にまた不安の色が浮かぶ。
「できるでござる」
 でも言われた通りやるし。
「じゃあ、この牛の首と足を落として、内蔵は出して綺麗な水でよく洗っておいてくれ。帰りに持ってくから」
「わかりましたでござる」
「うん、頼んだ」
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