印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page32 -
 いつぞやの遠乗り以来の、信長とのツーリングである。ゆっくり話ながら歩いていた。猴と狗も一緒だが、それは気にならない。
 道行く人は口々に、今見た光景を話していた。まあ、当然のことだろう。
 突然だが、日本語には音便というのがある。言いやすい形に変化するということで、その中の撥音便というのは、音が『ん』に変わるものだ。なお、現代語だと『~の』は、古語では『~な』になる。水無月、神無月というのは、水の月、神の月という意味なのだ。
 衛姥の蹴る音が街道沿いの話題になっている。凄い音と揺れが続いたのだから、当然のこと、話題の中心と言っても過言ではなかった。
 衛姥についてはビラを配ったりして、道沿いではかなりの知名度になっていた。なので人々は『衛姥な蹴り音』と言われ、撥音便があって、衛姥えいばおんと言われるようになっていく。群発地震でも『衛姥ん蹴り音だ』とか、子供が寝ないと『衛姥ん蹴り音が来るぞ』などと脅すのだった。
 
「なるほど、伊勢・尾張は分かるし、摂津や若狭も分かるのだが、北陸道をそこまでというのはどういう意図だ? 源氏みなもとうじ
「佐渡までの行き来を楽にしようと思ってます」
「それだけか?」
「それだけですが?」
「まあ、お主のことだ、大方おおかた、越前・越中の食い物も欲しいということくらいか」
「越中のホタルイカとか白エビは好きですけど。まさか、上杉謙信の上洛がしやすいからとか疑ってますか?」
「いや、まあ、な」
「道の一本くらい関係ないと言ってたじゃないですか。謙信は数度上洛していますし、顕如けんにょの件なら、信長が本願寺と敵対したからだと思いますけど」
「ああ、認めたくないものだな、自分自身の若さ故の過ちと言うものを」
「何言ってるんですか、40過ぎてましたよ」
「であるか」
 顕如は一向一揆の指導者で、それが越前にいたため謙信は上洛しにくかったのだが、信長が本願寺とやらかしていたものだから、結果的に顕如と謙信は和睦したのである。上杉謙信は警察みたいな人で、助けを求められると行って戦をする。実際、関東執事(関東管領のこと)で、天下人になろうという野望はなかったようにさえ感じるのだ。
「手取川の合戦では、秀吉はなぜ帰ったんですか?」
「勝家と喧嘩したらしいが、儂も詳しくは知らん。それを聞こうとすると勝家はならば切腹をなどと申すのでな」
 手取川というのは加賀を流れる川で、その土砂が海流で流され、荒いものは近くに、細かなものほど遠く能登の方まで行く。そのため、能登付近では砂とはいえ道路として使えるほど締まっているという。『過保護(河北潟かほくがた)は手取り(手取川)が土砂っと入って咳き込(潟湖せきこ)んで帰りゅ(海流)』と覚えよう。
 その川で、柴田勝家を総大将とした織田軍3万は上杉謙信と合戦となるのだが、秀吉はその前に怒って帰ってしまった。ちなみに合戦は謙信の圧勝だった。
「もしかして、謙信との同盟って秀吉が絡んでます?」
「いや、あれは向こうから使者が来たものだ」
「それを秀吉が画策したということは?」
「そこまでは知らぬが」
 謙信と信長の同盟は妙なのだ。濃越同盟というもので、上杉の使者が来て信長はその場で血判状を作り息子を人質に越後に送るのだが、越後からの人質は受けていない。謙信から見て、(信長には言えないが)弱小であり、上洛に無関係な地にいる織田と同盟を結ぶ意味がないと思う。だから織田側からの要請の可能性を考えたのだ。
「逆に、秀吉が顕如と和睦を進めようとしていたとか」
「ないと思うが?」
「信玄が死んで、浅井朝倉が滅ぼされて、結果信長の条件で和睦してるんですから、何かあったかもしれないですよね。顕如の院号とか幼名って知ってますか?」
「何というのだ?」
「信樂院です。信長の信に、樂ですから、信長のための院号のようでしょ? しかも幼名は茶々なんです」
「お主が言うと、笑えてくるな。茶々で信樂院か」
「だから、秀吉に何か戦いたくない理由があったんじゃないかと。勝家を止めて喧嘩になったのかもしれないですから」
「元の時代に戻ったら、よーく話を聞いてやるとしよう」
 低い声で信長はそう言った。
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