印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page39 -
 意外かもしれないが、諾と行き帰りが一緒になることはまずない。何でだろう?
 ひとり、いつものように家路に着く。
 門を出てしばらく歩いた時だった。バラバラと足音が聞こえたかと思うと、黒装束の一団に取り囲まれた。
『何奴だ、枕辺佐一条光と知っての狼藉か!』などとは恥ずかしくて言えない。
「あの、枕辺佐の光さまでございましょうか?」
 えらく丁寧に聞かれた。言わなくて善かったと、心から思う。
「そうだけど、お前たちは?」
「親方さまから言われて参りました。甲賀の者にございます」
「あんた、頭目?」
「はい。私は頭と呼ばれておるものでございます」
 何だ、甲賀か。
「ダメだな。それじゃ」
「駄目と申されますと?」
「自分のことは私じゃなくて、拙者。言葉の最後にはござるを付けて、たまにニンニンとか言うといい」
「そう、なのでござるか?」
「よし、いいぞ!」
 黒装束の一団がざわめく。大丈夫かこの人という声が聞こえた。
「いや、これな、伊賀にも言ったから、甲賀に言わないと悪いかと思って」
「何と、伊賀にでござるか」
「上手いな、伊賀の頭目より上手い」
 おぉというどよめきが起きる。大丈夫かこいつら。
「ゾロということは、炭鉱探しを引き受けてくれるということだな」
「左様でござる。何でも拙者らの足がお役にたつとのこと、どうぞお役目をお命じくだされ、ニンニン」
 んー、ニンニンはいらないか。巫山戯ふざけてるように聞こえるから。
「悪い、ニンニンは付けなくていいや。拙者とござるは満点だから、それだけで頼む」
「分かりました」
 そうだよな、『分かりましたでござる』は冗長で、ましたと言っておいてござるは普通付けないよな。
「ここでは何だから、枕部に来てくれ。ついてくれば通れるから」
 枕部に取って返した。
 門をくぐるのに誰何すいかされたことはないが、初めて声を掛けられた。誰何じゃないけど。
「あれ? 光さま、帰られたんじゃなかったんですか?」
「ああ、残業」
 そう言って黒装束の一団と共に門をくぐる。後ろでは門番が、「ざんぎょう?」と言いながら首をかしげていた。
 机の前に座ると、紙と筆を用意し、さっと地図を描いた。
「ここが京で、ここは海な。で、ここが丹後の国でそこに由良川というのがあって、ここを20里ほど上流に行くと、こんな風に川が曲がってて、志高というとこがあって、ここらに山がこうなってるから、この辺を、黒い石がないか探してもらいたい。ただし、地名は違うかもしれない」
「あの、そこまでご存知なら、探すまでもないのではござらぬか?」
「いや、多分この辺りというだけだから、探してもらわないと。で、ちょっと離れてからでないと危ないかもしれないんだが、川の方まで行って、その石が燃えるか確かめて欲しいんだ」
「石が燃えるのでござるか?」
「知らないか? 黒くてちょっと重い石なんだけど、炭みたいに燃えるんだ」
「分かりました、ただちに向かうでござる」
「ああ、頼むな。ムリはしなくていいから」
「ははっ」
 甲賀衆を送り出し、家路に着いた。
 それにしても甲賀は凄い。
 いや、甲賀というより、甲賀の頭の個人的資質かもしれないが、ござるの使い方が完璧だ。
 服部半蔵ってどっちだっけ? ハットリ君は伊賀で、ケムマキが甲賀だから、多分、服部半蔵も伊賀だよな。
 実は、善い忍者、悪い忍者というのは原則いない。主君の命で動くからだ。歴史的に、勝った方が善、負けた方が悪になる。勝てば官軍なのだ。壬生浪士組(新撰組)だって、善だったり悪だったりと描かれる。それと同じなのだ。
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