印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第3巻:page41 -
 いつもいつも、そう都合良く市をやっていると思ってはいけない。
 やってたけど。
 いつ行っても市をやっているという人もいれば、どこかに行く度に定休日だの潰れたという人もいる。
 それはさておき、欲しいのはなにがしかの肉。
 今日はかもの胸肉にした。
 何らかのアブラナの類いも買う。茎が太い系のものだった。葱も買ったが、できるだけ白い部分のあるものを選んだ。
 それから、亀屋に行き、油揚げをゲット。
 用が済んだので枕部へ行く。
 欲しいものはまだあるが、それはもうちょっとしてから行った方がいいだろう。
「諾ぃ、前に料理できるかって聞いたっけ?」
「どうでしたかね。私も分かりません」
「で、料理ってできる?」
「いえ、できません。一応、男として生活してますから」
「そうか。俺も年中無休で男をしてるんだが、料理してるぞ?」
「あ、すみません、そういう意味じゃなくてですね、えっと」
「いいって、普通の男が料理しないことくらい分かってやってるから。なあ、料理する男って変か?」
「いえ、素敵だと思います」
「じゃあさ、春のあけぼのと、夏の夜と、秋の夕暮れと、冬の早朝つとめてと、料理する俺だったら、どれが一番だ?」
「い、意味が理解できないのですが」
「いいから、どれが素敵だと思う?」
「じゃあ、秋の夕暮れで」
 俺って夕暮れに負けるんじゃないか!
 まあいいけど。
「よし、準備するぞ」
 火を点けて、とりあえず湯を沸かす。
 菜は洗って、みじん切りにして塩をしてよく混ぜておく。
 鴨の胸肉にも塩をしておいた。
 さて、精米である。
 また一升程度を2度精米器に通し、ぬかを取り分ける。
 そうこうする内に、みんなが集まって来た。
「何? 今日も食べられるの!」
「ゆかり、朝の挨拶はそうじゃないんじゃないか?」
「おはよう。今日も食べられるの?」
「今日はな、伊周さまが所望されたんで、ここで食うことになったんだ。みんなにはそれまでにひと仕事してもらうからな」
「「「はい!」」」
 煩雑はんざつになるので端折はしょったが、全員だった。食えるとなると、頑張る習性でもあるようだ。
「じゃあ、衛姥3体で出て、昨日切って置いた木を持って来てくれ。そうだな、京の外に置いた方がいいか。俺は料理があるから行けないので、衛姥だけでの作業になるから、気をつけてな。人を踏むなよ。諾と玉藻は発進を手伝って、その後は京の外の置く場所で待機。瑠璃は調べ物とかしててくれ。夕月とモトちゃんはおれと料理な」
「「はい!」」
 全員の声が揃う。
「らーらー?」
「あ、そっか。羅螺は玉藻の手伝い。以上」
「らーらー!」
 
「必要なものを取りに行くけど、お前らも来るか?」
 モトちゃんと夕月に一応聞いた。
「手伝いだもん、行くに決まってるでしょ?」
「私も参ります」
「じゃ、ついてきてくれ」
 向かった先は常さんのところだった。
「常さーん、いますかー!」
「おー、光さまー、こっちです!」
 どうやらもろみをかき混ぜているようで、上の方から声が聞こえた。
「すみませんが、酒粕さけかすが欲しいんですけどー」
 何で遠くに話す時って、延ばすんだろ?
「分かりましたー、今行きまーす」
 はしごを使って、常さんが降りてきた。
「あれ? この人たちは前はいませんでしたな」
「ええ、あれから入った子たちです」
「流石ですな、光さまは」
 常さんは近づくと、耳元でとんでもないことを言った。
「胸くらい揉んだんですかな?」
「いや、それは、内緒ということで」
「揉んだんですか!?
 目を見開いて驚くくらいなら聞かないで欲しい。
 お寺の騒動のときに、取り調べとしてだけど、揉んだというか触ったのは事実だな。
「こちらへどうぞ」
 酒粕のところへ行った。
「これっていつ絞ったものですか」
「昨日です」
「じゃあ、この酒粕をちょっともらっていいですか?」
「ええ、もちろんです。すぐに用意しますので」
 酒粕をゲットした。
 日本酒のみに付く『火落ひおち菌』という乳酸菌の一種がいる。コウジカビの作るメバロン酸というのが好きというやつで、これが繁殖すると匂いは悪くなり、濁って酸っぱくなり飲めなくなる。現代のように冷蔵庫に保存できるなら生でもいいが、常温保存するには低温殺菌してやる。絞ってから火入れするので、酒粕は生なのだ。火入れすると落ちるから火落ち菌と呼ばれるのではないだろうか。
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