印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page1 -
 伊周さまに誘われ、俺らは源重光さんの家の前にいたりする。
 もうじき伊周さまの奥さんになる人の実家と言った方が分かりやすいだろう。
 ご迷惑ではないですかと聞くと、大丈夫ですからと言われるが……
「いいか、お前ら、絶対に騒ぐなよ! 失礼があったら怒るからな」
 俺はひそひそ声で、後ろにいる連中に怒鳴った。本当は羅螺と玉藻、最低でも羅螺だけは置いて来たかったのだが、身の危険を感じて同行を許した。「らーらー!」「ご主人さまを溶かして自分も溶ける、だそうです」ってサラっと言われたから。
 それに、これは断じて俺のせいじゃないと主張したい。
 枕部に出向かれて、全員がいる前で「妻を紹介しますから一緒に来てください」などと言い、あろうことか「よかったらみんなも」と言ったのは誰あろう伊周さまなのだから。うちでこっそり誘えばいいのと思うのだが、もしかしたら見せびらかしたいとかなのかもしれない。
 さやが少し躊躇したくらいで、後の連中はさも当然のように同行すると言ってのけた。俺が行くならというのもあるかもしれないが、伊周さまの妻となる人が見たい、料理も食べたいというのも大きそうだ。女の子はそういうの好きだよな。
 とはいえ、やっぱり迷惑だろうなぁという思いは拭いきれないのだが。
 
 屋敷に入ると歓迎され、こちらですという広間には既にお膳が並べられていて、言われるがままに座った。
 上座は、モトちゃん、俺、重光さん、伊周さま、伊周さまの奥さんになる人の順。
 何で俺が上座?
「なあ、モトちゃん、場所代わってくれないか?」
「ここに座るように言われたんだから、ダメに決まってるでしょ? そういうとこひかるにぃ、じゃなかった、光は分かってないんだから」
 あれ? わざわざ呼び捨てにした?
 重光さんは苦手じゃない。どちらかと言えば好印象なのだが、向こうがどう思っているかは分からない。やっぱり、荷物運びを手伝わせるってないよな。貴族の偉いさんを使うなよ、俺。
 準備ができたので重光さんが挨拶した。
「枕部のみなさん、娘をよろしくお願いしますよ、では存分にお召し上がりください」
 見ると、お膳の上は貴族の一般的なもてなし料理だが、ひとつだけ異彩を放つものがあった。
 マヨネーズ、だよな、これ。
 しげしげと見ていると、重光さんが話し出した。
「うむ、これかな? これは娘が原子もとこちゃんから習ったもので、何にでも合う『まよねぃず』というものじゃ」
「は、はい」
 微妙にイントネーションが違うのはいいとして、これはモトちゃんからか。泡立て器なんて普通はないもんな。飛鳥が人数分作ったので、個人用として自由に使っていいことになっている。
「ははは、光殿は儂が苦手かな? 荷物運びまでさせおったのに」
「いえ、中納言さま、決してそのようなことは。というか、あの時はすみませんでした。次に行くところがあってちょっと急いでいたもので、近くにいた人に誰彼かまわず声を掛けてしまいまして」
「よいよい。あれは人形劇を楽しんだ礼だ。それ以来、儂は枕部の一員くらいの気持ちでおるぞ。まあだからこそ、こうしてみんなを呼んだのだが。儂は光殿も気に入っておる。嫌いな者を家に呼ぶはずもなかろうて」
 ぐるりと見回して、言葉を続けた。
「知った顔も多いし、婿殿が別当をしているし、儂も本当に枕部に入りたいくらいじゃ。わっはっは」
「ありがとうございます。あの、できましたら、誰がどういうお知り合いか教えていただけますか?」
 人間関係を知らないと、とんでもないことを言ったりしかねないから。
「そうじゃな、さやの夫は部下じゃったから知っておるし……」
「部下ですか?」
「うむ、儂は左衛門督が長くてな、まあ兼任の検非違使別当も長いのじゃが、さやの夫は左衛門尉をしておったからな」
「橘則光がですか?」
「何じゃ知り合いか」
「いえ、まったく」
 名前を出したからだろうか、さやはじっとこちらを見ている。橘則光は清少納言の最初の夫だという事くらいしか知らない。
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