印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page2 -
 さやに以前夫がいたとは聞いてたけど、詳しくはいいたくなさそうだったから俺も聞かなかったし。
 さやの視線に気づいた重光さんは声をかけた。
「さやや、子供はいくつになった?」
「九つにございます」
 こ、こ、子供ぉ?
 こ、こ、ここのつぅ!?
 さやって満で8歳になる子がいたのか! モトちゃんと大して変わらないじゃないか。
 そう考えると、さや姉ちゃんって呼んでるけど、さやおばちゃんでもいいくらいなんだ。
「あたしと同じくらいの子がいたんだ、びっくりだね、光」
 ああ、そして呼び捨てにされていることもな。
 左衛門尉と聞くと、必然的に遠山の金さんこと、遠山景元かげもとを思い出す。
 がっかりするかもしれないが、この人、北町奉行は3年しかやっていなくて、南町奉行は7年やっている。
 南町奉行といえば大岡忠相ただすけだが、この人は19年も南町奉行だったから、イメージ通りだな。
 ただ、大岡越前と言っているのは越前守だからで、越前の大名かというとそうではない。
 大岡忠相も遠山景元も旗本はたもとである。
 越前守は幕府の大名のことではなく、朝廷の、当時は既に形骸化した武士の職名としてだけのものだった。越前には本物の大名がいるし、町奉行なのだから任地に赴くこともない。
 国司である受領ずりょうは任地に赴くことから、力をつけ大名に近い存在になっていく。これはやがて室町の守護大名に繋がるのだが、任地に赴く大名もいれば、別の人に任せて自分は行かないという大名も出てくる。そのため守護代という代理を置くようになった。上杉、朝倉、織田などはこの守護代なのだ。信長は勝手に尾張守とか言ってた時代もあったが。
 また、大岡忠相と遠山景元が同じ町奉行で、しかも同じ南町だったのだから会っていたらどうだっただろうと思いを馳せるが、それはありえない。
 忠相が南町奉行を退いて、景元が就くまでに、109年も経過しているからだ。
 ちなみに、橘則光はいつかは分からないが越前守もやったらしい。
 何か嫌だな。
「──光、何ぼーっとしてんのよ」
 現実逃避終了。
「さや姉ちゃんに大きな子供がいて驚いた?」
 23歳の人に8歳の子がいたら大抵は驚くんじゃないか? まあ、平安時代じゃ普通なんだろうが。
「いや……普通だ」
 そう考えると、ゆかりとかが産むのも普通なんだよな。
 それはともかく。
「なあ、モトちゃんって何で光兄ちゃんって言わなくなったんだ?」
「お母さまがね、夫となる人に兄ちゃんなんて言っちゃダメって」
 ゆかりの母親もそう言ってたっけ。もう慣れっこだ。
「モトちゃんのお母さんってどんな人?」
「え? 会ったことなかったっけ?」
「ない、と思うが、万が一会ってたらごめんな。知らずに変なことしてるかもしれないから先に謝っておく」
 そのやり取りを聞いていた重光さんが笑っていた。
「わっはっはっ、大丈夫じゃよ、儂だって嫌なら断れたのじゃから」
「はあ」
「気に入られてるよ、今度連れ来いって言われてるし」
 連れて来いというのは、来いというのと同じだな。
「いつ誘えとかって言われた?」
「ん? 今夜からでもいいし」
「今夜というのは急過ぎるだろ。もう夕飯も食ってるのに。で、その『から』って何?」
「最低三夜は続けて泊まってくっていうから、今夜から三夜の、から」
「だ、誰がそんなこと言ったのかなぁ?」
「お母さまでしょ、お父さまでしょ、伊周お兄さまでしょ、定子お姉さまでしょ、さや姉ちゃんでしょ……」
「みんなじゃないか!? じょ、冗談はよしこちゃん」
 モトちゃんは指折り数えているが、最初の何本かでもう俺の運命が決まっている。
 平安時代の結婚は3夜連続で通うと成立する、2夜で止めれば成立しないと書いてきたが、どうやらそれも場合によるらしい。
 2夜で止めたらどうなるか、想像するだに恐ろしい。1夜限りでも結果は同じだろう。
『おのれ、光め、娘を傷ものにしおって!』『光、覚悟はできてますね!』そう言って目から異様な光を放つ道隆さま伊周さまの映像が目に浮かぶ。俺が予言者でないことを祈りたい。
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