印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page3 -
 それは何とか避けるとしても、現時点でどうしても気になることがひとつある。
 伊周さまの奥さんになる人ってのが俺からは見えないし、紹介もされない。
 他意も下心もなく、やっぱり見たいじゃないか。
 ここはサクっと男らしく紹介してもらえばいいだろう。
「あの、伊周さま、そちらの方をご紹介いただきたいのですが」
「駄目です」
 まったく予想外の言葉だった。さっき妻を紹介しますからって誘われたはずなんだけど。
「な、何でですか」
「気が変わりました。今の光には紹介したくありません」
 冷たい声だった。食い物の恨み以外でこの声を聞くのは初めてだ。
「どうすればよろしいのですか」
「そうですね、この後、私に付き合ってもらいましょうか。そうしたら紹介してもいいですよ」
「分かりました! どこにでもお供いたします。鬼退治でもしますから」
「いいでしょう」
 最後のだけ、満面の笑みで、声もいつもの伊周さまだった。
 いったい、どこへ行かれるのだろう?
 
 酒を飲むわけでもなく、食事会という感じだったのでそれほど長くは続かなかった。
 無礼なんじゃないですからという意図を籠めて、念入りに礼を言って屋敷を出た。
「さて、これから私は光とあるところに向かいます。もし邪魔をするなら、それなりの覚悟をしてくださいね」
 恐!
 みんなもそう感じたのだろう、首肯の回数が異常に多かった。
 伊周さまに連れられて行ったのは、伊周さまの実家、つまり道隆さまの屋敷だった。
「さ、光、他人の家ではないのですから、遠慮しないで入ってください」
「は、はい」
 どういう意味だ? さっきのモトちゃんの話が冗談でないなら、もう逃げ道はこの世には存在しないということになるのだが。
 二の足を踏んでいると、ただいまぁとモトちゃんが帰ってきた。俺がいることにびっくりしていたから、この件には無関係なのだろう。まあ、知らされていなかっただけで、当事者なのかもしれないが。
 なるようになれ、どうせ逃げ道はないんだし、そんな気持ちになった。
 まあ、気分はひのきの棒を装備したレベル1の勇者見習いが、いきなりラストダンジョンに入ったようなものだったが。
 ラスボス、じゃない、お母さんってどんな人だろうと考えた。
 何となく、こうなんじゃないかというイメージはある。特に声に関してだが。ゆかりのお母さんはイメージ通りだったから、多分、今回も当たる気がする。モトちゃんがああいう声で、道隆さまがああだから。
 通された部屋は伊周さまとふたりだけで、モトちゃんは来なかった。
 と、もの凄く豪華な十二単の女性が現れると、目の前に座った。
「初めてやね、うちには何度も来てはったのに、あの人が会ったらだめやて言わはって」
「あ、は、はじめまして、伊周さまにはお世話になっております、光と申します」
「こちらこそ、よろしぅ。いっつも原子を可愛がってもろて、あの子ぉはわがままやから、何ぞしてやしまへんか?」
「いえ、まったくそのようなことは」
「せやったらええんどすけど」
 喋りは定子さまより詮子さまに近いか。で、声が予想とまったく違った。アイスキャンディーみたいな題名のアニメで、私気になりますとか言ってた人の声だ。まったりおっとりな口調だから、感じは違うけど。
「母さま、光の部屋は用意できていますか?」
「とっくに。あの人、わざわざ修理職すりしき呼んでなんやらやってましたわ」
「そうですか、では顔合わせはこれまで、参りましょう、光」
「あ、はい」
「またね」
「あ、失礼します」
 部屋を出ると、最大の疑問を問わざるを得ないだろう。
「伊周さま、俺の部屋って何です?」
「光は今日から、ここに住むのですよ」
「そ、そんな急に!」
「残念でした。こんなことはしたくなかったのですが」
「な、何でしょう?」
「私に嫁が来ますから」
「おめでとうございます」
「だから一緒には住めないでしょ?」
「伊周さまの屋敷に住まわれるんですか、ならそれも仕方ないですね」
「ええ、光がいたらおちおち家も空けられませんから」
「俺は何もしませんよ」
「光は関係ありません。あの人が光に興味を持ったらしくて」
 それだけで追い出されたのか。伊周さまは案外嫉妬深いのかもしれない。
「さあ、この部屋ですよ」
 えぇえ!
 かなりびっくりした。
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