印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page4 -
 俺の部屋だ。
 バラエティーとかで芸人の部屋をそのまま別のところに移動するってのがあるが、それだった。
 まんま、完全再現。
 修理職呼んでたって、このためか?
 俺のベッド、着物、俺のじゃないけど硯やら紙やら、あかねやら。
 待て、もしかして俺の部屋にたまたまいたあかねまで連れてきたとかか? 精巧な人形ってことはないよな。
「あかね?」
「はい」
 やっぱりあかねだ。びっくりして伊周さまを見ると、微笑んでるし。
「あかねはこちらで光の面倒をみることになりました。うちの方は妻が連れて来たいという者がいたもので」
「そうですか。まさか、あかねはこの部屋で一緒に住むってことはないですよね」
「まさか、ありえません。光がそうしたいと言っても、それだけは駄目です」
「ですよねぇ」
「そうです。では私は行きますね」
「はい」
 あかねとふたりになった。
「びっくりしたよ、あかねは聞いてたか?」
「はい。光さまの部屋で何かやっていたので見に行ったときに」
「でも、まさか自分が来るとは思わなかっただろ?」
「いいえ、伊周さまに『光と一緒にいたいですか』とは聞かれました」
「で、一緒にいたいと?」
「光さま、私は悪い女です」
「どうした、突然」
「光さまと一緒にいたかったので嘘をついてしまいました」
「そ、そう?」
「伊周さまに『そんなのありえません、あんな節操のない女たらし、光に女が寄って来るのは食べ物で釣られてるだけですから』などと」
「まあ、本気でそう思って言ったんじゃないんだから、いいんじゃないか?」
「はい。半分くらいしか本気じゃありませんから」
 どの部分の半分なのか、かなり気になるが、聞いたら泣くかもしれないな。俺が。
 突然あかねが抱きついてきた。気持ちは嬉しいが、引っ越していきなり、まだ明るいうちからというのはどうだろう。
「あかね、今はまずいって」
「な、何を言ってるんですか、あれです」
 あかねが指さしたところにいたのはヤモリだった。
「ヤモリがどうかしたか?」
「私、あれイヤなんです」
 まあヤモリとかが得意な女の子もどうかと思うけど。ヤモリって家守とも書くから、追い出したりしない方がいいんじゃないかな。なんとなくだけど。
 イモリとヤモリは混同されていて、本草学では『蝘蜓エンテン・エンテイ』の項があり、──蜥蜴、蠑螈エイゲン、竜子、守宮。止加介トカゲなり。蘇敬(人名)注にいう。常に屋壁に在り、故に守宮なり──となっている。
 この中の蠑螈エイゲンというのはイモリのことだからここでも混同していて、ちゃんと区別された文献が出るのは江戸時代以降になる。
 守宮より宮守の方がヤモリと読みやすいが、これは漢からの言葉なので仕方ない。宮は後宮のことなのだが、もしかしたら子宮かもしれない。漢の時代、ヤモリを焼いて粉にして体に塗ると色が取れなくなり、浮気をすると消えると信じていたためで、それが日本に伝わり、ゐもりのしるしとなったらしい。ここでも混同している。
 英語ではイモリはニュートnewt、ヤモリはゲコウgeckoだから、やっぱり逆かな。
 イモリは両生類、ヤモリは爬虫類なのだが、ゲコウって何となくカエル(両生類)っぽい音だし、家守は自宅警備員って感じでニートだからだけど。
「ゐもりを焼いて体に塗るのでしょ? 私イヤですから!」
「塗らないって!」
 ドンッ!
「ちょっと! うるさいわよ!」
 壁の向こうから聞こえたのはモトちゃんの声だった。
「隣はモトちゃんの部屋、なのか?」
「そうよ、光をもっと知るために隣にしてもらったの。壁板に穴だって開けたんだから。こっちからは覗くけど、そっちからは見ちゃダメなんだからね」
 何だそりゃ、覗く宣言かよ。
「もし俺が覗いてたらどうすんだよ」
「もちろん殺す!」
 この家で生きて行けるんだろうか。
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