印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page10 -
 検非違使庁に行くと、別当は左衛門府だというので、そっちに向かった。
 いた、源左衛門督重光さんだ。
 俺を見つけた重光は声をかけてきた。
「どうした、光殿」
「重光さま、実は急なんですが、牛を食おうと思いまして、今日申二つ刻から枕部で牛食い祭をいたしますので、いらしてくださればと伺いました」
「そうか、そうか、うむ、是非行くとしよう」
「あの、他にも来られたらご一緒にどうぞ。それで、ですね、里の者とかうちの配下の伊賀・甲賀などからも人が来るものですから、検非違使別当さまとしてご承知いただきたいのですが」
「なるほど、まあ他ならぬ光殿のことだ、問題もなかろう」
「ありがとうございます。では、お待ちしておりますので」
 左衛門府を出ると、舎人とねりに呼び止められた。
「光さま、主上がお呼びです。火急のご用で、すぐに参られよとのことです」
「分かった、すぐ行く、どこだ?」
「清涼殿です」
 清涼殿ということは私的な内容だろう。
 何もしていない、よな。ちょっと衛姥えいばを勝手に使って、山を崩したり勝手に伐採したり、湖は増やしちゃったけど。まさか牛食い祭じゃないだろうな、ちょっとした思いつきで、牛を宮城内でおおっぴらに食おうというだけだし。
 もしかしたら、あれか、他に女の子を使っているところなんてないのに、十人くらい入れてるとか。モトちゃんとかもいるし、さやだって入れちゃったしな。やっかんで何やら言う輩がいても不思議じゃないか。
 いや、勝手に税として入って来ているのを使ってることかもしれない。売ってないんだから仕方ないじゃないか。新鮮なうちに使うべきだろう。『配給の 百倍使う 枕部まくらぶの 飯の美味うまいは 当然のこと』なんてしずかが書いてたしなぁ。揶揄じゃなくて、もっと美味いものを食わせろって意味らしいけど。
 などと考えているうちに清涼殿に着いた。
 よし、ポーカーフェースを押し通そう。
「光です、お呼びとのことでしたので参上いたしました」
「入れ」
 道隆さまの声だよな。
「聞きましたよ、牛食い祭だそうですね。朕も参加します」
「ありがとうございます」
「でだ、光、主上おかみがお越しになるというなら、それ相当の警備が必要だが、いかがいたす」
「そうですね……主上は厳重な警備の中で、おひとりで召し上がるのがよろしいでしょうか。それとも、俺たちを信じて、お忍びでみんなと召し上がるのとどちらをお望みでしょう」
「そうですねぇ、枕部のことですから、鬼が出ても大丈夫そうですし、お忍びでお願いします」
「分かりました、ならば多少お姿を変えていただくことになりますが、よろしいですか?」
「光源氏がそういうなら」
「摂政さまもよろしいですか?」
「うむ。主上が望まれるならそれを叶えるのもわしの勤めだ」
「では、しばしお待ちください。然るべき者が対応いたしますので」
 俺は御前を辞すると、定子さまの私室に向かった。
 
「定子さま、光です」
 と、中から「あ、光だ」というゆかりの声、何か懐かしい感じさえする。
 ゆかりに引きずられるようにして入り、ことの次第を話した。
 彼女たちは目を輝かせて、どういう格好にするか話合っている。
「検非違使とかになったのも見てみたいわ」
「舎人じゃ普通ですもんね」
「変装ってことでしょ? まったく分からないようにした方がいいんじゃない?」
「……木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中」
「せやったらウチらの中に隠れるようにする?」
「めのこの中に主上をですか?」
「……女装?」
「それだぁ!」
 ゆかりの鶴の一声である。そういうの書いてたもんな、羅述に。すみません、主上……女装になっちゃいました。
「あの、俺からは言えない内容なので、定子さまから主上にお話しいただきたいのですが」
「ええよ、今知らせてくるから待っててな」
 そう言うと定子さまは出て行かれた。
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