印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page21 -
 翌朝、すぐに修理職に向かった。モトちゃんも一緒である。
 直角がいたので話をして、それならと仏具などを担当している人を紹介され、頼んでおいた。
 ついでにシーソー式フイゴについても図も描いて直角に頼む。
 構造は単純だ。普通のシーソーに、フイゴを両側に付けただけと言っていい。
 持ち手があった方がいいこと、座るところは丸く面取りがあった方がいいことなどを話しておいた。
 
 枕部に行くと、飛鳥たちが待ちかねたとばかりに寄ってきた。
「作ったのぢゃ」
「えっと、何をだろう」
「栓をするものぢゃ、とりあえず見るのぢゃ」
 取り出したのは、紐状の鉄で締める部分があり、それが1周していて、取っ手を強く握ると引っ張って締まるようになっている。上から押すのがちょっと弱いが、よく考えたものだと感心する。
 本当の打栓器は違うのだが、それを作るのは機械加工になるから難しいと思って言わなかった。こいつらが作ったのでも、握って締めて、ちょっと回転させてもう一度締めると大丈夫じゃないかと思う。
 瑠璃はというと、王冠にぴったり入よう薄く加工した針桐はりぎりを王冠に入れていた。
「ほら、これどない?」
「いい感じだな」
 瓶も持って来ていて、王冠もあって、打栓器(締付器だが)もある。これはやってみるしかないだろう。
 どうせなら、何か入れたいよな。
 あれから結構経ったから、酒を開けてもいいかもしれない。ついでにもろみからまた絞ってもらうか。
「で、これ何?」
「さっき、燻製だとかって言って置いてったけど?」
 箱を開けてみるとビーフジャーキーである。ビーフは牛肉、ジャーキーは南米先住民の乾物かんぶつを表すチャルケが元だという。まあ干し肉だな。
 1つを取って、割いて口に入れた。その瞬間、枕部の空気が変わる。
「何? そのまま食えるん!」
「……欲しい」
 胡椒がないから、ぴりっと来ないのが寂しいが、燻製したので旨みはかなりある。
 口を開けるひな鳥さんたちに細く割いて与えてやった。
「よし、常さんのところに行こう」
 少しばかりビーフジャーキーを持つと酒殿に向かった。
 
 まるで枕部のようだと言われるものがある。ぞろぞろと集団で行列し、その先々では美味いものを食うということらしい。
 最初にそれを見聞きしたときはショックだった。
 何かというと、アリである。アリがエサを求めて行列を作る様が枕部のようだというのだ。そういえばアリとかハチって全部メスなんだよな。子供を作るために数匹だけオスが生まれて、それもすぐにお払い箱になるらしい。
 そうならないようにしなきゃな。
 俺はアリさんたちを連れて、酒殿さかどのの常さんのところへ行った。
「常さん、どうも、例の酒がどうなったか開けてみようと思うのですが」
「あれから半月ほどですな、では準備しましょう」
 常さんは俺の傍を通るときに小声で言った。
「また増えましたな」
 よく見てるなと感心する。前回から増えたのはさやだけだから。
 ぐい飲みのようなものを人数分用意してくれた。趣味の甘酒を振る舞うのに使っているやつで、酒を飲むにはちょっと大きい。
 ぐるぐるに巻いてある紐を取り、慎重に栓をぐりぐりしながらゆっくり外す。急激な圧力変化はガスを放出させてしまうし、そうなると中身も吹き出してしまう。シャンパンなどスパークリングワインも、音がしないように抜くのが正しく、ぽんと音をさせたり、栓を飛ばせたりしてはいけない。それをやると田舎オヤジだと思われることだろう。
 冷えていないので、ゆっくり注ぐ。シュワシュワ言って泡も出ているから発泡は成功である。
 飲んでみると、少しピリっとする炭酸の感じと、甘めの酒が美味い。冷やしたらもっと美味そうだ。
「うっまーい!」
「ホント、美味しいです」
「……ウマイ、もう一杯」
 みんな勝手に注いで、飲んでいた。酒も美味いし、ビーフジャーキーがまた強烈に合う。
「美味いものですな。これは特別な日に喜ばれそうです。うちでもやってみますかな」
「ですね。で、すみませんが、もう1回、今度は別の瓶でやってみたいのですが、絞ってもらえますか? 結構多めなんですが」
「すぐにやりましょう」
 絞ってもらうのを待つ間に試しに作った酒はなくなり、あろうことかその辺にあった酒まで飲み出した。つまみもあるから進むよな。
 光の作った方が美味かったと言ったのは常さんには秘密にしておこう。
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