印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page28 -
 炭櫃すびつは詮子さまのところにもあるだろうから、1メートル程度の鉄の棒を2本だけ持っていくことにした。炭櫃というのは大きく長方形の炭を入れるもので、火鉢は丸い普通の火鉢のことである。櫃は蓋付きの入れ物を指す言葉であり、それに類似した形のものを表すこともある。炭櫃をいろりだという辞書を見たことがあるが、いろりに蓋をすることはない。炭櫃は使わないときは灰が飛ばないように蓋をするから櫃なのだと思う。
 茄子を縦半分に割って、更に縦に切れ目を3ミリ間隔に入れる。茄子を水に入れて灰汁を抜くという人もいるが、それは不要で、あの色はアントシアニンという抗酸化物質であり、ワインなどと同じ成分なので摂取した方がいい。切ったらすぐに油で揚げると変色もしない。これは夕月とさやに頼んだ。飛鳥と瑠璃には鰹節を削ってもらう。橙は横半分に切って、絞り、汁を取っておく。しずかと玉藻に頼んだ。葱を切るのは諾とゆかりに頼む。細い葉の部分を良く洗い、3センチくらいに切っておく。
 橙の絞り汁に醤油を合わせ、そこに揚げた茄子を浸し、葱を散らして、削り節を全体が隠れるくらい載せる。
 なお、橙の絞り汁と醤油を合わせたものをポン酢醤油という。
 モトちゃんが戻ってきた。道隆さまは「まあよかろう」ということで、伊周さまも「光がそういうなら行かねばなりませんね」ということだったそうだ。
 漬けておいた肉の中から、味噌漬けを出し、焦げやすいため軽く洗い、バラから切り取った牛脂で脂を引いて焼く。焼き方はステーキと同じだ。
 焼き上がったら、食べやすい大きさに切り分けておく。
 準備完了。
 
 料理などを分担して持って、詮子さまのところへ向かう。
 今日の枕部行列は何してるんだ、何か持ってるぞ、などという声を気にしてはならない。
 到着するなり、炭櫃すびつを引っ張り出してもらった。まだ暑いから仕舞ってあったのだ。
 炭を熾す。暑いが仕方ない。食事する広間の縁側(廂より外)での調理である。
 焼き物のコツは、遠火の強火だ。強い遠赤外線で加熱するということだろう。
 火が熾きたら、鉄棒をほどよい広さで渡し、串に刺したバラに塩を振ってから焼く。
 山葵わさびもサメ皮で丹念に擦り下ろす。ワサビオールは揮発成分なのであまり時間が経ってはいけない。
 肉の焼ける香ばしい匂いが立ち上ってきて、もう待ちきれないという雰囲気になっているが、帝や定子さま、道隆さまと伊周さまがいらっしゃる前に食べるのはいくら何でもやめて欲しい。
 どんどん串焼きを作る。ひとり3本としても50本は必要だろう。
 道隆さま伊周さまが酒を持っていらして、すぐ後に帝と定子さまが到着された。
 酒が注がれ、恒例の道隆さまのご挨拶があり、酒宴が始まった。
 俺は帝の傍に行き料理を説明した。道隆さま、詮子さま、帝、定子さま、伊周さまと並んでいるので真ん中で説明したということになる。
「肉はバラの串焼きと味噌漬けで、山葵も用意しております。こちらは詮子さまのためにお作りいたしました、揚げ茄子のポン酢浸しと茄子の塩麹漬けでございます」
 茄子と聞いて、ぴくっと眉が上がるのだから、本当にお好きなのだろう。香りはポン酢で、見た目は削り節だったから茄子だと分からなかったのかもしれない。
 お取りすると、一口食べるなり目を見張り、ぐびぐびとお酒を飲まれた。
「んー、んまい!」
 あ、そういうことか。今ので分かっちゃった。
 着ている着物で喋り方が変わるんじゃなかったのだ。まあ当たり前だけど。自分で口調をわざと変えてたってことだろう。今は着物はそのままなのに口調だけ思わず変わったのは、大好きな茄子が美味かったからだと思う。
 まあ、喜んでいただければいいのだけれど。
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