印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page30 -
「大変ですね、ムリはしないでください」
「はい、主上、ありがとうございます」
「それでですね、光に朕の相談相手になってもらいたいのですが?」
「はい。もちろん喜んで。明日は仕事で荘園に参りますので、戻りましたらご都合をお聞かせください」
「分かりました」
 帝の相談相手って何だろう。できれば政治的なのは止めてもらいたいが。まあ俺にそんなこと相談しないか。
「なあ、光の君、茄子取ってもらえへん?」
「いいですよ、お気に召しましたか?」
「これええわ、茄子では一番かも」
「大げさですよ。他にもありますから」
「せやの? 今からの、秋の茄子ってどうなんやろ」
「夏に剪定して、秋茄子を取るようにすると、秋の方が美味しいとも言われますね」
「また食べさせてくれる?」
「ええ、もちろん。枕部にはいつでもいらっしゃれるでしょうから」
「あ、せやね。何か楽しなってきたわ」
「朕もいいですか?」
「もちろんです」
「朕も楽しくなって来ました」
 喜んでもらえるなら、いいことなのだろう。
 
 秋茄子は美味いかどうか、実は微妙だと思う。夏でも美味いと思うし、水分が多い茄子は夏の食べ物だとも思う。そもそも、大抵のものは初物が尊ばれるのに、わざわざ秋茄子というのは妙である。
『秋茄子は嫁に食わすな』というのがある。涼しくなる秋だとしても体を冷やすほどのものではないし、種がないから子種がない、子宝に恵まれないなどというのも妙で、種がないというなら、旦那の方に食わせるべきではないだろう。子種は男の方だという認識は、人間が性というものを認識することと同義だと思う。
 ここで困るのは秋茄子に2種類あることだ。ちゃんと秋茄子を目的として作られたものか、夏茄子を採った残りか、である。
 前者の場合、夏に採るのを諦め、剪定することで、秋に新しい枝が伸び、実を付けるようになるのだが、わざわざ夏に食べずに秋に食べるようにしているのだから、食べさせるのはもったいないということだとも考えられる。
 後者の、夏茄子の残りだと話が逆転する。夏に実を付け続けると、秋には地力も弱まり、あまり良い茄子は取れなくなる。茄子は連作できず4年くらいは同じ土で作れないらしい。それを食わすなというなら、嫁に変なものは食べさせたくないという意味になるだろう。
 昔の人がわざわざ秋茄子を作るとは考えにくいので、後者なのではないだろうか。
 もうひとつは、嫁というのが誰の嫁かである。自分の妻のことか、息子の妻のことか。前者では嫁を大事にするだろうし、後者ではどちらの可能性もありうる。確率で言うと、息子の嫁で悪い意味となるのは4分の1になるが、江戸では嫁を大事にした(女不足)のだから、悪い意味の確率はもっと低くなるだろう。
 つまり、総合すると良い意味だと思われるのだ。
 
 閑話休題。
 伊周さまが詮子さまの前に来て、お酌をしていた。
 それなりに話もしているようだし、飲まされてもいるようだ。
 いい感じ。
「光はどこか行きたいとこはありますか?」
「突然ですね、主上。行きたいところですか? 越後の佐渡島には行ってみたいと思っていますが」
「どうして佐渡島?」
「海の真ん中で、魚介類とか美味いらしいですし、ちょっと用もあって」
「用?」
「はい。まだ分からないのではっきりしたことは言えないのですが、探したいものがありまして」
「そうですか、いつ頃行くつもりですか?」
「冬の前か、あるいは雪が解けてから、でしょうか」
「分かりました。動きやすいようにしましょう」
「はぁ」
「光の君がどこか行ってまうの? 寂しいなぁ」
「いえ、行くんじゃなくて、行って来るだけですから、ほんのひと月ふた月のつもりですし」
「せやったらええんやけど」
 この宴はかなりの時間続いた。
 伊周さまは諾とお帰りになり、俺とモトちゃんは道隆さまを牛車にやっと乗せて帰った。
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