印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page35 -
 1班の焙燥は低い温度でゆっくり加熱して麦芽を乾燥させる。絶対に焦げさせてはいけないが、殺菌の意味もあるのでしっかり加熱はすること。
 2班の焙煎は、ある程度の温度にまでして焦げ目を付けるのだが、途中までは焙燥と同じだがちょっと高めで焙燥して、最後だけ焦がすようにする。
 3班は邪魔をするなということなのだが、羅螺は張り切って警備しているようだ。庭を縦に行ったり横に行ったりしている。
 
 実は、一番大変なのは温度管理で、それもあって温度計とか言っていたのだが、間に合っていない。
 まあ、職人がふたりいるから、麹にいいとか、糖化にいいとかきっと分かっているだろう。
 多分。
 その適温は67℃!
 ほーら、微妙だ。
 これは、アミラーゼが最もデンプンを糖化するのに適した温度で、高温にするとアミラーゼが消失するので、あまり上げてはならない。まあ5060℃くらいでも糖化するみたいだけど、時間が延びるだろう。
 ん? どのくらいの時間やるのか、だと? 半刻(15分)もやれば乾くんじゃないか?
 ちなみに、この工程はビールの色を決定し、風味も決定する作業なのだが、麦芽糖(水飴)作りではやっていないそうだ。
 ちょっと解説しておこう。
 元となる麦芽をモルトといい、高温にせず焙燥したものをペールモルト、麦芽を少し大きくさせ、焙燥を67℃まで上げて行うものをクリスタルモルト、焙燥の後焙煎したものをキルンドモルトという。キルンドモルトは高温で糖化酵素が消失しているため、単独では使用できず、ペールモルトを加える。クリスタルモルトは甘みとボディーを作るもので、この甘みは発酵後も残るそうだ。
 1班がペールモルト、2班がクリスタルモルト風キルンドモルトというところか。
 作業が始まると俺は、作業を見たり、警備をからかったり、伊周さまの話し相手をしたり、結構忙しかった。
 もういいだろうと1班は冷まして石臼へ、2班は焦がしに入り少し焦げ目が付いたところで冷まして石臼へ。
 石臼も2つなので同じチーム分けである。
 その間に、俺はふたつの大鍋に湯を沸かす。
 風呂より熱く、手なら少しは浸けられるという温度、50℃くらいにする。
 挽き終わった麦芽を同量ずつ湯に入れた。
 本来はここで濾して麦汁ばくじゅうを取るが、今回はパス。別の容器を用意していないからだ。
 50℃のまましばらく待って、灰汁あくを取り、それから例の67℃に上げて1時間頑張る。
 灰汁を取るのは料理人としてのさがなので気にしないでもらいたい。
 コンピュータ制御でなら1時間も簡単だが、温度計もなく、薪を焚いての1時間キープは辛い。ここは長さんの独壇場だ。
 ちなみに、独壇場と書いたが、正しくは独擅場である。手偏であり、どくせんじょうと読む。
 まあ、実際は60℃くらいでいいし、78℃以上にすると糖化酵素が働かなくなるので気をつけるという程度だろう。
 甘みを見る長さん。にっこりしているのは甘いということだろうか。
 俺にもというので杯に取って舐めてみる。
 甘いが、砂糖の甘さとは違う、ほんのりというかはんなりとした甘さだ。甘酒に近いかもしれない。
 常さんも舐めて、これなら大丈夫と太鼓判だった。
 その後、女の子たちも舐めまくっていた。
 ここまででできるのはまったくの水飴の元、麦芽糖である。
 これをしばらく沸騰に近づけ、しばらくして火から下ろし、粗熱を取ってからカラハナクサを入れた。
 ホップなら、途中で苦み用と最後に香り用(熱に弱い)を入れるが、最後だけにしてみたのである。
 冷めるまでに樽の準備をする。常さんが、だが。
 冷めたら、布で濾しながら樽に入れ、酒母を投入、常さんが撹拌して終わり。
 酒母だけもらってくれば、俺でもできたかもしれない。
 終わりましたと伊周さまに告げると、では帰りますとのこと。
 みんなでお見送りした。
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