印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page41 -
 那美も牛車に乗るというので、俺だけ白台で先に帰ることにした。
 少し行くと、女の子が泣いていた。飛鳥みたいな、つまり、巫女のような服装である。歳も一緒くらいか。
 あからさまに怪しいとは思うが、放っておくのも気が引けるので、白台から降りると声をかけた。
「どうしたの?」
「母さまが、いなく、なって、道も、分から、なくて」
 泣きじゃくりながら言っているのを聞き終わると、「じゃあ気をつけて」と言って白台に向かった。
 袖を引っ張られた。
 仕方ない、一応は聞いてやるか。
「母さんって、何て名前?」
「那美(ひっく)」
 予感的中である。
「お前の名は?」
「てる(ひっく)」
 坊主?
 泣き止んでもしばらくはしゃっくりみたいのが止まらないのは何でだろう。
「すぐここを牛車が通って、そしたら那美もいるから、それまで待っててな」
 じゃ、と手を挙げて、白台に乗ろうとして裾を引っ張られた。
「それまで一緒にいて」
「すぐ来るから、大丈夫だからな、俺がいるとややこしいことになるし」
「いいものあげるから、一緒にいて」
 見た目はモトちゃんくらいか、いいものというので良かった試しがないのだが。
「分かったよ、仕方ないなぁ」
「じゃ、これあげる」
 どこから取り出したのか、一振りの劔だった。
「へぇ、古そうな劔だな。まあ、くれるならもらっとくよ。ありがとな」
「それね、天叢雲劔あめのむらくものつるぎって言うんだよ、草とか薙ぎ払うのに使って」
 名前は凄いけど、草しか切れないのか? いや、それって草薙の劔じゃないのか?
「これってどうしたの?」
「もらった」
「そうか」
 嫌な予感がするI have a bad feeling about this
 天叢雲劔は八岐大蛇やまたのおろちの尻尾から出たというもので、それは天照大神あまてらすおおみかみに奉じられたとか。俺は、八岐大蛇とは大河のことで、8尾はその支流、退治とは治水のことだと思っている。尾から出たというのは砂鉄で、それを用いて劔を鍛えたのだろう。
 ちなみに、てるの声を果実で例えるならカリン、食べ物ならおはぎというところか。
 しばらく話をしていると、予感が確信に変わった。
「なあアマテラス」
「え? 何で名前を知ってるの?」
「いや、勘違いだ、忘れてくれ」
 イザナミの最後の子供がアマテラスだったと思う。天照はアマテラスと読むが、延喜式によると神社などに奉られた場合はアマテルと読むらしい。なお、天照を奉った神社を神明神社というが、これを見て某声優を連想するようになると危険信号だ。
 認めると負けだとは思うが、どうしても聞いておきたいことがあった。
「なあ、アメノウズメって可愛い?」
「見たときないし」
 そうか、こいつが天岩戸あまのいわとに入っている時だもんな、あれ。ついでに、見たことない、だぞ、見たときないじゃ変だろ。
「なあ、てるっていくつ?」
「えっ!? 設定は3歳、見た目は14歳、本当のは秘密」
「なんだそれ」
「母さまが17歳なんだから、3歳にしときなさいって」
 きっと何百歳なんだろうな。
 そうこうするうち、やっと牛車が到着した。
「てる、ですか? ここで何をしているのです?」
「母さま! てるは母さまを探していたのです」
「光が助けてくれたのですね、ありがとう。てる、来てはいけないと言ったはずですよ」
「だって、伊勢からの道が良くなったので、てるでも行けるかなと思って」
 伊勢からこっち、鈴鹿峠は通りやすくしたからな。
「一度出てしまっては事が終わるまでは帰れません。光に面倒を見てもらいましょう」
「はい。母さま」
「いやいや、それはおかしい」
 何で俺なんだよ、帰ればいいじゃないか。
「しゃぁないやん」
「どこに住むんだよ」
「神社ぢゃな」
「……当たり前すぎ」
「あの、小さくてもやしろがあれば十分なのですが」
「最悪、鳥居とりいがあればなんとかなるし」
 どこかに建てるにしてもすぐはムリだよな。仕方ない、枕部に鳥居だけでも建てるか。
 神さまって何食うんだっけ?
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