印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第4巻:page47 -
 作ったグラスを見ると、切子を理解した数名を除き、アーティスティックに削って貫通しているのは最早もはやグラスとしての機能を失っていた。グラスの底に顔があったっていいじゃないか、というのは理解できるが、グラスの底に穴があったっていいじゃないかには賛同しかねる。それとも可杯べくはいなのだろうか。可杯は底に穴があって、指で押さえて酒を注ぎ、飲みきらないと置けないというものだ。押さえるのは大変そうだが。
 失敗グラスを削らせて正解だった。
 明日以降の分担を発表する。
 
 道路補完計画、衛姥班、しずか、ゆかり、飛鳥
 同、介助班、諾、玉藻、羅螺、瑠璃
 同、指揮監督、詮子さま(予定)
 
 万斎家、調理班、さや、夕月、那美、俺
 同、仕入れ班、原子、てる、俺
 
「てる、言うことを聞いて、手伝えるか?」
「うん、てる頑張る」
「5日から7日後くらいにビールの瓶詰めをするから、その日は荘園な。半月くらいはこの割り振りで行くから。明朝、枕部で個別に打ち合わせの後、各班の行動に移るから。那美とてるはこれから俺と枕部に来てくれ、神棚に入ってもらう。来たいやつは来ていいぞ。その後で詮子さまのところに行ってお願いしてくる。じゃ、解散!」
 また送風機をガラガラと引いて枕部に戻る。那美とてるは一緒で、モトちゃん、諾、ゆかり、しずかと玉藻はついて来た。家の方向がそうだからだな。
「じゃ、お休みなさい、また明日」
 軽い挨拶をすると、ふたりは神棚に消えて行った。なんとなく、みんなで柏手を2回打っておく。
 じゃあな、とみんなと別れるが、モトちゃんだけ残った。まあ、いいけど。
 ふたりで詮子さまに会いに行き、明日の快諾をもらう。人形劇の台本を渡すことも忘れない。暇なのでやってもいいという感じかもしれない。明朝枕部でお待ちしていますと言って帰った。
 家に着くなり、道隆さまに呼び出され、酒の相手をしつつ、帝から言われた勅使などのことをお話しした。
 
 翌朝、ブリーフィングに詮子さまがいらっしゃるので、いつもは見られない緊張感が枕部にあった。帝は平気なのに、皇太后さまはそうではないらしい。まあ、分かる気もする。
 道路補完計画では人形劇をするのだが、俺がいないので、ナレーションは詮子さまである。読み合わせを一度だけやってみた。詮子さまは読み合わせなのに全力投球である。
 数日後、ビールの発酵が終わったようなので常さんに確認してもらい、いいだろうということで荘園に集まった。ビールは少量の水飴を混ぜてから絞って、瓶詰めをして、小屋の中に穴を掘ってそこに安置した。
 そのまた十日ほど後、越前への道と若狭への道も完成し、万斎家も開店の日を迎えた。
 万斎家は市にはない食品、豆腐、油揚げなどがあり、普通の惣菜も数多く取りそろえていて、漬け物の種類も豊富である。目玉は限定品の羅螺焼きで、これは飛ぶように売れた。黄身も限定品の味噌漬けである。まだ鶏小屋ができていないので、玉子の確保が大変だった。
 イートインはほぼ定食屋なのだが、うるち米の白米や味噌汁という珍しいものがあり、京の胃の腑とまで言われるようになった。惣菜のことを『おばんさい』とも言うようになったし。
 トイレが作られ、手洗いしないと入れないことも珍しがられた。かねてから考えていた、水道(綺麗な川)と下水道(使い終わった水)を分けて作り、トイレは下水に流すようにしてあるため川屋・かわやと呼ばれるようになる。これにより京の病が減少し、その功を以て伊周さまは昇進された。文句は出ず、賞賛されるばかりだ。
 開店からひと月、万斎家は順調、それも兼ね、伊周さまの昇進祝いを伊周邸で開き、詮子さまと道隆さま貴子さまも呼んで、枕部も加わって大宴会を行った。みんな楽しそうだったな。
 
 その翌日の早朝、秋も深まっていることを肌で感じる。史実では定子さまが中宮となられたはずだが、まだ女御さまのままだ。
 良かったんだよな、これで。
 誰にも告げずに屋敷を出ると、白台を連れ、みやこを出た。
 白台には俺の後ろにもうひとり、そいつは背中から手を回して抱きついている。
「じゃあな、みんな。悪く思うなよ」
 ひとりごちると、未練を断ち切るように白台を走らせた。
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