印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page2 -
 朝は肌寒さを感じるくらいになってきた。
 秋だなぁ、春の次に好きかもしれない。実りの秋だから。
「もう一枚着た方がいいかな?」
 早朝、誰にも告げずに家を出て来ての独り言である。人は暑くても死ぬが、寒い方がもっと死ぬと思う。八甲田山だって、真夏だったら爽やかだったんじゃないだろうか。
 まあ、俺が早く起きたと言っても、使用人はもっと早く起きていたりする。なので、出がけにあかねに出くわしてしまった。
「おはようございます」
「ああ、おはよう、どうした? 何か機嫌が悪そうだけど」
「当たり前です。ここに来てから、あんまり会えないじゃないですか」
「そうだな、俺も久しぶりにあかねと話す気がする」
「今度、時間をください。何のためにこっちに来たのか分かりません」
 拗ねてるのって可愛いよな。
「そりゃいいけど、そうだ、あかねが枕部の雑務とか手伝うのってどうかな」
「私のような身分ではとうていムリですから」
「大丈夫じゃないか? うちなんて、妖怪もいるし神さまだっているから」
「な、何ですか、それ?」
「いや、忘れてくれ。一般人は関わらない方がいいことだった」
「神さまって、冗談ですよね」
「俺もそう願いたいんだが、いるんだよ、超ド級のが、マジで」
 超ド級は、英国戦艦ドレッドノートを超える大きさの戦艦だという意味だ。
「恐ろしいんですか、祟るとか?」
「ああ、それに近いものがある。神ってさ、大体は自然という人の抗えないものを神格化したものなんだ。太陽とかさ」
「太陽の神さまは聞いたことがあります」
「だろ、ところが自然じゃなくて、天然なんだよ、そいつら」
「自然と天然って、同じじゃないんですか?」
「竹を割ったような天然なんだよ、水が流れるのと同じくらい天然なんだ」
「意味が分かりません」
「そうか、分からない方が幸せなこともあるさ」
 何かあかねは考えているようだ。考えたら負けなのに。
「まあとにかく、今度時間を取るから。じゃ、行くからな」
「あの、どちらへいらっしゃるんですか? まだ出仕には早いと思いますけど」
「ちょっとな、用事は大したことなくて、あいつらが知ると面倒だからなんだが……」
 行き先やら目的やらを説明すると、あかねも連れて行って欲しいという。
 両手をグーにして、潤んだ瞳で懇願されたら誰が断れるだろうか。
「ちょっと危ないかもしれないけど、いいのか?」
「構いません、私は光さまのものですから」
 そうなの?
「じゃ、行くか?」
「はい」
「ちょっと行って白台を連れてくるから、支度してここで待っててくれ」
 そう言うと、ひとりで白台のところまで向かい、あかねを連れに戻って来た。
 その時、ちょうど貴子さまが出ていらした。
「おはようございます、貴子さま」
「おはようさん、どないしたん? こないはよから」
「ちょっと行くところがあって、何かあかねが連れてけというので連れて行きますけど、あいつらには黙っててもらえますか? 昼には帰ってきますんで」
「出かけたことくらいは言うてもええん?」
「はい。じゃ行って来ます」
 あかねを後ろに乗せると、白台を走らせた。あかねは白台に乗るのって初めてだな。
 
 京を出るとき、俺はひとりごちた。
「じゃあな、みんな。悪く思うなよ」
 白台はふたりで乗っていてもモノともしなかった。初めての馬が怖いのか、あかねは後ろから手を回し、俺に抱きついてくる。
 おお、何やら柔らかな感触が、背中に!
 連れてきて良かった、心からそう思った瞬間だった。
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