印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
携帯・スマホからもご覧いただけます⇒

第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page3 -
 京が妖怪大戦争だか怪獣大決戦になっていることなど露知らず、俺たちは荘園に到着した。
 何のことはない、ビールの熟成具合を確かめたいだけなのだが、やつらがいると連れてけならまだしも、飲ませろということになりかねない。牛車で行って、飲んで、下手をするとまた泊りになる。早朝に出て、確認して帰れば、それほど大騒ぎにもなるまいと思ったのだ。
 さて、ビールはどうだろう。
 1本出して、折角なので小川に浸けて冷やしてみる。
 あかねは使用人たちと話し込んでいるようだ。伊周さまのところじゃなくなったので、来なくなったからな。
 しばらくして、栓を抜こうとして栓抜きがないことに気づく。適当な棒を探して来て、ポンと抜いた。支点は指でなんとかなるから、作用点がある程度固ければ何でも抜けるのだ。
 グラスもないから茶碗だ。
 炭酸、よし、泡立ち、よし。香り、まあまあビールっぽい。
 口に含むと炭酸が弾けるが、やはり温いのはいかんともしがたい。苦みはあまりなく甘いので、ビールというより子供ビール?
 まあ、飲めなくはないな。
 使用人とあかねにも飲んでみてもらうが、反応は微妙。炭酸に慣れていないからだと思いたい。もったいないから俺がほとんどを飲むことになった。
 さて、帰るか。
 小一時間いただけでで帰ることにしたが、仕方ないよな。今度はゆっくり、あかねも連れてくるからな。
 名残惜しそうにしている子供たちに手を振って、京への道を急いだ。
 
 道に妙な女性が立っていた。
 嫌な予感しかしない。
 尾花すすきをかんざしのように髪に挿している。
 あれは……そうか。よし、関わっちゃダメだ。
 走り去ろうと思うのだが、白台は俺の意思に反し、近づいて行って止まった。その後は動かそうとしても動かない。仕方ない、話だけでも聞くか。
「あの、どうしました?」
「何でもねぇっちゃ」
「ちゃ?」
「何だっちゃ、人の喋りをバカにすんけ」
「すいません、俺のことはダーリンと呼んでください」
 できれば、その後にバカぁを付けてもらうとありがたい。
「だぁりん? なんだっちゃ、それ」
「あの失礼ですが、もしかして額田王ぬかたのきみでは?」
「誰だっちゃ! またバカにしてんのけ?」
「おっかしいなぁ、尾花のかんざししてたから、てっきり額田王かと思ったのに」
「光さま、額田王ってすっごい前の人で、とっくに死んでますけど」
「いや、そりゃ知ってるけどさ、妖怪、神さまと来たから、次は幽霊かなと思って」
「それだけの理由で? でも、何で額田王限定なんですか?」
 とある歌と歌ってみせた。額田じゃなくて、浴衣だけど。
 ついでに言っておくが、この女性、字面から想像している声とは違っている。かく言う俺もまだ照合中だ。
 なお、額田王ぬかたのきみはヌカタノオオキミとも読み、『あかねさす 紫野むらさきのゆき 標野しめのゆき 野守のもりは見ずや 君が袖振る』で有名。
「何の話か知らんちゃが、うちは忙しいから邪魔するなっちゃ」
「こんなとこで尾花を髪に挿して、何が忙しいって?」
「人を探してるんだっちゃ」
「あ、ちょっと身の危険を感じたので、俺たち行くわ、気をつけてな」
「待てっちゃ、おめらみやこのもんけ? 光源氏って知ってっけ?」
 素早くあかねに目配せして、俺は言った。
「さあ、噂は聞いたことがあるけど、会ったことはないなぁ、なあ、あかね」
「え、ええ、そうですね。酷い女ったらしという噂ですが、見たこともありません」
 俺の頬を一筋の光るものが流れていった。
「そりゃ嘘だっちゃ、いい男だとうちの村まで噂が入ってるっちゃよ」
「うちの村って、あんたどっから来たっちゃ、いや、来たんだ?」
「佐渡だっちゃ」
「佐渡!?
「そうだっちゃ。佐渡島から遠路はるばる光源氏に会いに来たっちゃよ」
「何で?」
 この、声、そうか佐渡だもんな。照合完了。大酒飲みキャラが多くて、他にはぐるぐる眼鏡のござるお嬢さまとかの人だ。
第5巻:page4 < 次  枕部之印  前 > 第5巻:page2

【お知らせ】
広告のお申し込み・当ページプログラム販売など承ります。委細メールにて。
(著作表示より送信)
 
▽ 基礎知識 ▽

平安用語の基礎知識
 
関連用語の基礎知識