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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page11 - |
ならば何か作ればいい。
生地を適当な大きさに切り、丸めてから麺棒で丸く延ばし、塩漬けの牛肉を薄く切ったのとチーズを乗せ、まずはそれだけ焼いてみた。チーズというのはイチジクの樹液で牛乳を固まらせ、固形分を豆腐のように押し固めたものを食料庫に置いたものである。気分を出すために、一応丸くしてみた。どうするのかよく分からないので、そのまま放置したものと、乾いた布で気が向いたときに磨いている2種類があるが、放置していたものを使ってみた。切って、ちょっと囓って見るとチーズっぽい。食べても多分死なないだろう。 ピザも勢いで5枚も作ってしまった。 ちゃんとピザを焼くための板というか櫂みたいのを作っておいたから、それで入れたり出したりする。コツはテーブルクロス引きの要領で、勢いよくやることだ。 焼けたのを8等分するのに、ピザカッターなんてないから普通に包丁で切ったが、それだと手で押さえないと切れないので、そのうちピザカッターも作ってもらおう。 味見してみるとほとんどピザだった。チーズをたっぷり使ったので美味い。生地もパンぽい。 火を調節してから、パン生地をオーブンに入れておく。 よし、ピザを食おう。 あーんと口を開くと、じーっと見る目が4つ。那美とてるである。 「お前らも食うか?」 「うん」 「何ですか、これ?」 「ピザっているイタリアの食いもんだ。多分、まだ向こうでも食ってないと思うけど」 こら、人の作ったものの匂いを嗅ぐな、那美。失礼だな。 「美味いよ、これ」 「そうですね、チーズとお肉が合ってます」 「本当はトマトのソースを塗るんだけど、トマトはまだないんだ」 「……ずるい」 「おぅわぁ! 驚かすな、しずか、お前も食うか?」 無言で頷くと、次の瞬間にはもう口に入っていた。 「……む、これは……濃厚なチーズが口の中で溶け、塩味の効いた牛肉がいいアクセントになっている。生地の具合も上々」 「美味いってことでいいんだな?」 無言で頷いている。 「どれ、われも食べてみるのぢゃ」 「また新し料理? どれどれ」 いつの間に来たのか、飛鳥と瑠璃も食べている。 「なかなか良いのぢゃ」 「この食感もええね」 そうか、分かった。飯時なんだ。だからみんなが集まってきたんだな。というか、自宅からわざわざ飯を食うだけに来るなよ。 「ちょっとしずか、一緒に出たのにどうしてもういるのよ、って何食べてんの?」 「あ、ちぃずとか言ってたやつ? あたしにもちょうだい」 「ふたりとも、手を洗わないとダメです」 さやに注意され手を洗うふたり、その後ろに囓ったピザを皿に戻して並ぶ他のメンバーたち。 諾や夕月まで来て、結局全員が集まって、ピザに興じていた。 「あ、言っとくけど、これ食い過ぎると太るから」 現代ならこの言葉で食べるのを止める人もいるかもしれないが、この時代は関係ない。バクバク食い続けている。 「らーらー」 「太ると光に嫌われるわよ、と言ってます」 あっという間になくなってしまった。俺、2切れしか食ってないのに。 パンはどうだろう、見て見るか。うーん、見ても分からないが、焦げたらダメなので出してみる。 ピザの板で出したのはいいが、絶対に熱いよな。 「それ何?」 「これはパンって言うんだけど、料理の材料にするから食えないんだ。そうだ、いいもの作ってやるから、ちょっと待ってろ」 そういうと大膳職を目指した。 |
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