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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page13 - |
「伊周から光が作った酒を飲む会を開くと誘われたんどすけど、他に呼んでもかましまへんやろか?」
「はい。ただ、どなたをお呼びになるかは言ってくださると助かるのですが」 「ああ、それなら今ここに来てはるから、紹介しときまひょなぁ」 そう言って、御簾の方へ手招きすると、中から出て来たのは詮子さまと同じくらいの年格好の女性だった。身なりからかなり高貴な方だろうと想像できる。 「こっちゃが太皇太后、こっちゃは皇后どす」 え? 仲が悪いのかと思ってた。 「こん人らぁは、まあ昔は色々あったんやけど、今はええ飲み仲間なんどすえ」 「初めまして、太皇太后やってます。光くんの噂は聞いてて、会いたいなぁって思ってたんです」 な、何でそんなにガーリーなの。声的にはあの未来人(大)である。 この人は皇族から冷泉天皇の中宮(入内は東宮)になられた方だから浮世離れも当然かもしれない。冷泉天皇は父の弟の子、つまりは甥に嫁いだことになる。そのせいか子供はできなかった。ちなみに、後の和泉式部が今は童女として仕えているはずだ。 「あんたが光ちゃんか、思ったよりあれね。まあ料理が美味くて、酒を飲ませてくれるなら可愛がってあげるわ」 この声は、なんというか生徒会長な感じだな、よく刀(木刀・竹刀)を持ってるように思う。 詮子さまと中宮を巡って争い、中宮の座は得たものの男子を産まなかったため、詮子さまの皇子が帝となったわけだ。 ちょっと整理しておこう。 60 醍醐天皇 ├61 朱雀天皇 └62 村上天皇 ├63 冷泉天皇 │├65 花山天皇 │└67 三条天皇 └64 円融天皇 └66 一条天皇 ←いまここ ├68 後一条天皇 └69 後朱雀天皇 ├70 後冷泉天皇 └71 後三条天皇 次の三条天皇の生母は詮子さまの姉、道隆さまの妹で、既に亡くなっている藤原超子さまで、その次以降の後一条・後朱雀天皇は彰子ちゃんの子供たち。定子さまには彰子ちゃんより九年も先に男子が生まれているのに、だ。彰子ちゃんはまだ2歳だし、その子が生まれるのは ちなみに、3人には内緒で教えておこう。当年取って昌子内親王さまが おふたりとも酒好きという感じがひしひしと伝わってくるな。 「このふたりも行ってもよろしおすか?」 「もちろんです。伊周さまには俺から伝えておきます、伊周さまも喜ばれると思います」 「嬉しいです。色々聞いてもいいですか?」 「このまま帰れるとは思ってないわよね」 「まあ、それなら飲みながらにしまひょか」 すぐに酒が用意され、酒宴となった。凄い飲みっぷりである。 「アッコはいいわよね、おのこを産んでご生母さまだもん、めのこしか産まれなかったって仕方ないじゃない」 アッコというのは詮子さまのことのようだ。 「またその話ぃ? もう耳にタコができてるわよ。マコさんはお子さんが養子だけなんだから、その話はナシって言ったでしょ?」 「帝のご生母さまよ、言いたくもなるわよ。 マコちゃんだって産みたかったでしょ?」 マコというのは昌子内親王のことだろう。この時代、 「それはそうですけど……次の帝は誰なんでしょうね? 次のご生母さまになられるのは?」 一斉に俺を見る3人、未来人だというのもご承知らしい。 「き、禁則事項です」 言っちまった。言わないようにしてるんだが。 「なんですかぁ、それ?」 「言えないってこと? 道隆からも未来は聞くなって言われてるし」 「ケチねぇ、いいじゃないの。じゃいずれの帝のお子様かとかは?」 「言ったら分かっちゃいますよ、ダメです」 「言ったら分かる人なんだって」 3人で相談していると答えが出るのではないだろうか。帝をどう決めるか身を以て体験してきた人達なんだから。 「言いませんからね、絶対」 |
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