印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page16 -
「一番いいのは、俺が指名したやつだけ行って、後は居残りだぞ」
「誰を連れてって、誰を残すとか言ったら、どうなるか分かってるでしょうね」
「……馬車をもう一台発注」
「いや、それこそムリだろ。なあ飛鳥」
「予備の車輪をいくつも作ったのでムリじゃないのぢゃ」
「いや、車輪だけじゃ馬車にはならないから」
「なら行ってみましょ!」
 モトちゃんの一声で車大工を訪ねることになった。いや、ムリだって、絶対。
 
 車大工を呼び出し、モトちゃんとゆかりが交渉するという。まあ、一晩あればジェット機だって直るという人もいるから、馬車くらい3日でできるのかもしれないが。
 車大工から返ってきたのは予想外の言葉だった。
「そんなこともあろうかと、もう一台作っておきました」
 出た、魔法の言葉『そんなこともあろうかと』、ご都合主義の免罪符とも言う。真田さんっていうんじゃないだろうな、この人。
「本当は壮呂さまのお言いつけなんですが。馬車が足りんからもう一台必要だと言われて、そうそう、光さまに色を塗ってもらうようにと言付かっておりました。馬はご用意されるそうです」
 2台塗れってか。
 仕方ない、考えるか。色塗るのすっかり忘れてたけど。
 と、その前に馬の繋がっていない馬車を運ばないといけないな。
 いったい、どうやったか。
 正解は俺が引っ張って行った、である。あろうことか、やつらは馬車に乗ると言い出した。乗るなよ! 着物が汚れると悪いので、手伝いは玉藻だけに頼んだ。実体になって牽かせるのも考えたが、大騒ぎになりそうだから止めといた。
 まあ、途中で聞こえたひそひそ話で、枕部佐が何らかの罰を受けているというのには涙したが。
 2台並べると、同じ形をしていた。当たり前か。問題はどういう色を塗るか、である。
 遺跡の壁画などでも分かるが、使える色は、朱、黄、青緑の3色、まあ黒は墨があるから塗れはするが。
 にかわに解いて塗るとして、顔料は高価だろうから、膠だけの部分が多い方がいいかもしれない。
 枕部に戻って、どう塗るかしずかも交えてデザイン画を描いて、手伝えるやつは汚れてもいい服装で来るように言った。
 修理職に行って、顔料と膠と刷毛や筆をもらってきて、膠を煮る。
 しずかが筆で輪郭を描いて、内側をみんなで塗り、色が塗られていない部分には、片方は膠だけを、もう片方は墨を混ぜたものを塗ってみた。
 塗り終わると結構いい。
 朱、黄、青緑の3色で思いついたのは、とある戦艦だった。木馬みたいな形のやつ。
 そこからの発想で、黄色の太陽(膠だけの方の馬車)と満月(膠に墨を混ぜた方の馬車)に青緑の雲がかかって、朱色の橋や神社がある風景にも見える。元のデザインを残しつつ、しずかのアイディアで絵画的に仕上げたのである。
 
 一仕事終えたので飯だ。着替えて万斎家に繰り出す。
 食後、少し休むと、そのまま市に行き、食材を物色し、一旦枕部に買ったものを置くと単身大膳職に乗り込んだ。
 なるほど、言ってみるもんだな。いいのが置いてある。
「こちらは松茸にございます。明日のためにと取り寄せました」
「わざわざ? 返って悪かったな」
「いえ、そのようなことは。それと、明日の昼までには鮎を届けさせることになっております」
「いいな、鮎。それって塩焼きにしてから持って来てもらうってできるか?」
「そのつもりでおりました。届き次第塩焼きにしてお持ちいたしますが、どちらへ届ければよろしいのでしょうか」
「伊周さまの邸宅に頼む」
 市の方でできるだけ揃えたので、これで十分だろう。
 礼を言って帰り、松茸を地下室にうやうやしく置いた。
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