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Update 2014-07-01
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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page19 - |
みんなで炭を熾す。ゆかりたちにちゃんと飯を食ったか聞くと、軽くお茶を飲んだ程度だという。宴の料理を食べるためなのだとか。どれだけ食って飲む気なのだろう。
一応4時ころからだと言ってあるので、お膳を運んで、食器や箸、グラスと猪口をセットしていく。いつものコの字ではなく、全員横向きで、ふたりずつ向かい合わせの4人にして、その中央に鍋や料理を置くことにした。壮行会も兼ねているのであかねも呼んだから1ケ所は5人になっている。信長も誘ったのだが、大人数の宴は勘弁してくれと断られた。 こんな具合である。 道隆 主上 昌子 詮子 伊佐 定子 遵子 伊周 原子 さや しずか 常造 諾 俺 ゆかり 楢長 あかね てる 那美 飛鳥 朱鷺 つき 玉藻 瑠璃 夕月 伊周さまには詮子の隣で頑張っていただくことにして、俺は危なそうなのを監視する意味での位置取りである。問題を起こしそうなのを近くに、大丈夫そうなのは遠くになっていて、さやは定子さまのお側に、モトちゃんは家族の側にという感じにはしてある。羅螺は玉藻のところにいること。 鍋に出汁を張り、火鉢に置いていく。現代の密閉された住宅だと一酸化炭素中毒も心配されるが、平安ではまったく考えなくていい。 鴨肉と豆腐の煮物を仕上げ、茄子漬けの水を切り、鮎も皿に盛ってお出しした。詮子さまのところは茄子を多めにしておいた。 炭櫃に鉄の棒を渡し、串焼きにしていく。松茸は塩を振って焼き、牛肉は漬けたものはそのまま、生のは塩を足して焼く。 人が来始めたので、みんなにビールと酒を水から出して、布で拭いてから持ってくるように頼んだ。 栓抜きも数作ってもらったので、6ケ所に置く。自分で抜きたい人もいるだろうから。 道隆さま、ご一緒に主上と定子さまもいらしたというので、さやに肉を焼くのを代わってもらいお出迎えに行く。ちょうど三后さまもおいでになられたので、一緒にご案内である。 さやと代わって、乗っている肉だけ焼き、残りは後回しにする。 席に着いて主上のお言葉をいただき、道隆さまからもご挨拶していただいた。 「ここでご説明させていただきます。本日お披露目の酒は伊周さまの命により造ったものですが、美味いかどうかはお好みによるかもしれません。他に枕部の酒もございますし、絞りたての御酒もございます。枕部では既にやっておりますが、グラスに注いだ後、一言あって乾杯というのをします。それに合わせて、乾杯とご唱和いただきたいと存じます」 ビールの栓が抜かれ、ぽんという音がいくつも鳴り、グラスに注がれる音とシュワーという炭酸が弾ける音がした。音的には成功だろう。 伊周さまからの一言だ。 「光が珍しい酒を造りました。私も今日初めて飲むので皆様のお口に合うか分かりませんが、どうぞごゆっくりお楽しみください。乾杯!」 「「「かんぱーい!」」」 うちの連中は乾杯に慣れてるからな、急いで飲んで、むせていたが。 炭酸飲料やビールは慣れないと喉が痛む。大人になると忘れてしまうのだが、子供の頃は飲みにくいものだっただろう。 ひと口飲んでみると、苦みは少なく、甘みがあって、あまり強い炭酸ではないので飲みやすい。少なくとも現代人がびっくりするようなものではないだろう。発泡性の酒のときはちびちび飲んだので大丈夫だったのが、がっついて飲んで喉に来たようである。 「鍋に水菜を入れ、肉を取ってしゃぶしゃぶとしてから、一緒にポン酢でお召し上がりください。この鮎は大膳職からのいただきものでございます」 水菜を鍋に入れ、しゃぶしゃぶ、色が変わったらポン酢の入った器に水菜と肉を入れ、食す。ん、美味い! そこでビールだ。 次に鮎の塩焼きを頬張り、ビールで流し込む。これもいい。ビールがある時代になってからだが、この取り合わせを『出会いのもの』という。英語で言うと、アユ・ミーツ・ビール。 鴨と豆腐と葱を食う。葱と鴨は鉄板というか盤石というか、絶対に合うものだし、こってりした油を豆腐が流してくれる。ビールにも合うな。 串焼きは言うまでもないだろう。肉とビールが合わないわけがない。松茸も最高! 一口ずつ食べたので、串焼きを焼きに行く。しばらく焼いたら、席に戻ってまた食う。 |
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